<シャルムーンの戦い 第2ターン結果>
第2ターンの開始状況
●忌み子ヘルサンディ無数の魔法の札で覆われた忌み子ヘルサンディの全身からは、荒々しい魔力が吹き荒れていた。
勇者シャルムーンの双子の妹というからには、全身を覆う包帯の下には美しい顔があるのかも知れないが、その禍々しいともいえるような雰囲気はマスカレイド化によるものだけではないのだろう。
「出撃……シャルムーンの敵を、倒せ……」
声を発さぬ美姫と知られた姉とは対極とも言えるような姿のヘルサンディは、エンドブレイカー達へと手勢を差し向けて来る。
「あなたが大事なのは砂月楼閣シャルムーンなのかしら、それとも勇者の方? まあ、いずれにしても……」
トロイメライの揺籠・セレティナ(c15834)の手が軽く振られる。
賢者の石が一瞬輝き、銀色の鎖がマスカレイド達を束縛していく。
「ここで止めさせてもらうけれどね」
エンドブレイカー達とヘルサンディの軍勢のぶつかり合いは、次第に激しさを増していく。
シャルムーンの妹に直接率いられ、士気を維持するマスカレイド達を、エンドブレイカー達は着実に打ち倒していった。
苛立たしげにヘルサンディは呟く。
「力が……不完全過ぎる……」
「勇者達の力は必ずしも完全に再現できるわけではないのね。こちらにとっては好都合だけど」
マスカレイド化した六勇者の実力が異様なまでに高いことを考えると、勇者一行の中でも屈指の実力者だったとされるヘルサンディが実力を出し切れないのはエンドブレイカー達にとっての幸運と言えただろう。
ヘルサンディを守るマスカレイド達を打ち崩すと、エンドブレイカー達の攻撃はついにヘルサンディへと届く。
身を覆う包帯が飛び散り、中からシャルムーンと同じ黒い瞳がのぞく。
だが、その瞳はエンドブレイカー達への憎悪に本来の美しさを損なっていた。
「シャルムーンのテキは……私が!」
「そういうわけにもいかないの」
セレティナの放った銀鎖が、ヘルサンディの体に幾重にも巻き付き、その動きを完全に封じる。
生前以上に拘束され、ヘルサンディはついにその動きを止めたのだった。
●氷炎の神槍ルードレード
砂月楼閣の姫君シャルムーンの居所を、エンドブレイカー達は早々に掴んでいた。
都市国家の象徴である『爪』、その真下にある古い城郭が、その場所だ。
だが、その周辺は四人の『再現勇者』達により、強固な防備を得ている。
かつての勇者達の時代に、シャルムーン姫に求婚したとされる四人のうちの一人、氷炎の神槍ルードレードは、藍色の鎧を着込んだ姿をエンドブレイカー達の前に示していた。
「お前達を倒し、シャルムーン姫に勝利を捧げる! それこそが我が望み、我が使命!」
ルードレードの号令の元、シャルムーンを守らんとするマスカレイドの兵士達がエンドブレイカー達へと斬り込んで来る。
瑠璃の烈槍・シキミ(c23537)達は、その軍勢を斬り裂いて突き進み、ルードレードの前に出る。
「瑠璃の烈槍、シキミ。神槍と謳われたものならば、尋常に勝負を」
「槍使いか。面白い」
言ったルードレードが顔を一撫ですると、鳥のような仮面が顔を覆った。
「マスカレイド化しているか……」
「来ぬのか、ならばこちらから参るぞ!」
仮面の向こうから声を発し、ルードレードの槍が残像すら生むような速度でエンドブレイカー達へと突き出された。
血風が舞い、攻撃を受けたエンドブレイカー達が苦痛の声を漏らす。
「一撃では倒せぬか」
「やってくれる……!!」
マスカレイド化によって得た翼で後方、側面からの攻撃を防ぎながら前進して来るルードレード。周囲で戦いが繰り広げられる中、シキミはその意識をルードレードに集中させていく。
「神槍と呼ばれるだけのことはあるか……」
凄まじい槍の腕をマスカレイド化によってさらに高めたルードレード。ただの人間ではなし得ぬような勢いを、エンドブレイカー達は互いを庇い、食い止める。
