<三勇者決戦 第1ターン結果>
第1ターンの開始状況
●戦勝祈願の加護山斬烈槍ランスブルグ。
険しい岩山に寄り添うように造られた都市国家は、決戦の時を迎えようとしていた。
第二階層「鉄壁街」へと向かうのは、マスカレイドを倒し、ランスブルグを人類の手に取り戻すべく集まったエンドブレイカー達と、彼らを援護する女王軍の兵士達だ。
第二階層と第三階層を結ぶ大階段、そして鉄壁街攻略戦でも使われた秘密の通路。それらを通じ、エンドブレイカーの迎える決戦としては珍しいとも言える先制攻撃の形で攻め上っていった。
狂王アニールの呪術や強力なドローノソリン、ガードゴーレム等といった関所の突破を妨害するための仕掛けは、2週間ほど前、鉄壁街に挑んだエンドブレイカー達によって解除されている。
あちこちで守備についた敵軍との戦いが開始される中で、先の「アマツカグラ戦勝祈願祭」の奉納闘技大会に参加したエンドブレイカー達は、体の中から湧き上がる力を感じていた。
「これが、加護なのでしょうか……?」
奉納闘技大会で優勝を収めた空の宅急便・カナタ(c01429)は、強い力に戸惑ったように呟く。
体の中から湧き上がる高揚感は明確な力となって、絶望の終焉を打ち払う力を強く与えてくれているようだった。
「この力……この一戦のために、全部使わせてもらいます!」
走るカナタに寄り添う星霊が、普段を上回る力でマスカレイドを封印していく。
「それにしても、これだけの効果が年一というのは残念ですね」
これだけの効能がある祭りが廃れたのは、おそらく『棘霞』の出現によって、最盛期から数百年の間に、アマツカグラにおける人類の生存領域が極端に狭くなったことが影響しているのだろう。
戦勝祈願祭で南瓜行列の舞台となった『大地の扉』の周辺も、本来のアマツカグラではとうの昔に『棘霞』に飲み込まれ、放棄領域となっていたはずだ。
「滅ぼされたからこそ、と考えると、それを喜ぶ気にはなれませんけど……」
だが、そこを気にするのも理由の究明も後回しだ。
勝利のために、使えるものは使うべきだろう。
遥か東方の都市国家の力を受けて、エンドブレイカー達は第二階層を目指して攻め上がる。
●料理上手な宿屋の女将リムチャム:Battle19
6月、エンドブレイカー達がランスブルグに到着した際に起きていた戦いで、現地のエンドブレイカー達を破ったマスカレイド達の一人であるリムチャム。
彼女は、現地のエンドブレイカー達に依頼を出していた宿屋の女将だったという。
そうした依頼もまた、狂王アニールを復活させるための策略の一部であったという事実は、現地のエンドブレイカー達にとって屈辱的なものであっただろう。
だが今、屈辱に顔をゆがめているのはリムチャムの側だった。
「エンドブレイカーでもない連中まで来るとは、甘く見られたもんだね!」
リムチャムに立ち向かうエンドブレイカー達には、第三階層に領地を持つ領主達が編成した、城塞騎士団が援軍として加わっていた。
エンドブレイカー達に比べれば力量はさほど高いとは言えず、棘(ソーン)の力を得ているマスカレイドに対抗するにはいかにも苦しい。
だが、ここで敗北すればランスブルグが致命的な事態を迎えることは分かり切っているだけに、士気は旺盛だ。
「エンドブレイカーを倒させるな!」
掛け声をあげる城塞騎士団連合は、エンドブレイカー達の盾となる構えだ。共に攻め込んだエンドブレイカー達は、彼らの援護もあり、一気呵成にリムチャムの軍勢を追い込んでいく。
「くぅぅぅ!! なんてことだい!!」
「はっ。ざまぁないなマスカレイド」
振り回される、魔女・カタリナ(c01060)の大鎌。
ひとたび鎌が動き出せば、それは黒き旋風の如く敵陣を断ち割っていく。
そしてカタリナの視線は、断ち割った敵陣の向こうにいるリムチャムを捉える。
「料理だか何だかしらねぇがそんなの関係ねぇ。てめぇの悲鳴を聞かせろってんだ」
「……!!」
マスカレイドとなって以来、おそらくは感じたことのなかったであろう死の恐怖。その感情を露わにする様子に、カタリナは所詮は非戦闘員のマスカレイドかと内心で嘆息する。
「さあ、魔女の鎌の切れ味味わいな。きれいな朱い華、咲かせておくれよ」
すれ違いざまに振るわれた一撃が、リムチャムを叩き斬った。
