<遺跡島の冒険 第5ターン結果>
第5ターンの開始状況
エンドブレイカー達の意見は集められ、結論は出された。
導かれた結論は、「正面突破」だ。
「よし……まっすぐに突っ込みます。出航を!!」
『了解。プロテクトを解除し、出航します』
遺跡船のナビゲーターとなった青空に響く歌声・カイジュ(c03908)の指示に従い、遺跡船はその巨大な体を震わせながら、水の上へと滑り出る。
前を覆っていた岩壁を船首が打ち砕くと、外海の光景が目に飛び込んで来る。
そして、北部の海上で異変が生じるのをエンドブレイカー達は見る。
何もなかったはずの海域……ただ水だけがあるはずだった空間に紫電が走る。紫電の結界の内部に出現するのは、遺跡船の本体だ。
「何だ!?」
海賊達が慌てふためき、その方角へと視線を投げる。その隙を突く形で、遺跡船は船団の包囲を破るべく突っ込んでいく。
「あの島に辿り着けば、俺達の勝ちだ!!」
「遺跡船に敵を取り付かせるな! 敵の船に飛び移るぞ!」
次々と海賊船に飛び乗り、敵に白兵戦を挑んでいくエンドブレイカー達。
彼らは動揺する海賊達を切り崩し、遺跡船が突破する隙を作り出す。
だが、海賊も黙ってみているばかりではない。
島を包囲していた突撃部隊を突破せんとする遺跡船に対し、海賊達は隙あらば遺跡船の進路を塞ぎ、あるいは遺跡船内に突入すら試みる。そうした動きを阻まんとするエンドブレイカーとの争いは、時を追うごとに激しさを増そうとしていた。
●波乗りジェイル
次々に接近して来る海賊船団の圧力を、エンドブレイカー達はその全力で押し返していった。
斧の城塞騎士・フラン(c00997)は、兜越しの視線を敵の指揮官らしき男に向ける。
「なぁんてこった!! 『船』は動いてるわ、姐さんは死んでるわ、散々だっぜ!!」
おそらくは船長なのだろう、身軽な格好をした波乗りジェイルの指示に従い、海賊達が一斉に攻撃を仕掛けて来る。
波のような波状攻撃を、フランはシュメッタリングを振るい、切り崩した。
×字を描く斬撃と共に爆発が生じ、海賊達がバタバタと倒れていく。
海賊達の悲鳴と爆発音の連続に、波乗りジェイルは冷やかすように口笛を吹いた。
「なんて激しい攻撃だ……だが激しい波ほど乗りこなし甲斐があるってもんだっぜ!!」
「もうお前らの顔もうんざりだ!」
オーラの城壁を纏うと、フランは甲板を蹴り、海賊達へと猛進する。
全身の力を篭めた重い一撃が、海賊達を薙ぎ払った。
槍をバネに、その攻撃をかわそうとしたジェイル。
だが、フランのまとうオーラの城壁はさらなる広がりを見せた。
「ワッツ!?」
「これで……終わりだ!!」
フランの声と共に、オーラマストを巻き込んでジェイルは
「オーゥ……なんて高波だ。乗りこなすには、俺ッチじゃ無理だったみたいだぜ……」
力無く呟くと、マストの残骸と共に、ジェイルの姿は波の合間に消えていく。
「突撃船団はこれで制圧……主力の方も上手くいっていると良いのですが」
●黄金の右爪ブザン
「あれが、例の『船』か……だが、向こうから乗り込んで来てくれるとは好都合だな」
黄金のバトルガントレットを打ち鳴らし、黄金の右爪ブザンは部下達に指示を下す。
「迎え撃て! 奴らの船を奪えば、望みの褒美を与えてやる!!」
ブザンの言葉に士気を上げ、海賊マスカレイド達は遺跡船に取り付こうとする。
船から出てくるエンドブレイカー達に美しい男女が多くいたことも、海賊達に邪な欲望を抱かせるのに十分だったかも知れない。
だが、そのような欲望程度を、エンドブレイカー達が退けられないはずもなかった。
突破されていく海賊船団に、指示を下したブザンの顔が歪む。
「エンドブレイカー……『魔神の斧』も退けたと聞いていたが、ここまでやるかよ……」
「鋼熊海賊団は来ていないようですね……ちょっと安心しましたぁ」
「……!?」
と、こちらに驚きの視線を向けて来るブザンに、ぽわぽわ系錬金術士・ソラリス(c30170)は笑顔を向けてやる。
水着姿のソラリスを見やり、ブザンは慌てたように部下達に排除の指示を下す。
「ええい、こちらを惑わすつもりか……」
(「堅物さんですねぇ……」)
遺跡船から海賊船に飛び乗ったエンドブレイカー達は、海賊との戦闘を開始する。
戦いの衝撃に揺れる船の上、バトルガントレットを振るい、殴り掛かるブザンをエンドブレイカー達はいなし、
