<盟約の地の冒険 第5ターン結果>
第5ターンの開始状況
始まりのエンドブレイカー、アウィンが遺した大量のエリクシルは、一斉にエリクシルの妖精を呼び出しつつあった。
その数、実に33体。
宝物庫に挑んだエンドブレイカー達は、その全てに見事な勝利を収めた。
エンドブレイカー達が高めた力があれば、妖精程度に敗北することなどありえない。
始祖たるアウィンや『世界の瞳』たる大地母神に、力を示すかのような、鮮烈な勝利だ。
だが、全てのエリクシルが願いを叶えたかといえば、そうではない。
エリクシルの妖精にとどめを刺した33人のうち16人は、エリクシルへの願いを放棄し、これを破壊した。
遺失魔術ステイシスによって維持されていたエリクシルの存在は、跡形もなく消えていく。
そして17人のエンドブレイカーが、己の願いをエリクシルに告げていく……。
●折れぬ大樹・ユーフィ(c34276)
「私は、『創世巨獣ガルシェンの心臓』を代償に、『伝説の勇者ラズワルトの棘からの解放』を望みます!」
エリクシルに願いを告げた瞬間、ユーフィは己の中の何かが変化していくのを感じる。
「この力は……?」
『ラズワルド』は いまだ 棘(ソーン)に侵されて いません
もしも 『ラズワルド』が 棘(ソーン)に 侵されたならば
『ラズワルドセイヴァー』の力が発揮されるでしょう。
エリクシルから与えられたのは、ラズワルドを救うため『だけ』の能力。
もし使おうとすれば、ユーフィ自身がラズワルドと戦い、勝利しなければならないと、彼女は新たに得た自分の力を意識する。
「でも、それで十分です。勇者達の願いを……叶えて、あげたい」
●夢歌い・ヤクモ(c01272)、銀目の踊り子・タージェ(c19470)、斧の城塞騎士・フラン(c00997)
「『創世巨獣ガルシェンの心臓』を代償に、ゼファーとジェスターと原初のスタッガーの居場所を知らせる地図を望む」
端的に告げると、それを満たすものがヤクモの手の中に納まった。
「尋ね人の地図……か」
ゼファー、ジェスター、原初のスタッガーの現在地を表示する、魔法の地図だ。
また、銀目の踊り子・タージェ(c19470)と斧の城塞騎士・フラン(c00997)は、ゼファーだけの居場所を表示する魔法の地図を手に入れていた。
●リョウ(c11025)、華と夢・アルカ(c23651)
リョウとアルカが望んだのは、水神アクエリオに関することという点では共通していた。
リョウが毅然と叫ぶ。
「大星霊アクエリオの力の完全復活を!」
アルカが当然のように告げる。
「水神アクエリオのありとあらゆる秘密が描かれた書物を」
2人の願いが妖精に聞き届けられたのと時を同じくして、水神祭都アクエリオでは異変が生じていた。水面が輝き、星霊ディオス達が乱舞し、アクエリオの使いたるケルピー達が嬉しげに水路を走り回る。
「これは、一体!?」
水瓶内部の水神の聖域を訪れたアクエリオの『代理者』棍の群竜士・メイベル(cn0129)が目にしたものは、清冽な水気に覆われた水神アクエリオの姿だった。
「おお、メイベルか。……見てくれ、水の大星霊としての私の力が取り戻されたのだ!!」
星霊リヴァイアサンをも遥かに上回る、水の大星霊。
「力が戻ったからには、私の姿も……はぁっ!!」
アクエリオの身に膨大な魔力が集まり、そして解放される。
そして燐光の中から現れた『アクエリオ』は、メイベルにウインクする。
「どうだい、美形だろう?」
「は、はぁ……そうですか? 今までのディオスの姿と区別つかないんですけど」
「何を言うんだね、この目つき、肌のツヤ、クチバシの輝き……見事なものだろう?」
「……言われてみれば、確かにそうかも知れません」
