<世界革命阻止戦 第1ターン結果>
第1ターンの開始状況
漆黒の波が、砂漠の向こうから押し寄せて来たかのようであった。『薔薇の痕』から現れたデモンの軍勢は、骸殻荒野ガルシェンを越えて砂月楼閣シャルムーンに現れていた。
都市国家の外縁部には、放棄領域となっている場所も多い。
都市国家の防衛部隊が守り切れないような場所から、デモン達は押し包むようにして都市内への侵入を図って来る。
巨人達と砂月楼閣シャルムーンの城塞騎士団等が守りに当たってくれている今、彼らを上回る力を持つエンドブレイカー達が、敵の指揮官を倒していかなければならない。
デモン達を率いる指揮官となっているマスターデモン達は、その悉くがエンドブレイカー能力を持っている。
下手をすれば、自分達が敗北するエンディングを叩き潰して来るような者達だ。
戦力的な面一つをとっても、それに対抗できるのはエンドブレイカー達をおいて他にない。
エンドブレイカーの行動は、エンドブレイカーをもってしても見切ることはできない。
そのため、骸殻荒野ガルシェンを陥落させたデモン達が、どのような進軍ルートを取るのか事前に予知しきることは直前までエンドブレイカー達にも不可能だった。
もっとも、相手もエンドブレイカーの守りを読み切ることは出来ない。
攻撃地点を選択できる攻め手の優位があるとはいえ、双方がエンドブレイカーの力を有している以上、互いの動きを完全に予知しきることは互いに不可能。
自然、遭遇戦に近い形で、戦闘が頻発するようになっていく。
●マスターデモン・セフィア:Battle6
デモン人間の軍勢を率いるマスターデモン・セフィアの姿は、もはや人間のそれを逸脱し始めている。背にした夜の如き漆黒の翼は、以前に着けていたような付け羽ではなく、マスターデモンとしての力によって生まれたものだ。
エンドブレイカー達の姿を認めたセフィアの肌の上に、紋様が浮かび、赤く輝く。
「……」
無言のままに手を伸ばし、攻撃の意志を伝えると、率いるデモン達が次々にエンドブレイカーへと襲い掛かって来る。
「問答無用というわけですか……!」
移動菜園管理者・エリック(c15639)は鞄から取り出したマジックマッシュを次々にデモン達へと投げつけながらも、顔をしかめた。
皆を守る。
その意志のままにマスターデモン・クトラの誘いに乗ったセフィアの瞳が、肌の上に浮かんだ魔術記号と同じように赤く光った。
その身の丈には似合わない巨大な魔剣を振るい、彼女もまたデモン達を引き連れ、斬りかかって来る。
本来を大幅に上回る力を得た彼女へと、エリックは言葉を投げかける。
「ご自分の矛盾に気づいていますか?」
対するセフィアは無言のままに、魔剣を振るった。
自分が抱く魔剣にも似た呪剣が無数に現れ、エンドブレイカー達へと降り注ぐ。
その剣が産む風を受けながら、エリックはなおも声を届けようとする。
「全てを破壊した後で、貴方の守りたいものはそこに残っていると思いますか?」
飛び交う呪剣の群れは、エンドブレイカー達を容赦なく切り刻む。
だが、それを為しているセフィア自身がそれを真に望んでいるとは、エリックには思い難かった。
「守るのならば、守り切れば良いでしょう……!」
自分を見失ったことへの憐みを籠めて、エリックはセフィアの瞳を見つめた。
揺れる瞳の奥に、動揺らしきものを認めながら、マジックマッシュを投げつける。
紫色の煙が一際強く巻き上がり、それが止んだ時にはセフィアの体を覆っていた影は消えていた。
「元に戻ったのでしょうか?」
セフィア自身がどう考えているのかは分からないが、むしろ重要であったのは、セフィアがエンドブレイカーであったことに加え、どれだけ『深く』マスターデモンになっていたかと、エリックが死を避けようとした意志であっただろう。
「まあ、後のことは自分でどうにかしてもらいましょう」
周囲での戦いも終わろうとしている。セフィアをひとまずその場において、エリックは次なる戦いへと向かうのだった。
●マスターデモン・アイシア:Battle10
砂月楼閣シャルムーンの放棄領域を進むデモンの軍勢。
それを率いるのは、マスターデモン・アイシアだった。
彼女の歩いた後には、一直線の轍のように痕跡が残っていた。
わだかまる黒い影が触れるたびに、あらゆるものがマスターデモンの身を覆う夜の中へと溶け、消えていく。
歩みを進めるたびに、影の中からは、取り込んだ物体を咀嚼する、硬質の音が響いていた。
「楽しみですねぇ……幸せな人はいるでしょうか?」
マスターデモン・アイシアは瞳を輝かせて街を目指す。
