<ガロウマルの挑戦 第2ターン結果>
第2ターンの開始状況
●獣王斧槍バンガイア:Battle7「『獣王』の名において、地上を支配せん!」
獣王バンガイアを操るのは、その手にした長柄のハルバードだ。
五将軍ゼルデギロスの部位所有者のうちでも、最も肉体的素養に恵まれたバンガイアの強靭な腕で振るわれたハルバードは、強烈な勢いでエンドブレイカー達を吹き飛ばし山裾の木々を次々とへし折る。
シーバルバの王として君臨したマスカレイドは、生前と同じように獅子吼を上げる。
「地上に出た以上、もはやシーバルバにこだわる必要もない! 全てのバルバを支配下に置き、地上全てに君臨する王者となろう!」
大言壮語というべきなのだろうが、放っておけばそれを成し遂げかねないような迫力が、バンガイアの総身には漲っていた。
『そうしたら、まずは水神祭都アクエリオだニャ』
「ニャァニャァうるさい、黙っておれ。貴様は黙って我に力を与えておればよいのだ!」
そうすれば、その望みのまま、エンドブレイカーを粉砕しよう。
怒れる獣王の視線が、万の刃に刻まれし薔薇・アンセルム(c18292)達を捉える。
3mを越えようかという長身の突撃は、直撃すればエンドブレイカー達の肉体を一撃で粉砕して余りあるものだ。
「けど、一度は倒した相手なんだからねぇ。ここで止められない理由があるかい?」
アンセルムは周囲のエンドブレイカー達にそう問いかける。
頼りなさげな普段とは異なり、アンセルムの瞳はバンガイアの戦意を受けてむしろ輝かんばかりだ。
突き進むバンガイアの振り回したハルバードが仲間達を弾き飛ばし、山肌がごっそりと抉り取られるように削られる。
山肌の崩れと共に生まれる空気の流れを肌で感じながら、エンドブレイカーはバンガイアを目掛け、金色の蝶の群れを放つ。
「小賢しい!」
嵐の如く振り回されるハルバードがアンセルムの放った蝶の群れを蹴散らすが、それを目くらましとして利用して、他のエンドブレイカー達がバンガイアの長躯へと攻撃を叩き込んでいく。
『ちょっと落ち着くニャ。』
「煩い、我が名はバンガイア! 全てを蹂躙する獣王なるぞ!!」
『あーやべーニャこりゃ』
すっかり冷静さを失っているバンガイアに、『喋る武器』が舌打ちせんばかりの様子で辟易したような声を発する。
その瞬間、アンセルムの残った蝶がバンガイアの顔に貼りついた。
ぐらりとバンガイアの巨体が揺れ、地面へと倒れ伏す。
「流石に手強い相手でしたね」
ふぅ、と溜息をついてアンセルムは汗をぬぐう。
使い手を失った『喋る武器』が破壊されるまで、時間はかからなかった。
●怪刀ファルケイン:Battle5
「残念だ、本当に残念だ」
仮面の怪刀ファルケインは、心底残念そうにエンドブレイカーを出迎えた。
「君達に倒された怪盗ファルケインはね、心のなかでは君達と戦いたくは無いと思い続けていたのさ。助けて欲しいとも思っていたようだ」
怪刀ファルケインは両手の剣をすらりと引き抜くと、言葉を続ける。
「かく言う私もね、今回は戦わずにすむかもと期待していたわけさ。だってそうだろう?
