<世界革命阻止戦 第4ターン結果>
第4ターンの開始状況
大きく3つに分かたれた敵軍勢のうち、マスターデモン・クトラが率いる軍勢の中枢付近へとエンドブレイカー達は攻め入っていた。マスターデモン達の方にしてみれば、クトラへと攻撃が集中している状況はエンドブレイカーにしてみれば勝利へと近付いている状況である。
しかし一方でマスターデモン達にとっても、3つに割った軍勢のうち、クトラに攻撃が集中することは狙い通りでもあった。
なぜ双方の意図が噛み合い、しかしエンドブレイカー側に一方的に有利な状況になっているのかといえば、デモン側は『此華咲夜若津姫』の武具の一つたる『バルムントの鍵』、その真の力を知らないためだ。
クトラが盟約の地で手に入れ、オデットの手に渡った『バルムントの鍵』。
正気を取り戻した『此華咲夜若津姫』によって、その真の力が引き出されたのは現在マスターデモンになっている者達が意識不明となった後のことである。
もしもマスターデモンとなったことを隠し、自分が意識不明となった後の情報を得てから合流したマスターデモンでもいたならば、敵軍はクトラを徹底して護る態勢に入っていただろう。
もっとも、それも全て後の祭りだ。
マスターデモンの軍勢は、クトラの異界門によってエンドブレイカー達に甚大な打撃を与えられることを明確に意識して軍を分けている。
その一方で、マスターデモン・クトラ個人に対して忠誠を尽くさんとする者もいた。
クトラが万が一倒された後、『異界門』を引き継ぐ第二候補であるアルベイがそうであり、クトラの護衛として側に仕えるヴィネもまた、その一人である。
●ヴィネ
「この場を死守しなさい! クトラ様をお守りするのです!」
ナイフの狩猟者・カイン(c22309) 達が耳にするヴィネの声は、もはや悲鳴に近い。
エンドブレイカー達の戦力は、ヴィネのそれを圧倒していた。
デモン達の個々の力が高かろうと、エンドブレイカー達複数にかかられれば、苦戦を強いられる。数々の戦いを経て、エンドブレイカー達はそれだけの実力を既に身につけている。
ましてや普段から複数での戦いを意識しているのがエンドブレイカーだ。
「このままでは……」
ヴィネは歯噛みする。
自身が『異界門』の発動によって死ぬことをクトラは承知した上で行動している。
そこに、彼がマスターデモンへ変化した成り立ちが関わっていることをヴィネは重々理解していた。
(「クトラ様ご自身は、他のマスターデモンのように、自分からマスターデモンとなることを望んだわけではない……」)
切っ掛けこそ彼自身であったが、異界門が開かれて以降の情勢が本来クトラの望んだものでないことは現場にいたエンドブレイカー達も知るところであろう。もっとも、それを意識している者がどれだけいるかは、ヴィネも知る由も無かった。
だが、その上で、今マスターデモン・クトラと呼ばれている存在へと忠誠を尽くそうとすることに変わりはない。
「ええ、私の忠誠に揺るぎはない……『世界革命』を成し遂げるため、手段を問うつもりはありません!」
クトラの護衛を任ぜられたマスターデモン、ヴィネの妖艶な姿が影に包まれたかと思うと、一瞬にして怪物めいたものへと変化する。
「手強い……ですが、勝てない相手ではないですね」
カインはそう判断する。
爪を振るい、デモンの力を繰出しながら襲い来るヴィネはここまでに出現したマスターデモンに劣らぬ実力を示している。率いるデモン達も強力だ。
「クトラの護衛軍を率いるだけのことはある……ですが油断せずに詰めていきましょう」
カインの言葉に、周囲のエンドブレイカー達も応じる。
その通り、神は自ら努力する者にこそ微笑んだ。
エンドブレイカー側がデモン達を容易く全滅に追い込むまで、さほどの時間はかからない。
「神よ。我らに勝利の加護を」
追い込んだヴィネの前で、己の信ずる神に祈りを捧げると、カインはそっと目を閉じる。
「甘く見るな……!!」
あからさまな隙と見てヴィネが爪を振り下ろそうとするが、その動きはカインの頭の上で止められた。彼女の二の腕に細いワイヤーが巻き付き、動きを止めている。
「ああ……言い忘れましたが、既に罠は仕掛けてありますので」
カインが告げると同時、無数のトラップがヴィネに向けて殺到した。
その重量だけでも押しつぶされそうになりながら、ヴィネは呻いた。
「そんな……クトラ、様……」
水袋が弾けるような音と共に、闇が溢れる。地面に染み込んでいく闇を見つめながら、カインは呟いた。
「死んだマスターデモン達は、どこに行くのでしょうね」
人としての屍すら残すことを許されない……それもまた、世界革命に挑まんとした者の運命なのか。命を落とした者達に祝福があるよう、カインは再び祈りを捧げるのだった。
●マスターデモン・シズカ:Battle10
マスターデモン・ヴィータの率いる軍勢を蹴散らし、本陣へと迫るエンドブレイカー達。
その行く手を阻んでいるのは、マスターデモン・シズカの敷いた防衛網だった。
砂月楼閣シャルムーンの一角に陣取ったシズカの軍勢は、戦闘開始時からほとんど動きを見せていない。
代わって彼女が行っているのは、都市国家という空間を利用した防衛だった。
さらには飛行可能な空間が開いていれば哨戒のレッサーデモン・ウイングが奇襲を仕掛ける。
下手に攻め入れば影に潜んだデモン人間による待ち伏せの的だ。
両者の組合せによる遅滞戦術は、エンドブレイカー達による、他のマスターデモン達への攻撃を防いでいた。
もっとも、この戦術が指揮を執るマスターデモン・シズカの意図に沿っていたかといえば、そうでは無いのだが。
