<シャルムーンの戦い 第6ターン結果>
第6ターンの開始状況
●奇術師・老ゼペット
砂月楼閣シャルムーンのオアシスの街の一角に、棘(ソーン)の開花と共にけばけばしい色の大テントが突如として出現し、そしてそのテントから多数の敵が溢れ出したという情報を、救助した人々からエンドブレイカー達は聞いていた。
そのテントがランスブルグ残党軍を率いる奇術師・老ゼペットの拠点であることは、もはや疑う余地もない。
「……外から攻撃するわけにもいかないかな」
刺し穿つ黒白の槍・リーゼリット(c02065)は軽く眉を寄せる。
老ゼペットに逃げ隠れされると面倒だ。
敵地と理解しつつもテントの中に足を踏み入れるエンドブレイカー達の耳に、朗朗とした老人の声が届く。
「ようこそ、此処こそは奇術の粋の集う場にして、この戦いの雌雄を決する決闘場……!」
歓迎すると言わんばかりに両手を広げた老ゼペットが帽子を掲げる。
から鳩が飛んだ瞬間、大テントの中にマスカレイド達が忽然と出現する。
高笑いしながらゼペットはマスカレイドとしての姿を現し、子供のオモチャを寄せ集めたような異形の怪人と化す。
「さあ、命懸けの大奇術、はじまりはじまり! タネも仕掛けもございません!」
一気に死地と化したテントの中、エンドブレイカー達とマスカレイド達との戦闘音と勇ましい声、倒れゆく者達の苦痛の声と悲鳴がこだまする。
その叫喚の中をスキップを踏むようにして走りながら、ゼペットは嘲笑めいた声を上げる。
「音に聞く『カーニバル』とやらもこんな感じじゃったのかのう! シャルムーンが死に、儂が生き残ったなら、全盛期の『カーニバル』を蘇らせるのも悪くない!!」
嬉しそうにゼペットの伸ばす腕が、エンドブレイカー達を薙ぎ払う。
その悪意の籠った声は、奇術師などではなく人を虐げて喜ぶ悪鬼のそれだ。
「おじーちゃんはもう寝る時間だよ!」
リーゼリットは双槍を手に前に出た。
棘(ソーン)を二股の矛先を持つ『破邪の黒薔薇』を一振りしてゼペットの伸ばした手を絡め取ると、終焉の白薔薇を突きつける。
「だっしゃぁ!!」
実体化させた棘(ソーン)が、ゼペットに向けて猛烈な勢いで射出した。
さしものゼペットも動きを封じられた状態でそれをかわし切ることはできず、その胸板を棘(ソーン)が貫く。
「おおっと、これはこれは……命懸けのマジックショー、失敗すれば命は無いのも当然じゃな」
ゼペットの顔から仮面が落ちる。
「それでは皆様、公演はここまで! おさらばでございます!!」
ゼペットの頭の上で、彼に訪れた終焉を示すように鳩が鳴く。
次の瞬間、マスカレイドと化した老奇術師は、本来数百年前にそうであったように、跡形もなく消失していた。
●砂月楼閣の姫君シャルムーン
〜シャルムーン姫の伝承〜
砂の国に、「シャルムーン」という名の美しいお姫様がおりました。
お姫様は、王族の掟により「声を出すこと」を禁じられていました。
だからお姫様は、言葉の代わりに宝物や花を与え、
それらの形状や色彩を通じて、自らの気持ちを表していました。
ある時、お姫様は恋に落ちました。
でも、言葉に出すことはできない。
でも、この気持ちを伝える宝物も思いつかない。
そこでお姫様は、自らの気持ちを表す宝物を、自らの手で作ることにしました。
恋のように甘く、葛藤のように苦いお菓子。
彼女の発明したお菓子は後に「チョコレート」と呼ばれ、
それを作った2月14日は「シャルムーンデイ」と呼ばれるようになったのです。
現在の砂月楼閣シャルムーンは有力な領主達の合議制によって治められているが、勇者達の時代にはシャルムーンデイにまつわる伝承にもある通り、王族が君臨するかたちで統治されていた。
今の時代に蘇った勇者シャルムーンは、王家の復興を不安視する有力者たちの心にも付け入る形で勢力を拡大している。
そして、この決戦の場において、砂月楼閣の姫君シャルムーンが居たのは都市国家の象徴たる『爪』の麓だった。
山のように巨大な『爪』の指に、棘(ソーン)は巻き付き薔薇は咲き誇る。
暮れゆく日が作る影の中で、エンドブレイカーと伝説の姫君は向かい合っていた。
「あと僅かで私の勝ちですね」
砂月楼閣の姫君シャルムーンの仮面の下から、美しい声がエンドブレイカー達の耳に届く。
伝承では『声を出すこと』を禁じられていたというシャルムーン姫。
シャルムーンデイに彼女と戦ったエンドブレイカー達は、その掟は魔術的な儀式によるものであると彼女自身の口から聞いていた。
それもまた、当時のシャルムーン王家に伝わっていたものなのだろう。時代の流れと共に失われた秘術だが、それらもまた、シャルムーンの力の一端であったのだろう。
