そびえ立つ巨躯が、暗い天に向けて咆哮を上げる。かき乱された空気がノーザンシティ米沢の全てを震わせ、目の前のデカ物がここの主――慙愧王であることを、対峙した能力者の四人に教える。 「いよいよだな……前は任せとけ!」 リボルバーガントレットを纏った拳に魔力をみなぎらせると、 「毒島先輩、1人で飛び出したら危ないです……!」 御鏡・更紗(bn0014)の制止も聞かず、毒島・修二(bn0013)は一人、果敢に主へと突っ込んでいく。 「まったく、気が早いんだから!」 そうは言いながらも余裕の笑みを浮かべて、神凪・刹菜(bn0010)はギターマシンガンを敵に向け、軽快に銃声を刻み始める。 「ほらほら、こっち向きなさいよ!」 その言葉につられるように、敵は近付く修二から注意を外すと、唸り声と共に刹菜達のいる方へ攻撃を仕掛けてくる。 「散開しましょう! 私は毒島先輩をサポートを!」 「私は敵の背後を取ります!」 「オッケー二人とも。援護は任せなさい!」 更紗と癒月・マヒロ(bn0015)の言葉に頷くと、駆け出す小さな体と消えた一人分の存在を隠すように、刹菜はさらに射撃のビートを過熱させる。 ばら撒かれる銃弾。その先で、修二は渾身の力を拳に乗せ、慙愧王へとぶつけていた。 「てめぇなんざに俺の『道』は邪魔させねぇ。受けてみやがれ!」 瀑布の如き勢いを見せる打撃のラッシュではあったが、あと一歩威力が足らない。そこへ、 「毒島先輩!」 いつの間にか近付いてきていた更紗の白燐奏甲がガントレットを包み込む。 「いいぞ御鏡!」 確かにそこまでは良かった。だがその華奢な体が慙愧王の目に留まってしまう。 「きゃぁっ!」 「危ねぇ!」 響く更紗の悲鳴。修二は慌てて更紗を庇い抱きかかえるようにして、放たれた攻撃を受け止める。 「ごめんなさい、私……」 「気にするな。このくらい、何でもない」 腕の中の更紗にダメージはない。それが解り安堵の笑みを浮かべると、一度敵から距離を取る。それを撤退と見たのか、さらに追い討ちをかけんとする慙愧王。 その後方から、待ってましたとばかりに影が躍りかかる。 「二天一流モード! くの一忍法、お見せします!」 虚空より現れ、慙愧王の背に一刀を加えるマヒロ。後ろを取られた敵は慌てて反撃するが、マヒロは霧影分身を使いそれを軽くいなす。 「私だって、やる時はやるんですから!」 自信に溢れた言葉と共に続く斬撃に慙愧王が怯む。これを好機と見て、修二がとどめを刺すべく再び距離を詰める。 戦いは今、佳境を迎えようとしていた。
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