「エンドブレイカーが指揮官を討ったぞ!」
「我々の勝利だ!」
城塞騎士達から歓声が上がり、戦意を挫かれたマスカレイド達が駆逐されていく。
「ち、うぜぇっての」
カタリナは自分を褒め称える城塞騎士達に目を眇めてそういうと、次なる戦場へ向け歩き出すのだった。
●鉄の城門兵リットン:Battle20
「おのれぇ! 関所を破るだけに飽き足らず、今度は鉄壁街を攻め落とそうというのか! 許せん!」
鉄の城門兵リットンは、自ら先頭に立って第二階層へ突入せんとするエンドブレイカー達を迎え撃っていた。
エンドブレイカー側には天槍騎士団も加わり、リットンが守っている関所の周辺は最大の激戦区となっている。
リットンの実直そうな顔は、ひたすらにエンドブレイカー達への怒りに満ちていた。
もっとも、それも仮面に覆われて、誰にも見ることは出来ないのだが。
「アリッサムをよほど盲信しているのか……」
自由の空・ディーナ(c00728)はそう呟いた。
リットンは並みのマスカレイドを大きく上回る力を得たという話だったが、実際に体格も相当に良いようだ。あるいは、あれこそがマスカレイドとしての変異なのかも知れないが。
「盲信する英雄がマスカレイドというのは、気の毒というしかないな!」
他のエンドブレイカーからの攻撃で隙が生まれた瞬間に、建物の影から飛び降りざま、ディーナはリットンへと蹴りを叩き込んだ。
態勢を崩したリットンを、細い体で持ち上げる。
「はっ!!」
呼気を一つ、ディーナの体はリットンともども宙に舞う。
そして強烈な回転と共に地面に叩き付けられたリットンは、それでもなお立ち上がらんとした。
だが、体は意志について来ることはなく、彼はそのまま崩れ落ちる。
ディーナはその姿に一つ瞑目すると、次なる敵へと向かっていった。
●聖者コルリ:Battle17
勇者シャルムーンの軍勢の前衛を務めるのは聖者コルリの軍勢。
伝説の『コルリ施療院』を設立したと言われる、古のランスブルグの英雄である彼女の下には、多くの人々が集められていた。
マスカレイド化させられ駒として扱われても、彼らのコルリへの敬愛の念は全く衰えておらず、その士気に陰りは一切無い。
「聖者コルリ様のために」
「私たちの命はコルリ様のもの」
「聖者に逆らうものに、死の制裁を」
まるで狂信者のようなマスカレイドの群れが、戦場のエンドブレイカー達に襲い掛かる。
だが、エンドブレイカー達も、むざむざと敗れるわけにはいかなかった。
「さぁて、加護の力をためしてみようかしら?」
戦いの幕は、妖艶な薄衣をひるがえしつつ口元を扇で隠した夜の魔女・シリア(c12180)が、風神演舞で切って落とす。
大突風が戦場を切り裂き、コルリ配下のマスカレイドを切り裂いた。
更に、戦場を駆け聖者コルリの元に向かったシリアは、優しげな女性の姿を装い、配下達を死地に送り込む、コルリを見つけると、柳眉を顰めると、貫通扇をビシっとつきつけて、
「あなたには、愛がたりませんね。本当の【愛】は惜しみなく与えるものです。他者から奪い取るあなたは、絶望しかもたらせないのよ」
と、告げた。
聖者コルリがもたらす絶望は、ランスブルグを人々を蝕む毒である。
その毒が、ランスブルグの人々の希望を失わせる前に、その歪んだ命を刈り取らねばならないのだ。
「エンドブレイカー如きが身の程知らずに逆侵攻とはね。おとなしく薔薇が咲くのを待っていたならば、多少は可愛げがあったというのに。良いでしょう、この私の手で直接、あなた達の希望を摘み取ってあげましょう」
聖者コルリは、薄緑の清楚なドレスと青い翼を翻し、左手に持った魔導書のページを開く。
魔導書から光がほとばしる。
その光は絶望を呼ぶ光であったろうか。だが、シリアはその絶望を前にしてもひるむことは無かった。
「清楚と言えば聞こえが良いのでしょうけど……。愛を宿せぬ貧しい胸には、おしおきですっ!」
シリアは、そう勝ち誇ると、重量感のある118(O75)をたゆんたゆんに躍動させ、流水演舞をコルリへと解き放った。
その一撃は、コルリの薄い胸を貫き通す。
「……聖者の私に、このような事が許されると……。あぁ、アリッサム様・・・…」
よろめいたコルリに、シリアは止めの一撃を叩きこんだ。
「あなたは、聖者の愛を語り人々に絶望を与えようとした。だから、これは、愛の制裁です」
