<三塔戒律マギラントの戦い 第3ターン結果>
第3ターンの開始状況
●黒の勇者ギャモン大魔女と戦う七勇者を描いたステンドグラスと共に伝わる、七勇者の伝説。
その伝説が正しいならば、勇者ラズワルドと共に大いなる探索に旅立った勇者は総勢400人。
血祭御前・ユイ(c12666)の前に現れている黒の勇者ギャモンも、その一人なのであろう。
この三塔戒律マギラントは勇者マギラントの三人の弟子によって造られたと言われるが、勇者マギラント本人によれば、勇者と共に戦った滅びた三つの都市国家からの移民だったという。
「まあ、過去の歴史は美化されるものよね……」
ユイは太刀を構えると、黒の勇者をじっと見据えた。
二振りの刃を引っ提げた銀髪の男性だ。
その肉体が既に命なきアンデッドと化していることは、こうして近くにいるだけでも分かる。
とはいえ、その武器が黒の塔のマスターメイガスの元となっているという意味はよく分からなかった。長き年月の間に繰り返された改造強化は、黒の塔のマスターメイガスを原型を留めぬまでに形を変えている。
「見た目だけでは黒のマスターメイガスとの関連性はあまり感じられないわねっ!!」
無言のままに突っ込んで来たギャモンの刃が、弧を描く軌道でユイを襲う。
「やるじゃない!!」
血の匂いに興奮するかのように、ギャモンの仮面から覗く口が、彼が既に人外のそれであることを示すかのように大きく裂けた。
おそらく仮面の見えない普通の人々が見たのなら、恐怖に怯えていたかも知れない。
「こういうときは、仮面の下が見えないのに感謝するわね……」
ごちながら隙を伺うが、さすがに伝説の一角を為す勇者というべきか、まともに切り結んでいるだけでは隙などできそうにない。
「まともに攻めてもどうにもならない。なら!!」
鬼斬剣を放つべく、大上段に振りかぶる。
捨て身の構えを見せたユイに、ギャモンは瞬間切り込んだ。
だが、その隙はユイが自ら作ったものであると、ギャモンが気付けたか否か。
「自分の意識もないような奴に、倒されるわけにはいかないわね」
呼び込んだ攻撃へと振り下ろされたユイの刃が、ギャモンの動きを断ち切り止める。
瞬間、ユイは目を見張った。黒の勇者の体が、黒い液状に変化し、消滅したのだ。
「痕は残さないってわけね」
勇者マギラントの居るであろう塔の上へ、ユイは視線を投げるのだった。
●銀の塔のメイガス騎士・タオ
「クレーヴェル四兄弟、推して参る!」
戦場で高らかに宣言するのは、銀の塔のメイガス騎士・タオ。
そのタオに率いられたメイガス騎士達は、おおむね4体程度が連携して、戦場に出てくる。
おそらく暴走メイガス事件で行方不明になっていたメイガス騎士達と、新たにマスカレイド化された騎士達の部隊なのだろう。
特別に強力な力を持つ敵はいないようだが、それでも彼らの連携は、エンドブレイカー達の脅威になりうるものだ。
「でも、まぁ、一度エンドブレイカーに負けてる人達でしょう?」
皓夜の・シュウヘイ(c32937)は、そう言うと、落ち着いてマジックマッシュでのサポートをしようと戦場に出た。
マスカレイドの戦力もかなり減っている。
落ち着いて戦えば勝てる相手だろう。
逆に言えば、この戦いを取りこぼすことは出来ないと言う事だが……。
そして、シュウヘイは、慎重に戦場を進む。
だが、そのシュウヘイの姿に何かを感じ取ったのか、タオが目の前に立ち塞がった。
「お前は何か、厄介な事をしそうな気配がする。だから、ここで倒させてもらおう」
おおむね誤解であったが、戦場ではそういう誤解も多々発生するものだし、そもそも回復要員を潰すというのも戦術的にはまちがいでは無いだろう。
「うわっと」
タオに狙われたシュウヘイは、少し驚くが、慌てず騒がず反撃に出た。
シュウヘイの手に現れた樹木の苗木は、みるみる急成長して、その幹が銀のメイガス騎士を押しつぶしたのだ。
シュウヘイが自分でも吃驚するくらいの、バイオレットスモークツリーの一撃に、タオは抗する間も無く樹木に姿をかえ、そしてマスカレイドとして息絶える……。
「これは事故ですね。事故は、しょうがないことです」
そう言うと、シュウヘイは、タオの死を乗り越えて、新たな戦場に向かうのだった。
三塔戒律マギラントの戦いは、なお、厳しさを増しつつあったのだから。
●マシンフェアリー「フェアちゃん」
戦場を埋め尽くし、舞い飛ぶ数多のマシンフェアリィ達。
その姿は、幻想的で、可憐で、そして、危険でもあった。
何故なら、マシンフェアリー達には、マスカレイドの仮面がついていたのだから。
そして、マスカレイド化したマシンフェアリーの中でも、別格と言える存在が、創造されてから100年を経て、意志を持つに至ったとされるマシンフェアリーの『フェアちゃん』であった。
そして、フェアちゃんは、身振り手振りで配下のマシンフェアリー達に指示を出して、エンドブレイカーへの攻撃を開始したのだ。
「フェアちゃんか……。いい加減に目を覚まさせてやろう」
斧顎熊爪・サキ(c13747)は、来襲するマシンフェアリーを迎撃しつつも、フェアちゃんに大きな声で呼び掛ける。
「人に対する怒りやらあるだろうが、それをぶつけて殺しまわってどうするか。
悪意には悪意しか返ってこんぞ!
