<シャルムーンの戦い 第1ターン結果>
第1ターンの開始状況
砂月楼閣シャルムーン。砂漠の真ん中にそびえ立つ、巨大な『爪』の指に巨大な薔薇が咲くのを人々は目撃した。
だが、そのこと自体に対し、都市国家の住民達は驚きはすれこそ、狼狽えはしなかった。
「急げ、避難するんだ!」
昨年にも一度、棘(ソーン)の開花と、数多くのマスカレイドによる侵略を経験した住民達は、各々の判断で危機を察知し、避難していく。
都市の住民達の心には、どこか安心感があった。
危機に陥れば、昨年のように再び勇者シャルムーンが助けてくれる。
一年前の事件以来、勇者シャルムーンは危機に対抗するため戦士団を募ったりもして、防備を強めていた。それらの備えがあれば、再びの危機を退けるなど容易であろう、と。
住民達の大半は、彼らの頼る勇者が宮殿からいなくなった事を知らず、そして何より、勇者シャルムーンが再臨し、解決した昨年の事件が勇者の自作自演であったことを知らない。
だからこそ、他ならぬ勇者シャルムーンの軍勢が人々を襲い始めたときの混乱は凄まじいものであった。
シャルムーンの制御下にあるはずだったピュアリィ達はおろか、シャルムーンの募兵に応じた戦士達までもがそれまでの隣人たちを傷つけ、その命を奪い去ろうとする。
砂月楼閣シャルムーンが絶望の底に沈まんとする中で、敢然と白い仮面の軍勢に立ち向かう者達が居た。
「エンドブレイカー……」
シャルムーンデイに起きようとした惨劇を未然に防いだ者達のことを、人々は思い出す。
●新生黒鉄兵団長カレルヴォ
山斬烈槍ランスブルグで行われた三勇者決戦。
その戦場においてエンドブレイカー達と相対し、生き延びたランスブルグの過去の英雄達は、彼らの主である若草の乙女アリッサムと共に『大空を覆うもの』に乗って姿を消した。
「だが、再戦の機会は来ると思っていたぞ……!」
新生黒鉄兵団の兵士達も、三勇者決戦でのエンドブレイカー達による攻撃を受け、その数を大きく減じている。
生き残りの兵士達を再編して戦いに臨むカレルヴォの声音に、エンドブレイカーは好戦的な喜色を感じ取っていた。
「何笑ってんだよ、完全に捨て駒扱いされてるのに」
辰星・ルイシュ(c16527)が眉を上げた。
砂月楼閣の姫君シャルムーンは戦士団をマスカレイド化して対エンドブレイカーの兵力にしようとしていたようだが、そうした戦力も彼の配下に加わってはいないようだ。
「我が主はアリッサム様。この身がどのような扱いを受けようと、アリッサム様の命令は必ず果たしてみせる……」
ランスブルグの伝説に残る黒鉄兵団。
その黒鉄兵団が狂王アニールによって強制的に終幕を迎えるまでの歴史において、最強と言われた名将は、エンドブレイカー達に手にした剣を突きつけた。
「だが、戦いに意義を求めるもまた、戦う者の業であろう!」
「好き勝手言ってるなぁ!」
付き合ってはいられないと、ルイシュは苦笑する。
カレルヴォ率いる黒鉄兵団の兵士達と、エンドブレイカーとの戦いは、砂月楼閣シャルムーンの街を舞台に巻き起こる。
統率を自慢とする黒鉄兵団だが、その作戦能力も慣れない土地で発揮するのは困難だ。
統率の乱れをついて、エンドブレイカー達は確実に黒鉄兵団の戦力を削り取っていく。
ただ一人、高い実力を発揮していたカレルヴォの黒鎧に、エンドブレイカー達の攻撃が傷を穿っていく。
「さて、行ってみるか!」
ルイシュは黒鵺を手に、カレルヴォへと飛び込んだ。
カレルヴォが警戒と共に盾を向けるが、それよりも早く高速回転からの蹴りがカレルヴォの顔を覆う仮面へと叩き込まれる。
続けざまに叩き込まれた回転蹴りが、カレルヴォの鎧をついに打ち砕いた。
「満足な戦いとは言い難かったが、これもまた定めか……」
崩れ落ちたカレルヴォの肉体が消滅していくのを、エンドブレイカー達は見送るのだった。
●砂塵の翼デイザード
昨年、若草の乙女アリッサムに続いてマスカレイドとして今の時代に現れた勇者シャルムーンが最初に狙ったのは、自分の故郷である砂月楼閣シャルムーンを影響下に置くことであった。
彼女がそのために行ったのは、エンドブレイカーの排除である。
今起きているのと同じように、シャルムーンに棘(ソーン)を開花させたシャルムーンは、現地のエンドブレイカー達を騙し討ちにし、壊滅に追い込んだのだ。
砂塵の翼デイザードは、その戦いの時に命を落とした、シャルムーンのエンドブレイカー達のまとめ役だった。
術者達を集めた旅団の団長であった彼は、団員達と共にマスカレイドとの戦いに身を投じ、そして、デイザードを含めた全員がマスカレイドの執拗な攻撃を受け、命を落としている。
人々の命を求めて砂月楼閣シャルムーンの街へと溢れ出したアンデッド達に、生前の面影はない。その多くが埋葬すらされることなく、老ゼペットが再利用することを思いつくまで打ち捨てられていた彼らのうちの多くは、干からびた死体としての姿を光の中に晒している。