そして……かつてコルリであったものは、衣服のみを残して蒸発するように消え去った。
シリルは、一瞬だけ見た、マスカレイドの仮面が消えた後のコルリの優しげな素顔に、少しさびしい気持ちになりつつも、戦いへと戻ったのだった。
(「もし、マスカレイドでなければ、私の領地で働いてもらいたかったかしら?」)
シリルの心中の思いは、戦場の風に紛れて消えた。
●黒百合騎士団長・オルテシア:Battle17
「俺達はかえってきた、今こそ鉄壁街を開放する時!」
「戦勝祈願は完璧、あとは、戦うのみだ!」
アマツカグラの戦勝祈願祭により、大きな加護を得たエンドブレイカー達は、意気揚々と、ランスブルグ第二層鉄壁街へと軍を進めていく。
そして、その進軍の先には、自らの頭を抱えた異形の騎士団が迎撃の準備を整えて待ち受けていた。
「あれが黒百合騎士団だな。小さい子供や女の子の首を切り落として、アンデッドにして自分の軍に組み込むなんて、アニールの狂王という名はだてでは無い」
花筵・フォルテ(c00395)は、仲間のエンドブレイカーにそう呟くと、スネークロッドを構えて、こちらも戦闘態勢を取った。
アニールの闇の力の象徴とされる黒百合騎士団、相手にとって、不足無しである。
激しい剣檄が戦場に響き、アビリティの閃光や爆発が起こるたび、エンドブレイカーか黒百合騎士のどちらかが、傷を負い、地に伏せる。
その戦いは、次第にエンドブレイカー有利へと傾いていった。
それは、虐殺を繰り返す黒百合騎士団に対する怒りの故であったのだろうか。
その戦いの中、フォルテは、この軍勢の指揮官、黒百合騎士団長・オルテシアに相まみえた。
周囲の敵は全て掃討した。
あとは、主将である黒百合騎士団長・オルテシアのみ。
だが、フォルテの見たオルテシアは、どこにでも居る普通の令嬢のような姿をしていた。
首と胴体が離れていなければ、鎧と矛で武装していなければ、本当にどこにでもいるような、目立たない令嬢だっただろう。
「こんな普通の令嬢が、なぜ、虐殺などをするのか」
フォルテは、黒木祭祀服の胸に右手を置き、問いかける。
「普通? ふふふ、久しぶりにいわれましたね。地味で普通で兄様といつも比べられて……」
オルテシアは懐かしそうに眼を細めたが、体の方は、油断なくフォルテとの距離をはかっている。
「そうそう、どうして虐殺なんてするのかでしたね。それは、それが幸せだからですよ。狂王様がいる限り、生あるものは全て無限の苦しみを与えられるのです。ならば、できるだけ早く殺してあげるのが慈悲でしょう。私は、私達のようなものを、もう出したくないのですから」
オルテシアは自嘲気味にそういうと、首を持っていない手で牽制の矛をくりだす。
「ならば、狂王アニールが倒れれば、君は虐殺をやめるのかな?」
その矛を制したフォルテの問いにオルテシアは、
「狂王を倒せるというのならば、いますぐ倒してみなさい。そうすれば、あなたの問いの答えを教えてあげましょう」
と答えるのみ。
オルテシアにとって、狂王アニールが倒されるという事象は考えもつかない事なのだろう。
これで、問答は終わりだと言うようにオルテシアは矛を大きく振りかぶり、渾身の一撃を加えようとする。
「黒百合騎士団団長オルテシア・ハイルニート参ります」
だが、オルテシアの一撃よりも前に、フォルテのいと高き歌声が戦場に響き渡った。
フォルテの歌声は疾き風となりオルテシアを包み、その歌は大地を砕く力で、オルテシアの体を粉々に砕いたのだ。
体を砕かれたオルテシアの首がコロリと地面に落ちて転がり、静かに目を閉じた。
「せめて、安らかに眠りな」
それは、狂王アニールの昔話に必ず出てくる悪の軍団、多くのランスブルグの子供達が恐れたお伽噺の悪役の最後であったのだろう。
●拳闘奴隷サムジェット:Battle12
「くそっ、前線に出されて狙われるハメになるとはな!」
闘技奴隷達を率いるマスカレイド、サムジェットは口汚くそう罵った。
あわよくば、この戦場を逃げ延びてランスブルグの放棄領域にでも逃げ込めば、生き延びる目はある……。マスカレイドの力があれば、辺境の獣たちにも負けず他の都市国家へ逃げることもできるだろう。
そう皮算用をしていたサムジェットだが、エンドブレイカー達は禍根を残すことを望まなかったようだ。