少し頭を冷やして、考えて行動すべきだな!」
襲い来るマシンフェアリー達を振り払いながら、フェアちゃんへと近づいていくサキ。
その姿に、フェアちゃんは、後退する。
厳しい言葉を投げつけられて、少し怯えているようだ。
「怯えているのは、私の言葉が正しい証拠だ。きちんと反省し、そして戻ってくるんだ」
サキが近づく。
フェアちゃんが退く。
それを暫し続けたあと、サキが、フェアちゃんを抱きしめた。
いや、鋭い牙を生やして、噛み付いた。
「大丈夫、私を信じろ。絶対に助けてやる」
そうフェアちゃんの耳元で囁くと、
「怖れるな、痛いのは、一瞬だ」
サキはそう言うと、その牙で、フェアちゃんの喉笛を噛みきった。
「キャウウウン」
フェアちゃんは可愛い悲鳴をあげて戦場に倒れる。
だが、その命の灯火が消える事は無かった。
ぐったり倒れたフェアちゃんを、サキは少し乱暴に抱きあげた。
「安全な所に連れて行ってやる。反省は起きてからだな」
そして、サキは、仲間のエンドブレイカーとフェアちゃんを連れて、戦場を後にした。
●銀の塔の新騎士団長・ジルベスタ
「お前達が噂の偽勇者か! マギラント様の敵、このジルベスタが討たせてもらう!」
エンドブレイカーの前に整然と並んだ銀のメイガス騎士団。
このメイガス騎士団を撃破しなければ、前に進むことは出来ないだろう。
「あのマギラントは見えざる敵に操られているんだ!」
「放っておくと、マギラントが滅亡してしまう。だから、通してくれ!」
そう叫んでも、ジルベスタの耳には届かない。
「辺境に飛ばされていた俺を見いだしてくれたマギラント様が、見えざる敵に操られているだと? そんな事があってたまるか!」
そういうと、ジルベスタは突撃の号令をかける。
この戦場の戦いは、メイガス騎士とマシンフェアリーによる突撃を、エンドブレイカーが受け止める形で、開始されたのだった。
「マスカレイド化していない者はいないのでしょうか……?」
「銀の塔主と勇者マスカレイドの言葉で、棘(ソーン)を受け入れやすい心境になっていたところに今回の薔薇の開花だからな」
「偽勇者が、黒の塔主と緑の塔主に協力して、マギラントの後継者となった銀の塔主の軍勢に攻め寄せている……そう伝えられているようですね」
「愛塔心の強いものほど、奮い立つ状況と言う事か」
エンドブレイカー達は、やるせない気持ちを抱えて、戦い続ける。
勇者マギラント。伝説の勇者が伝説の通りに人類の味方であれば、どれほど心強かったか。
だが、ここで心折れるわけにはいかない。
悪食は喰らえるものを拒まず・シヴィアル(c10327)は、元気いっぱい頑張るべく、ハンマーを構えて銀のメイガス騎士の列に飛び込んでみせた。
「負けないなぁーん! 全力アタックなぁーん!」
シヴィアルはその全力アタックの勢いのままに、ジルベスタの前へと踊り出た。
そして、更に、その頭上でハンマーを振り回す。
ぐるんぐるんぐるん!!!!