ゴンドラ会社の経営に携わって大人の処世術を覚えたメイベルは、ふとアクエリオの王冠の上に何かが乗っているのを見た。妙に真新しい書物だ。防水でもかかっているのか、水を弾いている。
「あの、その書物は一体?」
「ん……?」
その中を改めて、アクエリオの美形と主張する顔が蒼くなった。
「……なッ!? なんだ、これは……しかも破れないだと!? こ、この本は何でもないんだ。気にしないように頼むよ」
一方、アルカは憤然としていた。
「願いをかけたはずなのに、何も現れませんでしたわ! このエリクシル不良品ですの!?」
●棘喰・ガーラルド(c29038)
ガーラルドが望んだのは、『エンドブレイカー、全ての魔女、全てのバルバ、全てのピュアリィ、全てのマスカレイド、棘、スリーピング・ビューティーの情報を記した書物の置かれた図書館の存在』。
だが、エリクシルが示した結果は冷淡だった。
そうした 『書物』は存在せず
『図書館』 もまた 存在しない ことを 『保証』 します
「いや、そういう意図では……」
ガーラルドは渋面を作った。
曖昧に取られる願いに対し、エリクシルは時に願った者の意図と違った反応を示す。
●朱き暴風・オデッド(c31743)
「アクスヘイムに棘とマスカレイドの影響をはじく結界の構築を!」
オデッドの願いは、かつて水神祭都アクエリオで願われたのと似たものだった。
彼女の意志は、遥かに遠く離れた戦神海峡アクスヘイムで即座に反映される。
突如として地響きにアクスヘイムが一瞬大きく揺れる。
ギガンティア『ベルベットガーデン』、そして『ディスカスハイブ』が、それぞれ巨獣の荒野と砂月楼閣シャルムーンに転移したのだ。
そして、かつてのアクエリオと同様、棘(ソーン)を操るソーンイーター達は、アクスヘイムに立ち入ることができなくなったのであった……。
●火群綴りの・アクス(c02064)
アクスの眼前に現れたのは、一振りの巨大な斧であった。
「やはり、これが、魔斧ヴァルガリウス!」
黒刃使いガブラスこと六勇者ガンダッタ・アックスが担いでいた巨大な黒い斧。
それこそが、伝説の魔斧ヴァルガリウスであった。
「未だ届かぬ存在……か。こんなものを軽々と使っていたとはな……」
アックスヘイムを滅びに導いたとされる、巨大な魔斧。
そこに宿る呪力、そしてその重量は、到底今のアクスが扱えるものではない。
手に入れたヴァルガリウスを前にアクスはこれをどう持ち帰ったものかと思案するのだった。
●夜来香・ヘミソフィア(c03151)
ヘミソフィアが他の者達と違っていたのは、『ガルシェンの心臓』も、『無限竜ワームの瞳』も代償としなかったことだ。
彼女が代償としたのは、己の『天啓』である。
かつて出会った天啓の記憶が、ヘミソフィアの中から消えていく。
そして、ヘミソフィアの背からエリクシルの妖精の如き羽が生えていく。
それと同時に、己の瞳が燃えるように熱くなるのを感じた。
「く、うううぅぅぅ……!! でも、望みます。戦場に隠れる全てを見通す力を望みます。
私がいる戦場では、人を惑わす迷宮も、姿隠しも、意味が無いように……!」
やがて、その熱は自然と収まっていく。
そしてヘミソフィアは、己の瞳に、エンドブレイカーとしての力に加え、「真実を見通す力」……隠密無効化能力がもたらされたことを知るのだった。
●翠狼・ネモ(c01893)
「……此れで最後、か。ならば『大空を覆うもの』に対抗し得る翼を!」
スカイランナーたるネモは、エリクシルにそう願いを告げる。
その瞬間、ネモの背中から赤き霧が『迸った』。
まるで「棘(ソーン)」のようにも感じられる霧は、やがて翼のような形状となった。
「これが、『大空を覆うもの』に対抗しうるものだというのか?」
赤き翼を一振りすると、翼は周辺の「大気」を「物理化」してゆく。