「見つけた、あれが指揮官ね!」
気まぐれ狐・ミヤビ(c06299)の声に、エンドブレイカー達が殺到して来る。
変異を遂げたサムジェットの上背が伸び、幾本もの腕が肩から生える。巨腕がエンドブレイカー達を薙ぎ払わんと振るわれ、拳撃の嵐が近付いた者達を襲った。
マスカレイド達の計画として仕組まれていた地獄の闘技場を生き延びただけのことはあるというべきか、その実力は決して低くはない。
しかし、エンドブレイカー達の勢いはそれを上回る。
ミヤビの腕に装着された爪が地面を滑るような低姿勢から、サムジェットの足を刈る。
流麗な動きで爪を叩き込まれたサムジェットは、呻きながら地面に倒れ込んだ。
その隙を逃さず、ミヤビの爪がさらに巨漢を切り刻んでいく。
「これでおしまい♪」
「畜生、俺はこんなところで……」
サムジェットの呻きと共に、この戦場での戦いはエンドブレイカー側の完全勝利に終わった。
●猛獣使いのサンビスケット:Battle10
狂王アニールの時代には、ランスブルグの闘技場に大量のモンスターが過激な闘技のために持ち込まれていたという。
その時代を再現するかのように、ランスブルグ強襲以前にはマスカレイドと化した貴族達が大量のモンスターを放棄領域で狩り出し、あるいはランスブルグへと秘密裏に運び込んでいた。
猛獣たちを操る力を得たというサンビスケットは、それらを統率する存在だったのだ。
今、その猛獣たちの力を身に宿して、エンドブレイカー達を迎え撃っていた。
だが、優勢なのは明らかにエンドブレイカー達の側だ。
「どうした、俺達はまだまだいけるぜ!」
『蒼天の剣』の仲間達と共に、意気軒昂を示すのは一刃の星・レイジ(c02370)。
「ほざけ!」
こちらへ挑みかかってくるサンビスケット。
父から受け継いだ剣を手に、レイジはマスカレイドの振るう斧と切り結ぶ。
互いの武器が互いを傷つけ、レイジの頬に笑みが浮かぶ。
「こいつ、若いくせに……」
「俺からは、マスカレイドとしちゃ弱いなっていえばいいのか?」
レイジが見る限り、サンビスケットの実力はそこまで高くは無いようだった。
1対1なら勝負は分からない。だが、レイジの側には仲間がいる。
「あんただけに付き合ってられないんでな!」
仲間の攻撃でサンビスケットの体が揺れた瞬間、レイジは剣を振るう……と見せかけて、足をすくい上げるように蹴りつけた。
転倒するサンビスケットに馬乗りになったレイジは、瞬間的に何発もの打拳を叩き込む。
うめきを上げたサンビスケットの体から力が抜けていく。
「さぁ、ドンドン行こうか!」
剣を掲げて叫ぶレイジに、仲間達は威勢よく返事を返すのだった。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
料理上手な宿屋の女将リムチャム | 201 | 19勝0敗 完勝! | 1779⇒0 |
図書館館長ヒムネリア | 192 | 0勝15敗 敗北 | 1957⇒1368 |
鉄の城門兵リットン | 155 | 20勝0敗 完勝! | 2011⇒0 |
黒鉄兵団諜報長アルマルク | 123 | 2勝11敗 敗北 | 1512⇒988 |
火那大僧正ガイボン | 228 | 3勝6敗 敗北 | 2128⇒867 |
忍軍若棟梁コゲンタ | 81 | 0勝16敗 敗北 | 【拒絶体】【隠密】1915⇒1898 |
聖者コルリ | 396 | 17勝0敗 完勝! | 【絶望】1950⇒0 |
白の鳥姫シャラン | 185 | 1勝7敗 敗北 | 1560⇒1153 |
花売り少女ヤーユ | 175 | 2勝11敗 敗北 | 1755⇒1196 |
黒百合騎士団長・オルテシア | 415 | 17勝0敗 完勝! | 【虐殺】1582⇒0 |
拳闘奴隷サムジェット | 319 | 12勝0敗 完勝! | 【逃走】1621⇒0 |
猛獣使いのサンビスケット | 209 | 7勝3敗 勝利! | 1384⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第1ターン終了時点) |
---|
89161−1368−988−867−1898−1153−1196=81691 |