<ニニギア島沖海戦 第1ターン結果>
第1ターンの開始状況
謎の呪力に捕らわれ、その動きと力を封じられたままに、『終焉に抗う勇士号』は『生贄海域』を進んでいた。青空が見えているにも関わらず、周囲の海はどこか陰鬱とした雰囲気を漂わせている。
『生贄海域』。その海面に時折流れているのは、腹を見せて浮かぶ魚群だ。
そればかりか、海鳥の死骸までもが混じっているのが見て取れる。
『生贄海域』に入って以来、そうした異常が時を追うごとに度を増しているように、勇士号に乗るエンドブレイカー達には感じられていた。
そして勇士号を捕らえた呪力は、奇妙な外観を持つ島へと、この船を接近させていく。
『ニニギア島』。
中央部に髑髏を思わせる岩山を持つ、この島こそが、世界各地の都市国家を襲う海賊達の本拠地であった。
既に多くの者達には『海賊島』の名でしか呼ばれず、本来の『ニニギア島』の名で呼ぶ者は絶えて久しい。
「本当なら、海の魔王の封印を守ってる一族ってのが居たんだけどな」
エンドブレイカー達に救助され、現在は勇士号に同乗している義賊、カーライルの語ったところによれば、その一族の末裔も既に海賊の重鎮と成り果てているらしい。
「元は非道な真似をするような奴じゃぁないと思ってたんだがな……。あんた達の言うマスカレイドってのが影響してるのかも知れねぇが、俺にはとんと判断がつかねぇ」
エンドブレイカーでないカーライルには、その判断はつけようもない。
ただ、既にエンドブレイカー達が戦い、撃破した「バルバの女王」もまたその一族だったらしいので、一族まるごとマスカレイド化しているという事態は十分に考えられることだった。
潮の流れに逆らい、島の方へと近付きつつあった勇士号の動きが急に止まった。
「呪力が解放されたのですか?」
『いいえ。呪力を牽引から固定に変更したものかと』
勇士号の意識体が、ナビゲーターのカイジュに応答する。
ニニギア島周辺、『生贄海域』へと勇士号を運んで来た謎の呪力は、今は勇士号を海域にとどめる働きへと変わっていた。
海流を操作し、海賊船団を壊滅に追いやった力も封じられた勇士号に、島影から出現した船団が接近して来る。翩翻とたなびく黒色の帆に描かれるのは、髑髏のマークだ。
勇士号の外縁部から乗り込もうとする海賊に対し、エンドブレイカー達は迎撃し、あるいは接舷しようとする海賊船へと逆に乗り込んで戦いを挑んでいく。
エンドブレイカーと海賊、双方の拠点を巡る戦いは、ここに開始された。
●良妻軍師・ミュレアリア:Battle11
海賊首領軍の軍勢、その先陣を切って勇士号に取り付いたのは、良妻軍師・ミュレアリアに率いられた軍勢であった。
『我が夫のために、死力を尽くしなさい』
指示を他の軍勢にも伝えるべく、配下の持つ銅鑼が、耳障りな音を響かせる。返答を寄越すのも、またイマージュの軍勢だ。
続々と終焉に抗う勇士号に上陸して来るイマージュ達の陣を縫い、虚狼・リー(c30727)をはじめとするエンドブレイカー達はミュレアリアの元へと突き進んだ。
美貌。そして美を体現したような体つきは、彼女がイマージュであるがゆえだろうか。
だが、そうでありながらも彼女の美貌は作り物めいている。
ミュレアリアの美貌を見て、リーはそう感じる。
これだけのイマージュを作り出すだけの力があるならば、その辺りに気を遣っても良さそうなものだが、戦いのための存在ならば、それで良いという事だろうか。
リーは思考と共に、ミュレアリアへと狙いを定める。
「……!」
エンドブレイカー達との戦いの中で手傷を受けながら、それでも見事な軍師ぶりを見せるミュレアリアへと、リーの掌から放たれた気の弾丸が連射された。
『敵への対応を……』
その指示をそれ以上続けさせるまいと、リーの気咬弾はミュレアリアの顔面を強襲するべく、続けざまに放たれている。言葉が続くよりも前に直撃した気咬弾は、美貌のイマージュを貫いた。
貫きの音と共にミュレアリアが倒れ、その体は音もなく消滅する。
指揮官の喪失に動揺する間もなく、残るイマージュ達もエンドブレイカー側によって殲滅させられていくのであった。
●大家族海賊団長・グレートマンマ:Battle11
「うぎゃー」
「もぎゃー」
「きしゃー」
「良くも弟を、このうらみはらさで、ぐわっ。はぎゃらじゅー」