「やるものだな。だが、我が槍をその程度で砕けると思うな。姫の御為、汝らの命、貫かせていただく!!」
轟然と迫る槍を迎え撃つように、シキミは八束華之槍『仁』を繰り出した。
十字槍の穂先が、絡みつくようにルードレードの槍を一瞬逸らした。シキミの背で、竜胆の花を象った紋様が揺れる。
「あなたがシャルムーンのための槍ならば……私の槍は、人を守るための槍だ!!」
瞬間、ルードレードを上回る勢いでシキミの槍の連打が繰り出された。
ルードレードの全身から血が噴き出し、そしてその姿は消滅していく。
「瑠璃の烈槍、シキミ――此処に敵将討ち取ったぞ!」
神槍と呼ばれた勇者を討ち取った槍を、シキミは高々と突き上げる。
エンドブレイカー達の歓声が、この戦場における勝利を告げて響き渡った。
●原初のジェリファン
「わたしはジェリファン、ゆらゆら揺れる〜♪」
「わたしはジェリファン、あなたの子種を私にちょうだい〜♪」
「あなたの強さを、わたしの子供に継がせるの〜♪」
「あなたの子なら、きっと、強い子になるでしょう〜♪」
「さぁさぁさぁ、そんな衣は脱ぎ捨てて、2人で楽しい事をいたしましょう〜♪」
戦場を半ば制圧した魔道書の錬金術士・エンサイ(c31369)達を前にしても、そのジェリファンは余裕の様子で、ゆらゆらと歌いなが揺れていた。
「やはり、マスカレイドであるのに悪意を感じないな。原初のピュアリィとは、いったいなんなのだろうか。実験動物として1匹連れて帰りたいだな」
そのエンサイの疑問に、原初のジェリファンは答える事無く、ゆらゆらと揺れる。
「わたしはジェリファン、ゆらゆら揺れる〜♪」
「わたしはジェリファン、あなたの子種を私にちょうだい〜♪」
原初のジェリファンは再び歌い出す。
彼女の歌を聞くと、研究に没頭して色恋とは疎遠である筈のエンサイでも、頭の芯がぼぉっとしてくるようだ。
そして、どんどんと原初のジェリファンが魅力的に見えてきてしまう。
研究のためにも、一度、試してみるのも良いかもしれない……そんな考えが、ふらりと思考をよぎった瞬間エンサイは、激しく頭を降ると、魔導書を荒々しく開き力ある言葉を解き放った。
「アルファザール」
その言葉と共に、原初のジェリファンは封印されること無く消滅していった。
「どうやら、話し合いのできる敵では無いようだな。下手に話せば……取り込まれるやもしれん」
エンサイは、怖気を感じてぶるりと体を震わせると、戦場を後にした。
「原初種、思ったよりも厄介な相手のようだ……」
●原初のアルラウネ
美しい花が咲き乱れる戦場に、セイクリッドヴァンガード・マリールイーゼ(c00206)達は足を踏み入れた。
甘い香りがピンク色の陽炎に見える程に濃密になった、その戦場は、戦場を疾駆するエンドブレイカーの汗の匂いも重なり、得も知れない淫猥さを醸し出していた。
戦いが激しくなれば激しくなる程に濃くなっていく甘い香り。
闘いながらも恍惚の表情で秋波を送ってくるアルラウネ達。
その中心に位置する原初のアルラウネは、高く低く、非戦の歌を歌い上げていた。
「わたしとあなたが戦う理由はありませんわ。だって、あなたは動物で、私は植物なのだもの♪」
「動物と植物は互いに支えあい暮らす事ができる♪」
「あなたが吐く息を、わたし達が吸い。わたし達が吐く息を、あなた達が吸う。あぁ、なんて美しい循環なのでしょう♪」
「私は誰とも争いたくない。だから、私は植物として生まれることを望んだの♪」
「私と、私を産んだお母様は、戦うことが嫌い。争う事が嫌い♪」
「お腹がすいたのならば、私の体を食べてくれても良いの。私の体は、欠けてもすぐに再生するのだから♪」
マスカレイドではあるが、戦意は感じられない。
だが、音楽家を志しているマリールイーゼは、その淫靡な歌声に秘められた悪しき力を感じ取っていた。
「確かに、戦意は感じられません。でもそれは、戦意が無いと感じさせられているということではないでしょうか……」
