森山樹
お題ショートストーリー(2013/09/20執筆)
  作品の参考として、「お題イラスト」と「プレイング」を元にしたショートストーリーを執筆しています。ログインすれば、人気投票にも参加できます!

【執筆者:森山樹
【得票数:0】

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プレイング
「いらっしゃい」
 ダイアナは店の扉を開けたのが旅団の仲間であるアシュレイとティモシーなのを認め、愛想よく笑いかけた。
「こんにちは、ダイアナ!」
「お邪魔しますなの」
 接客用ではない笑顔に迎えられほっとした2人は、ダイアナに同じ程親密に笑いかけ、挨拶をして店内へと足を進めた。
「今日は遊びに来たの? それともお買い物かしら?」
 物珍しそうに店内を見回す年若い魔法剣士と星霊術士に悪戯っぽく問いかけると、彼らは生真面目に首を傾げて考え込んでしまう。
 特に欲しい物があるという訳ではないらしい。
「いいものがあったら欲しいけどな」
「そうなのよ。お財布とも相談しないと」
 頷き合う様子に笑みを深くして、ダイアナは鷹揚に頷くと、店内を指し示した。
「いいわ、ゆっくり見て行ってちょうだい」
「ありがとうダイアナ。……あ、これ素敵」
 言われた傍からティモシーは一つの籠を持って、設えてあった椅子に腰かけた。
 杖に付ける装飾品はどれもキラキラとしていて、ひとつひとつを杖に合わせては唸っている。腰を据えて選んでいるらしい。
 一緒に来たアシュレイは魔法剣士らしく武器を見ていた。買うわけではなく、どんな武器があるのか一通り見て回っているという様子だ。きょろきょろとして落ち着かない。
 しかし、一振りの剣が気になったらしく、引き寄せられるように近づいて行った。
「なあ、ダイアナ。これちょっと触ってみてもいいか?」
 自然とアシュレイの手が引きよせられる。言った傍からその柄を握ると、まるで10年来の親友のようにしっくりと手に馴染んだ。
「仕方ないわねぇ。いいわよ」
 既に両手で構えていたアシュレイは、許可を得て試しにその剣を振ってみた。自分の力を剣がしっくりと受け止めるその振り心地に、すっかり心を奪われてしまう。
「これ……いいなあ! 欲しいな。どうかな?」
「似合ってる似合ってる!」
 ティモシーの目にもこの剣とアシュレイは似合いの組み合わせに写った。
「でも……お金が……いや、ぎりぎり足りる!」
 いつも元気のいいアシュレイだが、この剣の値段を見るに一瞬の葛藤が生まれた。しかし、この馴染み具合と振り心地には変えられなかったらしい。
「思い切って買うぜ! ダイアナ、これが俺の全財産、ぎりぎり足りるはずだ!」
 財布ごとカウンターに所持金全てを差し出すアシュレイに、ダイアナはくすっとますます可笑しそうに笑って、お財布の中身を少しとお財布をアシュレイに返した。ちょっとだけサービスしたのだ。
 この楽しい時間のお礼のつもりであった。
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