「兄者ーーーー。くそっくそっくそっ、絶対倒す。ってうわー」
「助けてママン〜。こいつら強すぎる〜」
大家族海賊団の家族達は、エンドブレイカーの猛攻の前に次々と撃退されていく。
もはや、戦場は死屍累々である。
家族の一人が倒れれば、その家族の仇を討とうと一致団結して戦う彼らだが、そもそも、一致団結して適わない相手と戦えば、結果は火を見るよりも明らかであったろう。
「あんたが、団長のグレートマンマなのね」
母性を感じさせると言えば感じさせると言えなくもない女海賊に相対した、鮮血・テディア(c00410)が、油断無くアサシンナイフと剣の二刀を構えつつ言葉を吐く。
「アタシの可愛い息子達を良くもよぐもよーぐーもー」
一方のグレートマンマは、地を這うようなうなり声と共に、巨大なヒヒのような姿へと変貌し始めた。
グレートマンマの相貌は怒りに染まり、豊満な腹部がねじ切れるような怨嗟の響きをたたえている……が、
「息子って言ってもマスカレイドだしね。容赦はしないから、かかっておいで」
テディアがそれに、怯むことは無く、二刀を閃かせた。
そして、その刃は、それぞれは狙い違わずグレートマンマの命を魂を奪い尽くしていく。
強靭な肉体の性能を発揮する間もなく、命を奪われ尽くしたグレートマンマが悲鳴をあげる。
「そんな、ばかなー!? 息子達、母の仇を取って……」
グレートマンマはそう言い残して、崩れ去る。
「あんたの息子達は、ここで全滅するから復讐は無理だね。さぁ、ここの戦いは終わりよ。さっさと次行くわよ!」
そう言い残して、テディアは戦場を駆け足で去っていった。
●海の魔王の怒り:Battle9
海賊達とは異なる方角、生贄海域の海面を突き破るように、波を割って出現するのは大量のモンスター達だった。
海の巨獣を移動手段として、モンスター達は次々と勇士号に乗り込まんとして来る。
「敵の侵攻を止めるよ!!」
宵闇の黒猫・ケイ(c03134)が声を張り上げる。
進撃せんとする敵群とぶつかり合うエンドブレイカー達。
その視線の先で、一際巨大で、ぶよぶよとした軟体の生命体が唸り声を上げた。
『SHUHHHHHHH!!』
「海の魔王の怒り、か……なかなかデカいじゃないか」
ケイはその存在を、海坊主と呼ばれるタイプの巨獣だと見て取った。
進軍するモンスターを追い立てるように前進する巨獣の存在は、小山が動いているような圧力を感じさせる。
「けど、海の魔王の怒りっていうからには……もっと激しく攻めてもらわないとね!!」
この程度では自分達を圧倒するには到底足りないと、ケイの撃ち込んだ蹴りの一撃が、『海の魔王の怒り』の体表面で炸裂した。痛烈な一撃に、巨獣の体から海水の飛沫が散る。
体を僅かに揺らがせつつも、なお前進する巨獣に対し、エンドブレイカー達は攻撃を集中させることによって応じた。
幾度もの攻撃を受ける中で、文字通りに肉体を削られ、小さくなっていく巨獣。
苦痛など受けぬかのように前進していた巨獣に対し、ケイは再び跳躍した。
「いい加減……止まりな!!」
足先に帯びたオーラが巨獣を貫き、そして沈黙させる。
『海の魔王の怒り』と共に出現したモンスターたちを全滅させ、ケイは一息をつく。
「もし封印されてる魔王が実在するなら……怒りはこんなものだけじゃ収まらないだろうね」
海域に強まり行く不吉な感覚。
それが現実のものとなろうとしているかも知れないという予感を、ケイは感じ取っていた。
●死霊海賊団団将・デッドスカル:Battle21
『オオオ……』
海水を滴らせながら終焉に抗う勇士号の海岸線へと上がって来るのは、死霊海賊団の海賊達だ。
幽霊船とも言うべきボロボロの船から降り立った彼らには、他の海賊すらも近付かない。
海賊群島に伝わる、迷信深い海賊の中には死霊海賊団の伝説が真実だったことを知って恐れおののくような者もいるが、それはむしろ少数。
単純に、彼らの行う行軍に巻き込まれるのを避けたいという心境なのだろう。
錆びついた防具や海水に濡れた服を纏った骸骨、あるいは海水でブヨブヨと膨らんだゾンビ達は、命ある者を殺め、己の軍勢に引き入れんと防衛線を敷くエンドブレイカー達とぶつかり合う。
『殺セ……殺セ……!!』
「死んだ海賊か。辛気臭い連中だぜ!」
柘榴星・エラキス(c02153)の太刀が、骸骨たちの武器とぶつかり合って火花を上げた。
