原澤賢二
お題ショートストーリー(2013/04/05執筆)
  作品の参考として、「お題イラスト」と「プレイング」を元にしたショートストーリーを執筆しています。ログインすれば、人気投票にも参加できます!

【執筆者:原澤賢二
【得票数:0】

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プレイング
「あら、いらっしゃい」
 澄んだ声で、アイスレイピアの魔曲使い・ダイアナは旅団仲間の二人を迎え入れた。
「今日は何が入り用かしら?」
「あたしの杖に合う飾りが欲しいなって」
 そう言ってお気に入りの杖を掲げたのは、杖の星霊術師・ティモシーである。
「俺はつき合わされたんだ」
 剣の魔法剣士・アシュレイは、女の子の買い物はめんどくさいとでも言うように答えた。
「ふふっ。二人ともゆっくりしていってね」
 ダイアナは小さく笑みをこぼすと、降り積もる雪のようにゆっくり、だけど強かに、カウンターの椅子に腰掛けた。
 普段は語られることのない彼女の人生が、垣間見える一瞬である。
「ふんふん〜。どれにしようかな〜」
 色とりどりの飾りが入った籠の一つを手に取ったティモシーは、近くにあった椅子に腰掛けて品定めを始めた。
 血色の良い健康的な太ももの上に籠を置き、一つ、また一つと飾りを取り出しては愛用の杖に着せ替えてゆく。
 鼻歌交じりに楽しそうにしているティモシーとは反対に、アシュレイはため息をもらした。
 ティモシーはすっかりご機嫌だから、店には長居することになるだろう。
 これといって買い物などするつもりなどなかったアシュレイは、たちまち手持ちぶさたになってしまった。
 仕方ないので、店内に陳列された商品を見て時間をつぶすことに決めた。
 ハンマーに斧、あまり見かけない東方の剣など、多種多様な武器達が己の主を待ち続けている。
「おっ?」
 その時アシュレイは、一振りの剣が目に止まった。いや、目が合ったと言った方が正しいかもしれない。
 突出して珍しい剣というわけでもないのだが、その剣は『自分を手に取れ』と自己主張している。
 そして気がついたときには、アシュレイはその剣に手を伸ばしていた。
「なぁ、ダイアナ。これちょっと触ってみてもいいか?」
 店主の承諾を得るよりも先に、剣の切っ先を店内を照らすランプの光にかざしてみる。
「仕方ないわねぇ」
 そんなアシュレイの姿を見て、ダイアナは思わず苦笑いを浮かべた。
 アシュレイは剣を構え、己の体に叩きこまれた剣技を一つ一つ確かめるように剣を振りかざした。
 不思議なことにその剣は、初めて手にするにもかかわらず、まるで、長年連れ添った相棒のようにアシュレイの動きに同調するのだった。
「似合ってる似合ってる!」
 ティモシーのほめ言葉も心地いい。
 自分の手に握られた剣に目をやるアシュレイ。剣の方は『どうだ。いいだろう?』とでも言わんばかりに、確かな存在感を放っていた。
 財布を取り出して中を見るアシュレイ。
 この剣を買ってしまと、懐がとっても寒いことになってしまう。
 だけど……。
「思い切って買う!」
 アシュレイは財布を丸ごとダイアナに差し出した。
「ふふっ。未来の英雄のために、少しおまけしてあげるわ」
 アシュレイが三度剣を見ると、新しい相棒は『これからよろしく!』と言っていた。
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