事実、戦場ではエンドブレイカーとアルラウネの戦いが続いており、アルラウネの反撃で傷ついているエンドブレイカーもいるのだ。
だが、それでも、マリールイーゼは、アルラウネが戦いを望んでいないという印象を拭い去れないのだ。
頭でわかっていても、騙される……。これは、そういうことなのかもしれない。
マリールイーゼは、血がにじむほどにソードハープを握りしめ、朦朧としそうな思考を振り払う。
目の前の敵はマスカレイド。
倒すべき敵。
もしかしたら倒さなくても良いかもしれないが、そうすれば、世界中の植物型ピュアリィが、こんな、得体のしれない存在になってしまうかもしれない。
「だから、倒させてもらいます!」
迷いなくシンプルな結論を得て、マリールイーゼは、ピュアリィの歌声を静かな子守唄で打ち消してみせた。
その子守唄を聞き入るような表情で息絶えるアルラウネ。
原初のアルラウネからは、自分を殺したマリールイーゼに対する敵意は感じられなかった。
そして、マスカレイドの仮面が破れ、その美しい花が枯れ崩れ去っていく。
「わたしは戦う事が嫌い……。だから、大魔女の呪いをといて、わたしを戦いの渦から救い出してくれたあなたに感謝するわ。だーいすきっ!」
最後に、原初のアルラウネは、両の腕でマリールイーゼを抱きついて、そして消えた。
取り残されたマリールイーゼは、消え去った原初のアルラウネの姿を目に焼き付けると、戦いへの決意を新たにするのだった。
「原初のピュアリィが悪であったかどうかは判りません。でも、このピュアリィ達に戦いを強要したマスカレイドの事は許すことはできないでしょう」
と。
●原初のベアゼリィ
原初のベアゼリィ達は指揮するものもなく、ただひたすら目の前の敵との戦いを楽しんでいた。
血と汗とはちみつの匂いの充満した戦場。
その戦場では、肉を裂き骨を断つ感触とぬるぬるしたはちみつの感触とが交互に攻め寄せてきている。
はちみつを体に塗るのはベアゼリィの習性だが、この習性は、原初の頃からの習性であったらしい。
「お前、ツヨイな。気に入った」
ひときわ大きな体躯の原初のベアゼリィと相対した還らずの・アカシ(c15681)は、原初のベアゼリィに気に入られていた。
「そうっすか? でも、自分はあなたなんて相手にしてる暇は無いっすよ。どうも、大奇術人改が気になるんっすよねぇ」
「連れないねぇ。でも、ここまできて素通りはさせてあげないよ」
原初のベアゼリィは、獲物を狩る肉食獣の瞳で舌なめずりをする。
どうやら、発情しはじめたらしい。
「あなた本気っすか? 自分、これでも女っすよ! そもそも、指揮官ならきちんと指揮をしないっすっ!」
アカシのツッコミにも、原初のベアゼリィは動じない。
「指揮官? なにをいっている、あいつらとは関係なんて無いね。ほとんどは会ったことすら無かったやつらさ」
その原初のベアゼリィの言葉に疑問を持つアカシ。
「どういう事っすか? ていうかあなた達は、何故、ここで戦ってるっすか?」
「それは、まぁ、なりゆきだな。だが、まぁ、強い雄がいる戦場ならば、望む所だ。頼まれずとも戦うぞ。だから、理由なんて関係ないぞ」
「いや、そこ、とっても重要っすよ。あと、自分は女っすよっ!」
アカシはそう突っ込むが、原初のベアゼリィは色欲に染まりった肉食獣の目でアカシの肢体を舐めまわすように見た。
「女同士も、たまには良いものだよ。それに女同士だって、稀には繁殖できるものさっ!」
「原初のピュアリィ、繁殖力強すぎっすよ! 反則っス!」
腰をくねらせてにじり寄る原初のベアゼリィに知らず、愛槍『Via Lattea』を構えてアカシは半歩後退してしまった。
そして、
「はちみつは滑りがいいからね。初めてでも痛くない。大丈夫だ」
と言いつつ、はちみつまみれの爪を振り上げて、迫ってくるが、アカシの攻撃が一手早かった。
「こっちこないでっス! 疾きこと、疾風の如くって、疾風突き!」