人のいる場所へと通ったのなら、彼女はその狂気を思う存分振るったであろう。
だが、幸福に餓えたマスターデモンへと、攻撃が降り注ぐ。
それは、待ち受けていたエンドブレイカー達によるものに他ならなかった。
旅団の仲間達と共にアイシアの前に立ち塞がったナイトランスのデモニスタ・アルティ(c25194)に、アイシアはエンドブレイカー達の血に濡れた笑顔で問い掛ける。
「あなたは、幸せですか?」
「……?」
怪訝な顔で、アルティはナイトランスをアイシアに向けた。
「何を……言っているの?」
「幸せな人の、骨を貰うんです。そうすれば、私もきっと幸せになれるんですよ」
アイシアの顔が、幸福を求めて蕩けるように歪んだ。
狂気とも言い難い、歪んだ食欲に満ちたアイシアの姿に、アルティは思わず顔をしかめる。
「やっぱり、ここから先へ、通すわけにはいかないわね」
「食べていいですよね……わたしを狙うんですもん、いっぱい齧らせてくださいね?」
アイシアを人のいる場所へ通すわけにはいかない。
その事実を確信しながら、エンドブレイカー達の攻撃が彼女へと向かう。
それを喰らい、あるいは身にまとう影を振るって凌いでいたアイシアだが、やがてエンドブレイカー達の攻撃は、彼女の守りの限界を上回った。
「止めるわよ……!」
アルティの投げたランスが雷を呼び、アイシアを貫く。
「あ……」
最後に残そうとした言葉も、雷鳴の中に消え去った。
稲光が収まった時、マスターデモン・アイシアの姿は、闇の中に沈むようにして消滅していった。
●マスターデモン・スウィート:Battle7
『魔女』という存在が種の創造者たる存在であることは、世界創世の真実に到り、人類の魔女『此華咲夜若津姫』を救うに至ったエンドブレイカー達にとっては周知の事実だ。
一方で、単純に魔法を使う女を指す言葉として、魔女という言葉は機能している。
マスターデモン・スウィートは、後者の魔女と思わせる、ローブに帽子という姿で、砂月楼閣シャルムーンに現れていた。
エンドブレイカーとデモン達の戦闘が繰り広げられる中、どこか剽軽なものを感じさせる足取りで進んでいく。
「どうも皆さん、丁重なおもてなし、誠にありがとうございます」
丁寧に礼をしながら、戦う者達の横をすり抜けて進もうとした彼女へと、風の靴でゆく・エミティア(c02712)達≪空の天幕≫空の天幕が追いすがる。
「待ちなさい!」
「まあ、やっぱり狙われますよね。いきなり先陣を切る役目を任されるとは、これは買われてるのか捨て駒なのか、どちらなんでしょうね」
元来、デモンに性格的な影響を受けていたという彼女は、エンドブレイカーであったスウィートをよく知る者達が知る彼女と似通った性格をしているようだった。
だが、その内面は、もはや『世界革命』を志向するマスターデモンへと変じている。
「ねえ、ホントの自分を見失わないで……初対面のあたしより、ずっとずっとあなたを心配してる人がいるはずでしょう?」
「生憎、わたしはデモンのスウィートなんです。今までも、これからも。あ、今はマスターデモンでしたっけ」
出世ですねぇ、と嘯きながら、スウィートはそのマスターデモンとしての力を行使する。
ローブを翻して翼が開き、膨大な閃光が戦場を貫いた。
命中弾を受けたエンドブレイカー達を戦闘不能に陥れながら、スウィートの攻撃は連続していく。周囲のデモン人間達を片付けたエンドブレイカー達もまた、マスターデモンへの反撃を繰出していった。
「あ、顔はやめて下さいね顔は」
(「届かないの……?」)
スウィートが元に戻ることを望んでいる人は、きっといるはず。そう思いながらも、やがて傷ついたスウィートへとエミティアは近付き、囁くように言葉を告げた。
「お友達とか、家族とか、あなたを知ってる人、だれか。あなたが元に戻ること、きっと望んでるよ」
「それは……もし居たら、気の毒なことをしましたかね……」
エミティアの優しい言葉は、スウィートを眠りへと導いていく。
「ラズネルさんへのツケ、結局返しそびれましたねぇ……」
自嘲気味に呟くが、もはや動くこともかなわない。スウィートの体は、闇の中に沈み込むようにして消滅していく。
「いきましょう。まだ、終わってないから」
虚しさを感じながら、エミティアは仲間達へとそう告げた。
●マスターデモン・ヴァレンティーノ:Battle4
迫るデモンの軍勢。
シャルムーンの城壁を背に、エンドブレイカー達は、その軍勢を迎え撃つ。
デモンの軍勢を率いるのは、エンドブレイカーでありながらデモンに魂を売った、マスターデモン達だ。