大剣を振るう団長デッドスカルを含め、この『海賊団』は使い捨ての道具に過ぎないのだろう。
「誰がやってんだか知らねーけど、気分悪い話だな」
エラキスは、死せる海賊達の姿をそう理解しつつも、また太刀を構え、足裏に力を入れると体を横方向へと飛ばす。
不意打ちの一撃に頭部を砕かれ、動きを止めるアンデッド。
その姿はエラキスの元だけにとどまらない。エンドブレイカー達へと押し寄せる死者達は、砕かれ、散らばり、その動きを次々に止めていく。
「次はお前だ!」
団長デッドスカルに対し、言いざまに突撃を仕掛ける……と見せかけて、横っ飛びに飛んだ。
相手が反応するよりも早く、さらにもう一度地面を蹴る。
振りぬかれた刃は、たちまちのうちにデッドスカルの鎧の隙間へと飛び込み、その骨と骨とのつながりを断ち切った。
『ア……リィガ……トォ……』
感謝の言葉が微かに聞こえたような気がしたのも束の間、デッドスカルの体はバラバラに飛び散り、海岸に散らばって行く。
●ガブラス軍
海賊船や魔物達の群がる『終焉に抗う勇士号』を見張る、一隻の船があった。
紅の魔法金属で造られた金属の船、『大海のガブラス号』。
エンドブレイカー達が見れば、『終焉に抗う勇士号』の中枢部となっている、銀色の船と似た印象を受けたかも知れない。
ニニギア島近くの島影に隠れた『大海のガブラス号』に乗るのは、その船の名に己の名を冠させた黒刃使い・ガブラスである。悪名高き『1億ダルクの賞金首』の元には、その勇名に誘われた配下達が集い、終焉に抗う勇士号へ攻め込む機をうかがっていた。
「ガブラスのおやっさん、海賊達が攻撃を始めたんだ。こっちもそろそろ行くかい?」
「まだだ。エンドブレイカー達が面倒な連中だってのは、お前らも知ってるだろうが。それに気付かねぇのか? さっきからこっちを見張ってる連中がいるってことをよ」
その言葉に、配下の狩猟者が驚いたように終焉に抗う勇士号を凝視した。ホークアイによって拡大された視界に、戦闘を行う者以外にもガブラス号を見張っている者達の姿が映る。
「……なんか戦わずにこっち警戒してる連中がいるな。……千人以上いないか?」
「多っ……ど、どうだ、分かったか?」
一瞬部下の言った数にぎょっとしたガブラスは、表情を取り繕うと続ける。
「エンドブレイカー達はまだまだ余裕ってこった。焦って突っ込んだらオシマイよ。無闇につっかけて、折角のチャンスをフイにするわけにゃぁいかん」
「なるほど……いつものビビリじゃなかったんすね」
「ビ、ビビッてねぇ! ただちょっと連中の数が多いから面倒ってだけだ!!」
「主は本当に、まぁ……いや、もう何も言うまい」
ガブラス号は動かず、奇襲を仕掛けるチャンスを伺うのであった。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
良妻軍師・ミュレアリア | 520 | 11勝0敗 完勝! | 1850⇒0 |
海賊邪神・ピーゴッド | 189 | 0勝11敗 敗北 | 1920⇒1718 |
副団将・ブレイドル | 239 | 2勝9敗 敗北 | 2100⇒1231 |
大怪獣・レッドホエール | 230 | 2勝4敗 敗北 | 1665⇒803 |
大怪獣・イエローライガー | 163 | 1勝7敗 敗北 | 1728⇒1361 |
大海賊・ブルーキャタピラーキング | 195 | 1勝7敗 敗北 | 1890⇒1383 |
大家族海賊団長・グレートマンマ | 588 | 11勝0敗 完勝! | 1480⇒0 |
甲殻海賊団長・クインシザーズ | 176 | 0勝11敗 敗北 | 1536⇒1197 |
バイキングキング・ガイゴー3世 | 172 | 0勝14敗 敗北 | 1680⇒1383 |
海の魔王の怒り | 380 | 9勝0敗 完勝! | 1350⇒0 |
死霊海賊団団将・デッドスカル | 361 | 21勝0敗 完勝! | 1350⇒0 |
スライミースライミー | 244 | 5勝10敗 敗北 | 1350⇒572 |
ガブラスに警戒する | 1004 | − | − |
ブレイクゲージ残量(第1ターン終了時点) |
---|
92826−1718−1231−803−1361−1383−1197−1383−572=83178 |