君達の目的は、仲間の救出と勇者ガロウマルの撃破……。なら、僕達は戦う必要なんて無いじゃないか?」
だが、そう言うファルケインは、手に持った刀に操られるように戦闘態勢を整える。
「わかったよ、戦えばいいのだろ? 今は君が上位者だからね、指示には従うよ」
ファルケインの言葉に、刀は満足そうに黒光りして答えたようだ。
「あなたを倒す理由は、あなたがマスカレイドであるというだけで充分です。あなたを逃がせば、エリクシルを狙って悪さをするのでしょう?」
フレイムソードの魔想紋章士・リィズ(c34009)の言葉が正鵠を射たのか、ファルケインは仮面の奥の表情を歪める。
「それはそうだ。エリクシルがあれば、私は怪刀では無く怪盗に戻れるのだからね。そのためにも、君達には死んでもらわなければなりません」
混在する口調は、彼が完全な再現体ではないが故か。
口を閉じると、ファルケインは、左肩から生える翼を羽ばたかせて銀の戦乙女・ヴァルトラウテへと斬りかかった。
しかし、その攻撃も漣曇・リュートによって塞がれてしまう。
「いまのがダメですか。ならば逃げの一手……は不許可と。どうして私の武器があなたなのか理解に苦しみますよ」
ファルケインはエンドブレイカーの集中砲火を受け、傷つき業炎に焼かれつつも、戦場に踏みとどまらざるをえない。
「ここまでです、ファルケイン!」
逃げ出すに逃げ出せない怪刀ファルケインに、リィズのフレイムスロワーが迫る。ファルケインは、その炎を華麗に回避したかに見えたが……、
「甘いです」
炎はファルケインを追いかけるように飛び、ファルケインを、彼を支配していた喋る武器もろとも焼きつくしたのだった。
●腕姫レム:Battle6
魔王ゼルデギロスの部位所有者としての姿を現した夢姫レムが持つ、無数の手。
そのうちの一つが、無骨なバトルガントレットに覆われていた。
「……これも、夢なの?」
『そうです。だから、あなたの思うがままにして良いのですよ』
優しい女性のような声で、『喋る武器』はレムに語り掛ける。
『ですが、あなたの夢を邪魔する者達がいます』
「あの人達、嫌い……」
『喋る武器』を持つ兵士達を倒しながらレムの方へと切り込んだ千夜一夜・モルティ(c10075)は、レムがその可愛らしい顔を嫌悪感でいっぱいにしながら自分を睨みつけるのを見た。
「レムちゃん! 今、あなたの夢の邪魔をしているのは、そのガントレットなのよ。いま目を覚まさえてあげるのね」
モルティは、かつての夢姫レムにそう呼びかける。
彼女は死んだ。
それは悲しい事だが、その身体を再現して利用しようというのは、許される事では無い。
だが、その言葉はレムには届かなかった。
「私は腕姫レムになったの。だから、この腕のいうことは全部正しいの。だから、あなた達は敵……」
腕姫となったレムは、その半身たるバトルガントレットからミサイルを撃ちだしつつ、エンドブレイカー達を攻撃する。
「……。仕方ないのですね」
モルティは、レムの悪夢を終わらす為に指先にソーンを絡ませると、腕姫レムに跳びかかり、その胸元を大きく切り裂き、切り開いてみせた。
引き裂かれた魔王の外套の向こうには、レムの華奢な姿が見える……。その胸からは大量の血があふれていたが、その瞳は未だに夢の中を彷徨っていた。
だが、
「起きろやゴルァ!」
豹変したモルティの怒声に、レムは夢から引き戻される。
「これは夢じゃないの……? だって、でも……。それじゃぁ、ここは何処なの?」
そのレムの言葉に、モルティは「ここは現実なの」と答えを返す。
夢であれば何をしても良いのかもしれない。しかし、ここは現実であり、それは許されない。
モルティの言葉に、腕姫のガントレットは最後の反撃を試みるが、レムがその腕を押しとどめた。
「私の友達はみんないなくなったの。あなたは、私のお友達になってくれる?」
腕姫レム、いや、夢姫レムは夢見るような表情でそう聞くと、コテンと首をかしげてモルティを見上げた。
その胸からは大量の血が流れ、もはや助かる道は無い状態であったが、最後の瞬間、彼女は攻撃では無く友達を願ったのだ。
「モルティでよければ」
モルティがそう答えると、レムは嬉しそうな笑みを浮かべてから、四散して消え去った。