デモン軍の先鋒を務めるのは、痩せこけて目ばかりがギョロリと光る洒落た黒衣のマスターデモン。
マスターデモン・ヴァレンティーノは、針金のような腕を指揮棒のようにふり、デモン人間達を意のままに操り、攻め寄せてくる。
戦況は一進一退で、勝敗がどちらに転ぶかはわからない。
その戦場で、蒼穹の空舞・シュライス(c35257)は、ヴァレンティーノに接触する。
「おや、君にとって一番の思いが『愛』ならば。敵対するボクらエンドブレイカーをも『愛』しておくれよ」
ぼさぼさの髪の少年シュライスの言葉に、ヴァレンティーノは鷹揚に頷いてみせた。
ヴァレンティーノは語る。
「俺は、お前達を愛している」
と。
そして、同じ口で、こう続けた。
「俺は、トマト以外の全てのものを愛している。そう、俺は、マスカレイドすら愛しているのだよ」
と。
「お前達は不思議に思った事は無かったか? なぜ、エンドブレイカーが戦い続けなければならないのか……。マスカレイドは倒さねばならない?
何故だ? 何故、愛し合えないのだ?」
そういいながらデモンウィングの翼を広げたヴァレンティーノは、不気味な痩躯を不自然に曲げながら、指で創りだしたハートの形から三連の光線をばらまいていた。
トマト以外の世界の全てを愛すといった口で、エンドブレイカーを容赦なく攻撃する。その行為は、彼の中では特に矛盾しないよう だが、常人に理解できるものでは無い。
「愛しているといいつつ、僕達を傷つけるキミは、なんなんだっ!」
シュライスは、熱弁するマスターデモン・ヴァレンティーノに、ガンナイフを突きつけた。
「それが『愛』さ」
「わからないよっ!」
シュライスのバレットレインが雨あられの如くヴァレンティーノの痩せこけた体躯を貫いていく。
そして、その一弾が、ヴァレンティーノの心の臓を貫いた。
彼の、心臓を潰れたトマトのように爆ぜ、そして、その活動を停止する。
ヴァレンティーノは目を充血させ吐血しながらも、口を開く。
死の間際まで、彼の『愛』の思いが失われることはないようだ。
「お前の銃弾が俺を貫いたように、この世界が、愛では無く争いで満ちているのならば……。世界は革命しなければならない。何故、それがわからないのだ……」
ヴァレンティーノ死すとも愛は死なない。
その信念と共に、ヴァレンティーノ死す。……享年30歳。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
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マスターデモン・セフィア | 332 | 4勝2敗 勝利! | 【エンドブレイカー】【巨人の援護】1470⇒0 |
マスターデモン・シズ | 320 | 4勝4敗 敗北 | 【エンドブレイカー】【巨人の援護】1764⇒532 |
マスターデモン・アイシア | 389 | 9勝1敗 勝利! | 【絶望】【エンドブレイカー】【巨人の援護】1764⇒0 |
マスターデモン・フラム | 207 | 0勝5敗 敗北 | 【エンドブレイカー】【巨人の援護】1264⇒863 |
マスターデモン・スウィート | 385 | 6勝1敗 勝利! | 【逆上】【エンドブレイカー】【巨人の援護】1517⇒0 |
マスターデモン・クゥナ | 237 | 0勝10敗 敗北 | 【エンドブレイカー】【巨人の援護】1770⇒1358 |
マスターデモン・ヴァレンティーノ | 238 | 2勝2敗 勝利! | 【エンドブレイカー】【巨人の援護】1138⇒0 |
マスターデモン・アフテル | 209 | 0勝4敗 敗北 | 【エンドブレイカー】【巨人の援護】1365⇒707 |
マスターデモン・トキ | 220 | 1勝5敗 敗北 | 【エンドブレイカー】【巨人の援護】1593⇒1039 |
ブレイクゲージ残量(第1ターン終了時点) |
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49438−266−431−679−353−519=47190 |
ターン終了時能力 |
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【巨人の援護】! ブレイクダメージ532⇒266 【巨人の援護】! ブレイクダメージ863⇒431 【巨人の援護】! ブレイクダメージ1358⇒679 【巨人の援護】! ブレイクダメージ707⇒353 【巨人の援護】! ブレイクダメージ1039⇒519 |