「まずいわね。このままでは、皆の狙いが私に向いてしまう……」
既に戦力が消耗しつつあることを意識し、シズカは焦ったように呟く。
生存を最優先とする。
シズカ自身はそう判断しているのだが、それもまた目的意識に傾いたマスターデモンの中では異色であったと言えるだろう。
その生存本能をこそ買われて防衛役に当たらされているのだから、因果なものである。
上意下達で唯々諾々と従うデモン人間達とは異なり、マスターデモン達は個々の判断を持っている。マスターデモン・クトラや最強のマスターデモン・ヴィータですらも御しきることが出来るはずもなく、その指示には無視できない歪みが生まれていた。
そして、その歪みは彼女の前に終焉の運命をもたらす。
「くっ……!! こんな奴まで来てしまうとはね」
防衛陣を切り拓いて突き進んで来た盾の自由農夫・ケーン(c15264)の姿を認め、シズカは眉を寄せた。凶暴ともいえる本性を露わに、彼女はエンドブレイカー達へと翼を広げる。
糸のような光線が無数に乱舞する中、エンドブレイカー達はシズカへと距離を詰めていった。
「長期戦にさせるわけにはいきませんね。このまま切り拓きます!」
「そういうわけにはいかないわ」
デモン達を並べ、自分を守らせようとするシズカ。
だが、その防御も、エンドブレイカー達の前ではもはや薄紙に等しいものに過ぎない。
攻撃を繰出そうとするよりも早くデモン達がたちどころに粉砕され、残されたシズカへと攻撃が殺到する。
「逃がしません……終わらせます」
ケーンの投げつけた竹製の盾が、シズカの体に突き刺さる。
再び盾がケーンの手に戻ると同時に、シズカは崩れ落ちた。
「私は……生き延びたかった……」
「敵に対するに当たって私達がどういう態度を取るのか、私達よりもあなたの方がよく御存知でしょうに」
デモンとなれば世界革命の後も確実に生き延びられただろうが、それもエンドブレイカー達に……世界を滅ぼさんとする大魔女スリーピング・ビューティに勝利するべく生まれた人類の希望に勝利した後のことだ。
消滅していくシズカに、ケーンは理解しがたい様子で首を振るのだった。
●マスターデモン・ショコウ:Battle8
そのマスターデモンは盾であった。
そのマスターデモンは要塞であった。
そのマスターデモンは城塞であった。
そのマスターデモンは難攻不落であった。
全身鎧に身を包んだマスターデモン・ショコウは、エンドブレイカーに対する壁として立ちふさがる。
彼自身の高い防御力だけでなく、その卓越した防御指揮により、エンドブレイカーの攻撃を受け止め、そして、その攻撃を押しとどめたのだ。
「なんか、ここまで、戦ってきて思ったけど。やっぱ、こういうのって、いい悪いじゃないよね」
駆ける情熱・カルロ(c22554)は、エンジェリックウィングを純粋な攻撃色に染めて、戦場を駆け続ける。
ショコウと彼の軍団を倒さない限り、前に進むことはできない。
だが、だからこそか。
巌のように立ちはだかるショコウの軍勢に挑む、カルロは、自分らしい戦いを心がけて戦場に居た。
「僕は僕のデモンと一緒に、これがハッピー!ていう世界がみたい」
それが、僕の望む世界だ。カルロは、戦場の中央に屹立するショコウに対して、そう宣言する。
「でも、君には君の意見があるのだろうね」
だからといって、ショコウの望む世界を否定する事もない。
あくまでも自然体。
それが、カルロの戦いなのだ。
「皮肉だな……」
戦場を駆るカルロの舞う踊るような美しい動きを見て、ショコウは、たった一言だけ言葉を口にした。
同じデモンを宿すものでありながら、自分と彼とはどこまでも遠く離れているのだろう……。
これを皮肉と言わず、なんというのだろうか?
だが、その程度の事でショコウの盾は揺らぐことは無い。
たとえ、敵がエンドブレイカーであろうと、装甲尽き盾折れるまで戦う事こそが、ショコウの誇りなのだから。
「待たせたかな?」
幾多の敵を乗り越えショコウの前にたつ、カルロ。
ショコウの軍勢は衆寡敵せず沈黙し、彼の防御指揮によっても、エンドブレイカーを押しとどめる事はできなかった。
既に、この戦場にたっているデモン軍は、ただ一人ショコウのみなのだから……。
「何か言い残す事はあるかな?」
そう聞くカルロに、だが、ショコウは沈黙で応える。
「そうか、わかった。あとは恨みっこなし!」
そうして放たれた、カルロの翼から放たれた赤き十字架が、マスターデモン・ショコウを十文字に切り裂いた。
ショコウは、その攻撃を立ったまま受け、立ち続けたまま息絶えた。
そして、ショコウが息絶えると同時に、彼の愛用の盾もまた音を立てて真っ二つに割れる……。それはまるで、ショコウと盾とが一心同体であった事を証明するようであった。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
マスターデモン・ヴィネ | 1712 | 34勝0敗 完勝! | 【ガード】【エンドブレイカー】【巨人の援護】2911⇒0 |
マスターデモン・シズカ | 501 | 10勝0敗 完勝! | 【ウォール】【エンドブレイカー】【巨人の援護】473⇒0 |
マスターデモン・ショコウ | 439 | 8勝0敗 完勝! | 【ウォール】【エンドブレイカー】【巨人の援護】574⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第4ターン終了時点) |
---|
46159=46159 |