モルティは悔しそうな、そして少し満足そうな表情で、消え去るレムを見送ったのだった。
●廻る骨槍ビルガルド:Battle6
エンドブレイカー達の前を遮るのは、無数の『喋る武器』を手にした兵士達だ。
黒刃使いガンダッタがアマツカグラに攻め寄せた際にも同行していた彼らは、その身体を無個性かつ無機質な、金属の仮面で覆われている。
海賊群島での戦いを経験したエンドブレイカー達は、それらの姿に海賊群島を支配していた海賊首領ガルヴァルドに酷く似たものを感じていた。
「身体自体はマスカレイドではない、か」
空ばかり見てる・ルスラン(c35273)は戦いに厳しい表情を作りつつ、そう見て取った。
その状態は、アマツカグラに現れた『喋る武器』を持つ辻斬り達と同様か。だとすると、急ごしらえというのが相応しい使い手なのかも知れない。
だが、彼らが手にした『喋る武器』はいずれもマスカレイドとしての力を宿している。それも並みのマスカレイドでは及びもつかないような力をだ。
喋る武器は『身体』を操り、攻撃を行わせて来る。
往く手を遮る『喋る武器』使い達の攻撃が秘める威力は、エンドブレイカー達の中でも腕利きの者達に匹敵するに違いない。
『大地の扉』を目指すエンドブレイカー達の耳に剣戟の響きが届いて来る。
山のあちこちで、エンドブレイカーと『喋る武器』使い達が交戦しているのだ。
『巡リテ廻リテ殺シテ乱ス!キルキルコロスキルキルキル!!』
異様な叫び声を上げながら、指揮官らしき『喋る武器』使いがエンドブレイカー達の方へと突進して来る。
「あれが新型か……でも、なんかこの間一緒だった仲間が似たような武器持ってたような……ドリル?」
首をかしげながらも、ルスランはその指揮官、廻る骨槍ビルガルドへと矢を射かけていく。
『キルキルキルキルキルキルキルキル!!』
槍を高速で旋回させ、飛来する矢を弾くビルガルド。
ルスランとビルガルドの間に、破壊された矢の破片が無数に散らばっていく。
だが、それは明確な隙としてエンドブレイカー達が攻撃する機会となる。
足を止めたビルガルドに集中する攻撃は、その身を覆う鋼の装甲を破壊していった。
やがて砕かれたビルガルドの鎧へと、ルスランの放った矢が吸い込まれるように突き刺さる。
「仕上げもきっちりとやらないとな……」
肉体を破壊しても、それだけでは不足だ。
彼らの中でも特に力の強いもの達は、その戦闘経験を持ちかえり、ジュウゾウの元でまた新たな『喋る武器』を作り出すことになるだろう。
「はっ!!」
気合いの声と共にエンドブレイカーが撃ち出した矢は、逃走を図った『喋る武器』を見事に貫いていた。統制が取れなくなったように、他の『喋る武器』使い達の動きが乱れ始める。
「大半の『喋る武器』は急ごしらえか……」
指揮個体を破壊すれば、あとは突破するだけだ。
散を乱した『喋る武器』使い達を蹴散らすと、エンドブレイカー達は『大地の扉』へ向かい、駆け出すのだった。
●斧剣ガノッサス・アックス:Battle7
黒刃使いガンダッタ・アックスの子孫であるガノッサス・アックス。
フローレンスの実の父親である彼もまた、この戦場に姿を現していた。
魁刃・ナガミ(c08545)は前方を遮るガノッサスを見据え、無言のままに太刀を構える。
「……」
「……良い目つきだァァァ! 我が軍門に降るがいいィィィィ! 『戦神斧』を手にしアクスヘイムの王となるのは我なりィィィィ!!」
『いや、あなたダメでしょ? 再現体だし元々素質ないし弱いし?』
手にしたアックスソードが、吠えるガノッサスに水を差すが、ガノッサスには届いていないようだ。
「……ふむ」
よくよく考えてみれば、ゴルバックというスペアボディを用意していた黒刃使いガンダッタ・アックスもわざわざ自分で『戦神斧』を奪うためにアクスヘイムへ攻め込んだのだから、単に外側だけ真似ても無理なのだろう。
「関係はないィィィ! 我がアックス家こそがアクスヘイムを支配するのに最も最も最も最もふさわしいのだァァァァ!!」
ガノッサス・アックスの喉から、狂おしい怒りの唸りが上がった。
変異し、人ならざる姿へと変わったガノッサス・アックスの豪腕がアックスソードを横薙ぎに振るわんとする。
分厚い刃を咄嗟に立てた武器で受け止めたエンドブレイカーはその勢いを利用して僅かに間合いを離すと、着地の瞬間に足裏に力を入れた。