ラッドシティの存在や、それに由来する紫煙銃などが開発される一方で、勇者達の時代以降、人類が失った知識や技術は少なくない。
テレポーテーション等のように『禁じられた』魔法、シャルムーン王家に伝わっていた、『制限による魔力の増強』もそれだ。
だが今、彼女が得た力はより直接な暴力だ。
勇者達の時代には、敵としていたマスカレイド。
その軍勢をもって、彼女はエンドブレイカー達を迎え撃つ。
大軍勢を突破し、シャルムーン本人を討たねば、この都市国家は無に帰すのだ。
「怯むことはありません!!」
薙刀の女丈夫・ケイト(c00857)は、グランスティードの背から仲間達を激励する。
主の意志を汲んだグランスティードは、勢いをつけてマスカレイドの軍勢へと突入した。
ケイトの振り回す薙刀の前に、壁の如くシャルムーンへの往く手を遮るマスカレイド達が蹴散らされていく。≪湖面庭園 【睡蓮堂】≫のエンドブレイカー達がそれに続き、切り拓かれた突破口をさらに押し広げて行った。
「世の中には無駄な抵抗というものがあることを、教えて差し上げましょう!」
シャルムーンのムーンブレイドが月の如くに煌めき、接近するエンドブレイカー達を撫で切りにしていく。
「マギラントさんとガンダッタさんを倒されただけのことはありますね」
自分の攻撃を受けてなお立ち上がるエンドブレイカー達の存在に、シャルムーンは感嘆の息を漏らした。
巨獣達をも動員し、エンドブレイカー達を叩き潰しているが、にも関わらず立ち上がる、意志の強さはどこから来るのか。
「その呪縛から解き放ってあげましょう!」
ケイトの声が、シャルムーンの耳を打つ。
「この期に及んで、敵に情けですか? 随分と余裕ですね」
降り注ぐ光の雨をムーンブレイドからの月光で遮りながら、シャルムーンはそう呟く。
だが、ケイトの心は彼女に訴える。もう苦しまなくていい、と。
「く……! 私が、苦しむ? 違う、私は、あの人のために、魔女に……!!」
苦悩するような声を上げながらも、その腕は止まることなくエンドブレイカー達へと繰り出されていく。
だが、エンドブレイカー達の反撃もまた止まるところを知らない。
巨獣達が倒されると、あとはマギラントを倒した時の再現だ。怒涛のような攻撃がシャルムーンへと叩き込まれ、勇者を追い込んでいく。
「これで終わりにします……!!」
グランスティードと共に突撃したケイトのサイクロンドライブが、シャルムーンの身体を宙高く舞い上げる。
軽い体が地へと落ちた瞬間、彼女の元から巨大な存在感を保つものが自分へと流れ込もうとするのをケイトは感じ取る。
「ッ!!」
咄嗟にそれを弾いた瞬間、空には巨大な木々のような物体が浮かぶ。
それを目の端に、ケイト達エンドブレイカーは仮面の剥がれたシャルムーンの元へと走り寄った。何度か声を発しようとし、しかし上手くいかずにいるシャルムーンの姿に、ケイトは気付く。
『マスカレイドでない』彼女にとって、声を発するのはおそらく生まれて初めての事なのだ。
「落ち着いて、ゆっくりで構いません」
ケイトの声に、うっすらと笑顔を浮かべ、シャルムーンは言った。
「……アリッサムさんを……止めてください……彼女は……新たなる『魔女』になろうとしています……」
切れ切れに、若草の乙女アリッサムの行方を示す言葉が紡がれる。
「『薔薇の痕』より……『盟約の地』に至って下さい……アリッサムさんも、そこに……」
そう告げる、シャルムーンは最期の言葉を発した。
「ご迷惑を……お掛けしました。ラズワルド様のことを……お願いします……」
その言葉と共に、シャルムーンの亡骸は砂のように崩れ去る。
同時に、暴れ回っていた巨大なシャルムーンメイガスが主を喪い動きを止めた。
そして空に浮かんだ『森』からは、巨大な妖精が出現する──!
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
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シャルムーンメイガス(未完成) | 102 | 0勝35敗 敗北 | 【遠隔操作】2430⇒2398 |
砂月楼閣の姫君シャルムーン | 2162 | 39勝28敗 勝利! | 8091⇒0 |
奇術師・老ゼペット | 704 | 14勝0敗 完勝! | 902⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第6ターン終了時点) |
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27691−2398=25293 |