「誰カ、誰デモイイ、早ク、私ニ終焉ヲ……!」
デイザードの口から洩れる虚ろな声が、エンドブレイカー達の耳に届く。
たとえ生前はエンドブレイカーであったとしても、死を迎えた肉体がアンデッドマスカレイドとされる終焉を覆すことは叶わなかったのだろう。
フラスコの菫・カティヤ(c26392)は、憐憫を顔に浮かべた。
「すぐ、終わらせて、あげる」
その二つ名の通り、砂塵の如きデモンウイングを広げるデイザード達へと、前衛を務めるエンドブレイカー達が断固たる決意と共に斬り込んでいく。
アニールの秘儀を借用したとはいえ、ゼペットの実力ではアンデッド化にも限界があるのだろう。
エンドブレイカー達と交戦したアンデッド達は、たちまち吹き散らされるように倒れていく。
そしてデイザードの体の周囲を、金色の蝶が覆い尽くす。
デイザードと仲間達が、その輝きの中で物言わぬ屍へと立ち戻っていく。
「……感謝……スルゾ……」
「ごめんなさい、ゆっくり、おやすみなさい」
カティヤの言葉と共に、かつてのエンドブレイカー達は棘(ソーン)の束縛から解放され、死の旅路へと再び戻っていった。
●殺戮機械キリングチューブ
「コイツに似たような奴は以前見たことがあるが、何体も居るのか……」
暁烏・ニール(c30118)は出現したゴーレム達の姿に、そう呟く。
山斬烈槍ランスブルグを舞台として行われた三勇者決戦でエンドブレイカー達の前に姿を現した敵の中には、冷酷としか評することのできないような目的で作られたゴーレム達がいた。
東方賢者マギラントの操っていたそれらのゴーレムの存在は、勇者達の戦いがいかに苛烈かであったかを示している。
砂月楼閣シャルムーンに姿を現したのは、チューブ状態のボディを持つゴーレムだった。
殺戮機械キリングチューブ。
球状の本体から伸びる何本ものチューブの先には剣呑な武器の数々が装備され、このゴーレムが製造された目的を砂月楼閣シャルムーンの住民達にまざまざと示していた。
他のゴーレム達も出現し、街の人々から悲鳴が上がった。
無数の武器が暴風の如く振り回され、進路上にあるものをズタズタに引き裂いていく。
「安全な場所はこちらです!」
「早く避難して!!」
逃げ惑う住民達をゴーレム達の進軍ルート上から避難させるエンドブレイカー達を横目に、ニールをはじめとしたエンドブレイカー達は星霊建築で作られたゴーレム達へと果敢に立ち向かう。
「巻き込まれたら挽肉ですね……」
まともに相手は出来ないと、振り回されるチューブが建物を引き裂く様子を見ながらニールは判断。
伸ばされて来るチューブをかわしつつ、ロックギターの弦に指を走らせる。
魅惑的な魔曲は生物的な意志を持たないゴーレム達の無機的な体にも浸透し、その攻撃の意志を奪い去っていく。
やがて魔曲が止んだ時、エンドブレイカー達の攻撃を受けたキリングチューブのボディは、音を立てて停止した。
そのボディに張り付いていた白い仮面が、ニールの目の前で消失していく。
「これ、何体居るんでしょうね。以前にも見かけましたが。早々に全部破壊したいところですが、技術があればまたつくられるんでしょうね」
技術者を何とかしたいものだ、とニールは思うが、
「……そういえば元々作ったというマギラントはもう倒していましたね」
もし技術を受け継いだ者がいるとすれば厄介なことになりそうだ。
ニールは密かに溜息をつくのだった。
カレルヴォ、デイザード、キリングチューブと指揮官を撃破したエンドブレイカー達。
また原初のスタッガーとガーディーアの軍勢は壊滅し、逃走している。
初戦を越え、エンドブレイカー達は次なる戦場に挑んでいく。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
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新生黒鉄兵団長カレルヴォ | 545 | 15勝0敗 完勝! | 【ウォール】1233⇒0 |
原初のジェリファン | 278 | 5勝3敗 敗北 | 【原初のピュアリィ】939⇒180 |
原初のアルラウネ | 290 | 4勝6敗 敗北 | 【原初のピュアリィ】1033⇒402 |
原初のスタッガー | 342 | 9勝1敗 勝利! | 【原初のピュアリィ】1136⇒0 |
砂塵の翼デイザード | 302 | 13勝1敗 勝利! | 835⇒0 |
星霊術研究学部長ガーディーア | 325 | 13勝3敗 勝利! | 1088⇒0 |
殺戮機械キリングチューブ | 513 | 15勝1敗 勝利! | 【虐殺】【絶望】1512⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第1ターン終了時点) |
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47927−180−402=47345 |