その風圧をメイガス越しに感じたジルベスタの背に嫌な汗が流れる……。
「(あれは、喰らったらマズイ、回避する!)」
それは、辺境で鍛えたメイガス乗りの勘であったのだろうか。
だが、
「難しい事は関係無いな〜ん。元気いっぱい、がんばるなぁ〜ん!」
シヴィアルのハンマーは情け容赦なく、回避しようとしたジルベスタに虐殺の一撃を叩き込んだのだ。
その衝撃は、メイガスの胸甲をものともせず、ジルベスタの体を押しつぶす……。
血を吐き苦しむジルベスタは、信じられないものをみるように、シヴィアルを見上げたのだった。
「やっと掴んだ、団長の地位が、こんな小娘に……。そんな、バカな事が……」
こうして、ジルベスタは、絶望と共に滅びた。
そして、程なく、ジルベスタの軍勢は崩壊し、さらなる道が繋がったのだった。
「マギラントを滅亡なんてさせないなぁ〜ん!」
エンドブレイカー達は、その決意を胸に、次なる戦場へと邁進するのだった。
●ユニゾンメイガス
「誰も乗っていないメイガスが、いわゆる『暴走メイガス』か。マスターメイガスコピーに改造された分を除いては、爆発しないようだな」
光刻宮の氷剣・ティリカシア(c14801)はそう分析していた。
戦場に投入されているマスカレイド化したメイガスは、爆発の機能を排除されている。
おそらくは密集時の同士討ちを嫌ってのことだろう、とエンドブレイカーは理解していた。
エンドブレイカー達も既に爆発についての情報は得ている。メイガスの中に助ける相手がいないのなら、遠距離から攻撃しているだけで爆発の被害を避けることができるのだから、敵側がその判断を下したのも正しいことなのだろう。
エンドブレイカーの前に立ちはだかるのは、多脚多腕のメイガスだった。
取り込んだメイガスのパーツを弾薬として、エンドブレイカー達にたびたび煮え湯を飲ませた暴走メイガスによる爆発を撃ち出し、戦場のあちこちで爆発の花が咲く。
「だが、来ると分かっていればどうということはない!!」
大威力の爆発攻撃は隙も多い。
ティリカシアは他のメイガスを遮蔽代わりにしながらユニゾンメイガスへの射線を確保。
他のメイガスに対して機体が巨大化し、耐久力も増してはいるようだが、中核となっているメイガス以外は、全てただの防具のようなものだ。
「そうと分かれば、中心部に攻撃するのみだ」
その大きさも通常のメイガス程度はあるとなれば、狙って当てられない道理はない。
ティリカシアの招いた風が近くに落ちているマスカレイドメイガス達の残骸を次々と巻き上げると、ユニゾンメイガスへと叩き付けていく。
「全員、そいつから離れろ!!」
寄せ集めで造られていたユニゾンメイガスが受けた衝撃に、弾丸代わりに内蔵していたメイガスが連鎖的に爆発していく。
やがて巨体の存在していた跡には、焼け焦げた残骸だけがうず高く積み上げられていた。
●名もなき男
武装ジャケットの男は、前置きなしに斬り込んで来ていた。
「エンドブレイカー、か……。お前達の力がどれほどのものか、確かめさせてもらおう」
「あら、いい男ねェ。仮面が無ければ、もっと良かったんだけど」
名もなき男は、夢見るハルモニア・ジャンゴ(c29064)の方を見た。
どう見ても男だった。
名もなき男がぽつりと呟く。
「……時代は変わったな」
「ちょっとォ! それどういう意味ィ!?」
「戦場に悪ふざけを持ち込むなという意味だ!」
「それ『カーニバル』に所属してる人が絶対言っちゃいけない言葉よねェ!?」
ジャンゴが思わず反論する。
男の指示を受けて、『カーニバル』の軍勢がエンドブレイカー達へと突っ込んで来るのを片っ端から叩き伏せていく。
だが名もなき男の力はその中でも別格だ。
自らも剣を引っ提げて斬り込んで来る男が剣を振るうたび、鮮血が戦場を彩った。
「あいつを止めないと!!」
放たれたアビリティを切り飛ばし、男はどこか満足げな視線をエンドブレイカー達へと向ける。
「永き時を封印の中で眠りにつかされていたようだが、それでも戦場の理は変わらないな! 強い者が勝利し、弱い者は消え去るのみ! さあ、殺す気で来い、エンドブレイカー!!」
言葉と共に振りぬかれた剣は、しかしエンドブレイカー達の攻撃によって僅かに鈍っている。
甲高い音が響き、反撃に繰り出したアビリティを男が斬り飛ばす。
事前の動作を読み切って剣を振るっているのだと理解して、エンドブレイカー達は一瞬慄然とした。だが、その繰り返しの中で突き進んで来る男へとジャンゴは腕を十字を描くように振るう。