アカシは、高速踏み込みと見せかけたフェイントを織り交ぜ、迫ってくる原初のベアゼリィを、串刺しにして串刺しにして串刺しにして串刺しにしたあと、疾風のような連続突きを放った。
さすがの原初のベアゼリィもその怒涛のような攻撃の前に、耐え切ることなどできはしなかった。
「残念。だが、まぁ、楽しかったよ。ありがとな」
原初のベアゼリィはそう告げると、マスカレイドの仮面と共に崩れ去り、自力で危機を逃れたアカシは、フゥと息を吐いたのだった。
●白鷺の寵姫リアントライム
白鷺の寵姫リアントライムが率いる軍勢は、砂月楼閣シャルムーンの街路を進軍していた。
リアントライムが率いるのは、彼女の主であった狂王アニールの手勢としていたアンデッド達だ。
山斬烈槍ランスブルグで猛威を振るったアンデッドの軍勢は、砂月楼閣シャルムーンの人々を食いちぎり、温かな血を啜ろうと盲目的な前進を繰り返す。
「往きなさい、往きなさい! アニール様を斃した者達を滅ぼすまで、止まってはなりません!」
リアントライムの手にした鞭が、アンデッドの背中に振り下ろされる。
鞭打たれたアンデッドは文句すら言わずに歩き出す。
「あの女性が、『喋る武器』を持っているのね」
その光景を≪悪徳の栄光≫紅薔薇と共に見た夕焼け小焼けの・タユ(c20343)は、他のエンドブレイカー達とタイミングを図り、共に走り出した。
狂王アニールと共にアンデッドとして蘇った寵姫達の中、偶然にも『喋る武器』の一つである【妬む杖ビュレファスト】を確保したのがリアントライムであった。
杖を武器として利用していない理由はすぐに痴れた。
『……エンドブレイカー……接近……警戒せよ……』
喋る武器の声を受け、アンデッド達がこちらを向く。
本来は指揮能力などないリアントライムを、『喋る武器』が補佐しているのだ。
「海賊の首領をやってただけのことはあるみたいね……行って!!」
タユの合図と共に、妖精達が針状の剣を手にアンデッドへと襲い掛かる。
リアントライムが纏っていた白鷺の寵姫の名に相応しい清廉としたドレスは防具としては物の役にも立たず、エンドブレイカー達の攻撃によってたちまちボロボロに千切れ飛んでいく。
「アニール様の仇、討たせてもらいます!」
「アンデッドがアンデッドの敵討ちなんて……怪奇話じゃあるまいし」
ここで終わりにする。
タユの意志を受けて飛んだ妖精達が、リアントライムの全身を貫いた。
糸が切れた人形のように崩れ落ちるリアントライムの腰から杖が転がり落ちると、ひとりでに空へ舞わんとする。
「逃がさないで!」
タユの声を聞き届け、周囲で戦っていたエンドブレイカー達が飛び去ろうとした【喋る杖ビュレファスト】を叩き落とす。
『……状況、把握……逃走……及び情報伝達、不能……』
一瞬の後、エンドブレイカー達の一斉攻撃は、『喋る武器』を粉々に打ち砕いていた。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
蜃気楼のメリアンジェ | 372 | 3勝6敗 敗北 | 1425⇒502 |
忌み子ヘルサンディ | 358 | 16勝0敗 完勝! | 1044⇒0 |
氷炎の神槍ルードレード | 418 | 8勝1敗 勝利! | 【ガード】1450⇒0 |
原初のジェリファン | 186 | 3勝0敗 完勝! | 【原初のピュアリィ】180⇒0 |
原初のアルラウネ | 205 | 4勝0敗 完勝! | 【原初のピュアリィ】402⇒0 |
原初のベアゼリィ | 389 | 10勝2敗 勝利! | 【原初のピュアリィ】1250⇒0 |
白鷺の寵姫リアントライム | 568 | 24勝0敗 完勝! | 【妬む杖ビュレファスト】1335⇒0 |
大奇術人形改 | 354 | 2勝12敗 敗北 | 【ウォール】1770⇒1023 |
ブレイクゲージ残量(第2ターン終了時点) |
---|
47345−502−1023=45820 |