瞬間、ネモの脳裏にありえざる記憶が過ぎる。
魔龍「大空を覆うもの」。
その存在は「大気」そのものであり、全ての攻撃を無効化する。
それを制する可能性を持つものは、創世神が用い、ゼルデギロスによって喪われた『正しき棘(ソーン)』のみ。
『それは、無から有を産み出す禁断の翼。
いつでも出し入れは可能ですが、使用は1回に留めておいたほうがいいでしょう……』
「何じゃ、今のは……っ!?」
頭の中に響いた声の忠告に従い、ネモは創世の翼を消し去るのだった。
●空のストレイター・ハギオス(c01797)
「お前の首級は、我が槍の勲……ってな」
妖精にとどめをさしたハギオスは、エリクシルに願いを告げる。
「『志を共にする新たな同胞』を!」
『願い』は 聞き届け ました
あなたの 元に 新たな 『同胞』 が 現れる でしょう
妖精の声が響く。
だが、その場では何も起こらずハギオスは首をひねることになる。
一方、遠く離れたとある町で、少女の前に光り輝く天啓が現れていた。
「ハギオスさん……という方に、協力すればよろしいのでしょうか?」
少女の名はアリッサム。
彼女は、己が古の勇者と同じ名を持つことすらいまだ知らない……。
●悪魔憑き・フィーネ(c00324)
フィーネが望んだのは、『遺失魔術の習得』。
それを願った瞬間、彼女の心に何かが流れ込んで来る。
「これ、は……!!」
一度に流れ込んでくる、狂気すら孕んだ膨大な魔術知識の奔流に絶叫するフィーネの脳裏に流れ込んで来るのは、彼女が望んだ遺失魔術の知識であった。
かつて、東方賢者マギラントがその師ルーマと共に研鑽を積んだ果てに到達した『オールウィザード』の境地。
エリクシルへの願いは、フィーネに、その片鱗に指先を届かせることを許した。
流れ込んでくる知識の大半は、今の彼女では到底扱い切れない、あるいは巨大な代償を必要とするような遺失魔術の数々だ。
それらは、たちまちのうちに彼女の脳裏から消え去っていく。
やがて、それが収まった時、フィーネの中には一つの遺失魔術の知識が残されていた。
「遺失魔術、ステイシス……」
それだけが、今の彼女が使い得る遺失魔術だった。
だが、それも彼女の生命力を消費して、3回使うのが限度だろう。
「使い道は、考える必要がありますね……それにしても、こんなものを軽々と使っていたのですか」
荒い息の下で、フィーネはそう呟いた。
それは奇しくも、六勇者に由来する魔斧ヴァルガリウスを手にしたアクスが口にした言葉と似通っていた。
●こもれびはんたー・リシリア(c12930)
「マスカレイド化してしまった存在を、元通りの、本来の姿に戻す能力をください!」
リシリアは、心の底からの願いを叫んだ。
これまで、ずっと、ずっとずっと、ただ倒すことしかできなかった。
拒絶体マスカレイドは救うことが出来たとしても、それ以外のマスカレイドを救う術は無い。誰一人として、救えなかった。倒すしかなかった。
だから、彼らを救える力を。その為の力が欲しい!
『あなた』に『マスカレイドキャンセラー』の『力』を『授け』ましょう
そして、リシリアの願いにエリクシルの妖精は応えた。
かつてリシリアに降り注いだ天啓と同じ『光』が、更に新たな導きを彼女に与える。
リシリアは、己の根源から湧き上がってくる、膨大な力を感じていた。
『あなた』が『願え』ば、
『相手』の『マスカレイド化』は『強制的』に『解除される』でしょう
ただし『この力』は『2回だけ』しか『使えません』し、
『他』の『マスカレイド』が『周囲』に『いる』と『使えません』。
そして『マスカレイド』の『王』たる『ゼルデギロス』には『通用しない』でしょう
「2回だけ……。ううん、それでも……!」
ほんの僅かな機会であっても、相手を倒す以外に、できることがある!