「ええい、俺もキャプテンから船団を預かった身……この程度で負けるわけには」
「はい、ドーン!!」
ブザンが何事か言っているうち、ソラリスの言葉と共に甲板が盛り上がった。
え、とブザンの表情が動いた時には、彼の体は巨大な拳に吹き飛ばされ、遥か空の彼方へと吹き飛んでいる。
「ブ、ブザンの大将!?」
指揮官を失った海賊達が総崩れになる中、遺跡船は船団主力を突破し、遺跡船へと近付いていく。
●遺跡船の力
エンドブレイカー達が過去に目撃した船の中で最大のものは、水神祭都アクエリオの遥か底に存在していた巨大船バンガイア号だろうか。
それを遥かに超える大きさの船が、エンドブレイカー達の乗る遺跡船の前にあった。
もっとも、それを本当に船と認めるならば、だ。
海に出現した放電の領域を越えた先、エンドブレイカー達が目にするのは、
「どう見ても、島、ですね……」
伸びる光の線が、遺跡船を島へと導いていく。
『合体を開始します』
「合体って……この島とですか?」
疑問を口にし、しかし映し出される光景を見て、カイジュは驚きの声を上げる。
「いや……島では、ない!?」
近付くにつれ、その事実を認識した他のエンドブレイカー達からも驚きの声が上がる。
浪間に見えるのは、金属の板……いや、今エンドブレイカー達が乗っている船を構成するのと同じ金属だ。
巨大な金属の覆いの上に、森や遺跡、その全てが乗っている。そして、もう一つ驚くべきことは、「この島のような船がギガンティアでもある」という事実だった。
『船首解放……制御船を内部に格納します』
崖のように見えていた部分が左右に割れ、その内側に光を跳ね返しながら、遺跡船はしずしずと進んでいく。
やがて崖が再び閉じたとき、遺跡船が固定され、金属音が船内にまで響く。
『指示をお願いします、ナビゲーター』
「海賊船団を退けてください。他には被害を与えないように……できますか?」
『可能です。本船の力を示しましょう』
次の瞬間、海が、海賊船団に牙を剥いた。
渦に巻き込まれた海賊船は制御を失い、仲間の海賊船同士で激しくぶつかり合い、沈没していく。
既にエンドブレイカー達が占領した船を除くかたちで渦は広がり、移動しながら悉くを破砕していった。マザードレイクの率いる巨獣達が悲鳴を上げて制御を失い、逃亡せんとしては潮の流れに遮られ、さらに混乱を深める。
「馬鹿な! 私の船達が……!!」
すんでのところで沈没を免れた船の上で、海賊船団を率いていたキャプテンマイダスは沈みゆく主力船団を見、憎々しげに遺跡船をにらみつける。
「撤退! 撤退だ!! このような戦いで船を失っては無意味だ!!」
船団の主力を呑み込んで広がる渦に背を向け、旗艦を含む生き残りの船は戦場から
波間でもがく海賊達の姿はやがて消え、海は静けさを取り戻していた。
●その船の名は……
海賊船団が退いた後、エンドブレイカー達は遺跡船……その『操縦席』たる船から出ると、遺跡船本体の内部へと足を踏み入れていた。
ギガンティアであり、船であり、同時に島でもある存在。
それが、この遺跡船だ。
「元は、ここに船の名前が記されていたんでしょうか」
エンドブレイカー達の視線の先、船の名を記していたと思しき部分には金属で出来たプレートがあった。だが、名前が彫られていただろう箇所は完全に削り取られ、もはや判断もつかない状態になっている。
「この船の名前はなんていうんだ?」
『情報を確認します……その情報は、記録されていません』
遺跡船からの返答は、そのようなものだ。何故だろう、と思いつつも、エンドブレイカー達は結論する。
「ここは一つ、私達で名前をつけるべきかも知れませんね」
そして、遺跡船を向けるべき先は分かっている。
海賊が逃げて行った方角、すなわち東の海だ。今回の海賊船団の数は過去にない数で遺跡島に襲来した。海賊船の逃げた先を追えば、まず間違いなく連中の本拠地がある……。
エンドブレイカー達を乗せた遺跡船は、東の海へと向かい、動き出すのだった。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 戦力 |
---|---|---|---|
海賊船団 | 3733 | 73勝0敗 完勝! | 1⇒0 |