両手で構えた太刀を、緩やかな流水の如く振るう。
その刃はエンドブレイカー達へ攻撃を仕掛けようとしていた『喋る武器』使い諸共、ガノッサスを斬り裂いていた。
「痛みなどォォォォ! 我が王道の前には無力無力無力無力無力ゥゥゥゥゥ!!」
その斬撃を耐えきったのは、流石に指揮官というべきか。
だが、ナガミの攻撃はそれだけでは終わらない。
彼は足裏で地面を掴むような踏み込みから、己の身体を一塊の弾丸のようにして前方へと撃ち出すかのように斬り込んだ。
アックスソードを戻す暇もなく、ガノッサス・アックスの赤い肌へと刃は走った。
一瞬の静寂。ナガミは苦痛の声を上げるガノッサスに一瞬だけ目を向けると、もはや彼を見向きもせずにまっすぐに駆けていく。
『やはり駄目ですかぁ? アックス家の人間なのに斧向きじゃないですし、アクスヘイムの王の素質無かったんですねぇ……?』
そう言葉を放つ『喋る武器』に亀裂が走る。
ナガミへと振りむこうとしたガノッサスの身体は、バランスを崩したように転倒、その赤い身体から血が流れ出す。
「我は……王……なり……」
やがて武器が砕ける音と共に、ガノッサス・アックスは完全に動きを止めていた。
●双凍剣の魔女チャイム:Battle6
「……やっぱり、また敵になるんだね」
金糸に添うる藍の花・レアーナ(c11675)達は目の前の道を塞いでいる軍勢の指揮官へと目を向けた。
「なんで、私がこんなところに……というか、ここどこ?」
バイザー状のマスカレイドの仮面をつけた少女の名は、チャイムという。
エルフヘイムの沼地を支配する『沼地の魔女』を、引き継ぐハメになってしまった少女だ。
完全にマスカレイドと化してしまい、説得することさえままならなかった少女は、今もアイスレイピアの『喋る武器』に操られるまま、双凍剣の魔女チャイムはエンドブレイカー相手の防衛戦に駆り出されている。
再現体である以上、説得することでどうにかなるような存在ではないだろう。
チャイムの突き出すアイスレイピアが帯びた冷気が、離れた場所にいるエンドブレイカーにまで冷気を伝えて来る。
だが、その顔に覇気はなく、戦意すら感じ取ることはできない。
それでも、戦うべき相手であることは変わりなかった。
アイスレイピアを振りかざしたチャイムの周囲が、氷原へと変わっていく。
凍てつく冷気を纏う『双氷剣の魔女』……しかし、その乏しい動きは、レアーナにとって格好の標的だった。
いつでも船漕ぐ・オールの黒鉄騎士団の紋章が光り輝き、伝説の兵達の突撃がチャイムを大きく弾き飛ばす。
「えっ、ちょっと!?」
「そのまま、動かないでおいて!!」
動転するチャイムの影にレアーナの投げつけた魔鍵が突き刺さり、その動きが封じられる。
棘(ソーン)の犠牲となり、今また『喋る武器』に使われる存在と化したチャイムは、これ以上凶行を重ねさせてはいけない存在だとエンドブレイカー達は皆、心のどこかで感じていた。
そして、周囲にいた『喋る武器』使い達を駆逐したエンドブレイカー達は、チャイムへと向き直る。
「終わりにしましょ」
レアーナが再び投げつけた魔鍵によって、チャイムは、そしてそれを操る『喋る武器』はより一層厳重に拘束される。
じたばたと動く『喋る武器』をエンドブレイカー達が破壊すると共に、かつてそうであったようにチャイムは倒れ、その存在を再び無に帰していくのあった。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
獣王斧槍バンガイア | 372 | 7勝0敗 完勝! | 【逆上】513⇒0 |
怪刀ファルケイン | 290 | 5勝0敗 完勝! | 513⇒0 |
腕姫レム | 314 | 6勝0敗 完勝! | 513⇒0 |
廻る骨槍ビルガルド | 317 | 6勝0敗 完勝! | 247⇒0 |
斧剣ガノッサス・アックス | 396 | 7勝0敗 完勝! | 【ウォール】370⇒0 |
双凍剣の魔女チャイム | 315 | 6勝0敗 完勝! | 【ウォール】468⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第2ターン終了時点) |
---|
32510=32510 |