その喜びに、リシリアはぎゅっと拳を握りしめると傍らの星霊ヒュプノスに、この願いの為に頑張ってくれたヒュプノスに、心からの感謝を告げた。
●紫刻の幻影・クトラ(c16568)
『デモンの根源へと至る道標』を求めたクトラの前には、1本の呪われし鍵が現れた。
『これ』は『バルムント』の『鍵』。
『黄昏』の『鍵』に『呼応』し、
『人』を『デモン』の『根源』に『導く』でしょう……
エリクシルの妖精が告げた内容に、クトラは思わず自らの腕の中を見た。
「黄昏の鍵?」
それは、紛れもなく彼が持つ武器、魔鍵の名と同じもの。この2つが呼応し、デモンの根源へ導くというのだろうか?
鍵を掴んだクトラの前で、エリクシルの妖精は消えていく。
「……それじゃあ、またね」
別れを告げたクトラは、片手に黄昏の鍵を、もう片方の手にバルムントの鍵を握り、しばらくその2つを見つめていた。
●路地裏の運び屋・ヨイチ(c31823)
エンドブレイカーに新たな力を与えてほしいとヨイチが願った瞬間、ヨイチのみならず、この場にいる全員……それどころか、世界各地にいる全エンドブレイカーが、異変を感じ取った。
自分の内なる力が高まっていくのを――!
「……で、何が起こったんだ……?」
しかし具体的に『何』が起こったのかまでは解らないうちに、エリクシルの妖精の姿は薄れ、ヨイチの前から消えてしまう。
一体、何が起こったのだろうか……!?
●空追い・ヴフマル(c00536)
「大地の扉を超えた先にある、『奈落』の力を俺にくれ」
これがアウィンの遺産ならば、エンドブレイカーに託されたものならば、願わない訳にはいかない。
ならばと、ヴフマルは求めた。勇者達との数々のを繰り広げた『大地の扉』。その向こう側にある、此華咲夜若津姫がいるはずの場所『奈落』、あるいは『地獄』と呼ばれる場所の力を。
それが、必ずや自分達エンドブレイカーの役に立つと信じて。
『あなた』に『奈落転送陣』を『与え』ます。
『奈落転送陣』は『あなた』と『7人の仲間』を
『大地の扉』の『向こう側』へ『転送』します。
エリクシルの妖精が囁くのと同時に、ヴフマルは己の根源を形作る『青空』の記憶が揺らぐのを感じる。だがそれは、彼から根源を奪い去る物では無い。
『奈落転送陣』は『何度』でも『使え』ます。
しかし『戻る手段』は、『ありません』。
『大地の扉』を『自らの手』で『開く』ことでのみ
『帰還』は『成る』でしょう……
それだけを告げて、最後のエリクシルの妖精は消えていった。
●大地母神
全てのエリクシルの妖精が消えると同時に、大地母神の骸から、エンドブレイカー達全員が外に出される。
それに続いて『ガルシェンの心臓』も一緒に排出され、エンドブレイカー達の前に戻る。
「代償はワームの瞳だけで足りたようですね」
実現した願いの規模がそれほど大きくなかったため、代償が残ったようだ。
夜を迎えた『盟約の地』に、大地母神の声が響き渡る。
『これで、アウィンとの『盟約』は果たされました。
私が意識をこうして示すだけの力は、当分は無い……。
私は『世界の瞳』として、皆さんのお役に立ち続けましょう』
「待ってくれ、まだ答えて欲しいことが……」
おそらくは、この世界の謎について詳しいであろう存在から、情報を聞き出そうとするエンドブレイカー達もいた。だが、大地母神はその問い掛けに、やんわりと答えた。
『私よりも、遥かに全ての事情に詳しい存在に、皆さんは既に出会っています。
もしも、より深き真実が必要であれば、その方から語られるでしょう』
その存在が誰を指すのか、幾人かのエンドブレイカー達はすぐに察しがついたようだった。
『それでは、しばしのお別れです、エンドブレイカー。また、『世界の瞳』で……』
遥かなる時を越えた大地母神との盟約は果たされた。
【魔女】という存在の正体、そして【大魔女スリーピング・ビューティ】の産み落としたもの。
アウィンの遺産によって得た力……。
それらを抱え、エンドブレイカー達は帰路につく。
そしてエンドブレイカー達が外に出ると同時に、秘石の山脈は再び閉ざされるのだった。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 戦力 |
---|---|---|---|
アウィンの宝物庫 | 1946 | 攻略成功! | − |