「でも、これは見たことが無いでしょう! エンドブレイカーがいなかった時代のあなたでは!」
戦場に鮮血の如き赤き断罪の十字架が放たれた。
ソーンイーターのアビリティ、ブラッディクロス。
赤き衝撃波は男を打ちのめし、戦場に十字架が墓標の如くに刻まれる。
「これで、終いか。悪くない戦いだった」
そう言葉を残し、その存在していた長き時を示すかのように、男の姿は瞬く間に朽ち果てると、塵となって消滅していった。
●デモニスタドラゴニュート
「悪魔(デモン)」と呼ばれる強大な異界の存在を体内に吸収し、その力と存在を己の物とした術士デモニスタ。
その意味でいえば、トンファーの自由農夫・ライム(c24173)達の前にいるバルバは本当の意味でのデモニスタではない。
体内に吸収するのではなく強制融合を施されたデモンはバルバの体内で、バルバの制御力が弱まる時を虎視眈々と狙っている。
だが、その振るう力が本物であることを、ライムは僅かな交戦の中で感じていた。
バルバの広げた翼から放たれる魔力の奔流、掲げた武器の表面で魔力が弾け、飛沫が肌に火傷を作る。
「しかも同じような連中をウジャウジャ連れて来てるし……!」
メイガスが人類を強化するための補助機構ならば、こうして強制にデモンと融合させられたバルバはバルバにとっての強化手段といったところか。
(「でも、誰が考えたんだろ?」)
マギラントなのか、あるいは別の誰かなのか。
マスカレイドタワーの内部の様子を考えれば、おそらくマギラントではなく──。
そこまで思考しながらエンドブレイカーはトンファーを構えて後ろへと跳躍した。
寸前まで自分が居た場所を、デモニスタドラゴニュートの爪が薙ぎ払う。
ライムはオーラで自分の体を覆うが、
「正直辛いかな……」
いつ倒れてもおかしくない状況。それは自分も、眼前のデモニスタドラゴニュートも同じだ。
エンドブレイカー達の攻撃は、バルバの軍勢を
ならば可能な限り耐え切ろうと、ライムは敵の放つレギオスブレイドの切っ先を見つめ、
「ここっ!!」
反転したオーラが、飛来したレギオスブレイドを跳ね返す。
その鋭い切っ先は、デモニスタドラゴニュートの喉を過たず貫いていた。
『ゴギャァァァァァア!?』
茫然としたような沈黙の後、悲鳴が響き黒いバルバは消滅する。
「や、やった……」
ふらつきながらも、ライムは勝利の喜びをかみしめるのだった。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
マスターメイガスコピー | 145 | 0勝37敗 敗北 | 【鈍重】【撤退】5836⇒5804 |
黒の勇者ギャモン | 520 | 9勝2敗 勝利! | 【絶望】2418⇒0 |
緑の勇者クッチーナ | 342 | 3勝8敗 敗北 | 【このくらいの怪我、食べれば治る】2418⇒1046 |
銀の塔のメイガス騎士・タオ | 196 | 3勝0敗 完勝! | 【拒絶体】387⇒0 |
マシンフェアリー「フェアちゃん」 | 280 | 9勝0敗 完勝! | 【拒絶体】1455⇒0 |
銀の塔の新騎士団長・ジルベスタ | 775 | 15勝0敗 完勝! | 【ウォール】2486⇒0 |
ユニゾンメイガス | 149 | 2勝0敗 完勝! | 315⇒0 |
暴食魔「ゾルガくん」 | 191 | 1勝4敗 敗北 | 1102⇒524 |
疾風のマクガフィン | 253 | 0勝14敗 敗北 | 【拒絶体】【ウォール】2734⇒2030 |
チューチューマム | 161 | 1勝3敗 敗北 | 870⇒369 |
名もなき男 | 216 | 4勝0敗 完勝! | 833⇒0 |
デモニスタドラゴニュート | 344 | 3勝5敗 勝利! | 2177⇒465 |
火那大僧正ガイモン | 27 | 0勝8敗 敗北 | 【増援部隊】【客将】【撤退】2660⇒2660 |
神祇清浄姫アマニータ | 45 | 0勝13敗 敗北 | 【増援部隊】【客将】【撤退】2660⇒2660 |
神刀天津守サカマガツ | 75 | 0勝13敗 敗北 | 【増援部隊】【客将】【撤退】2660⇒2571 |
ブレイクゲージ残量(第3ターン終了時点) |
---|
84524−1046−524−2030−369−465−2660−2660−2571=72199 |
ターン終了時能力 |
---|
マスターメイガスコピーの【鈍重】! ブレイクダメージ5804⇒0 |