<ラズワルド大戦 第1ターン結果>
第1ターンの開始状況
霊峰アマツの山肌に沿うようにして形成される霊峰天舞アマツカグラ。
世界各地に存在する他の都市国家と同様、この都市国家もまた、つい先日、大魔女スリーピング・ビューティの『最終破壊術式』によって生まれた、『災害竜』による被害を受けていた。
エンドブレイカーの活躍によって、それらの災害竜は撃破されたが、爪痕は残される。
復興を急ぐ人々、あるいは災害の発生など人伝に聞くのみだったという人々。
それらの全てを呑みこんで、マスカレイドの軍勢は霊峰天舞アマツカグラを襲った。
マスカレイドの軍勢が現れる前兆となったのは、霊山の山裾を包み込む雲だった。
雲は人々を逃がさんとするかのように山裾を取り巻いていく。
明らかに異常な動きを見せる雲の中から続々と現れるのは、白い仮面をつけたバルバやピュアリィ、イマージュさらには巨獣といった多様な種族からなる軍勢。
大魔女に支配された『滅びの大地』から現れた、マスカレイド達であった。
そして、それらを導く者は、軍勢の上にいた。
背の六翼を開いた鎧姿の騎士……伝説の勇者ラズワルド。
大魔女スリーピング・ビューティと戦い続けた勇者は、マスカレイドと化していた。
人類を守ろうとした意志も仮面に封じられ、大魔女スリーピング・ビューティの忠実なる部下となった彼は、軍勢へと号令を下す。
「我らが大魔女に、勝利を捧げよ。──出陣!!」
人々を蹂躙するべく山肌を昇って行く仮面の軍勢。
それを迎え撃たんとするエンドブレイカーとの戦端が開かれるのは、間もなくのことであった。
●解放王ドナート
「私を配下とするとは、ラズワルドめ。ただ強いだけの小僧が偉くなったものだ」
解放王ドナートはバルバ達の運ぶ輿の上で、皮肉げに口の端をあげた。
彼も一度は七つの都市国家を解放し、解放王とたたえられた男である。
だが、石化した自分が目覚めた時にはマスカレイドと化していたという事実は、彼をして人類を見限らせるに十分なものであった。
「ただの一度の敗北で私を見限る人類など、私が救う価値も無い。ならば全て殺し尽くしてしまっても構わないであろう」
己に従うならば良し、そうでないならば斬り捨てる。
彼がかつて、ラズワルド達の意見を斬り捨てた時と全く変わってはいなかった。
その時、不意にバルバ達の足が鈍った。
「む……?」
斜面の上から飛び降りるようにして、エンドブレイカー達が強襲を仕掛けたのだ。
白銀の守護聖剣・フェリーナ(c00202)の剣が閃き、バルバ達を斬り捨てる。
「解放王か……それが逆に縛られてるというのは滑稽だな。その棘(ソーン)から、私が、解き放ってやる」
「やれるものならな、小娘!」
大笑して、ドナートは輿の上から飛び立った。
その背には鳳凰の如き翼が生えている。その姿は、今のラズワルドにもどこか似ていた。
仮に彼が勝ち続けていたならば、彼がラズワルドのように讃えられるようなこともあったのかも知れない。
「だが、そうではない……勇敢な心も、慢心すれば無謀へと変わる。他人の振り見て我が身を直せ……いや、歴史に学べと言ったところか」
自分達でさえ、慢心すれば、敗北もあり得るだろう。
ましてや現代の勇者……エンドブレイカー達の個々の実力は、ドナートを含めたかつての勇者達よりも下回る。それは厳然たる事実だと、フェリーナは空中から首を狙って振り下ろされるドナートの刃を受けながら感じ取る。
「だが、負けん!! 邪魔をするならば砕いて通る!」
つばぜり合いの姿勢のままに、フェリーナの背後で光の門が開かれる。
「蹂躙殲滅陣!!」
フェリーナの指示を受け、門から現れたオーラの軍勢はドナートの軍を取り囲むと、一気に攻勢を仕掛けていく。
ドナートが怯んだ一瞬の隙を逃さず、フェリーナの剣が翻った。
「見事……いや、これもまた我が慢心か」
「あの世で見ていろ。お前達の敗戦、私が勝利に変えてやる」
「良かろう。見せてもらうとしよう……」
ドナートの仮面が消え、その下から武人の顔が一瞬見えたと思った次の瞬間には、彼の姿は消えていた。
●戒律騎士ジェルベーゼ
農村部へと侵攻した敵部隊を率いているのは、戒律騎士ジェルベーゼの名を持つアンデッドの剣士だった。
『おおお……オオおお怨オオ怨オおおおおお……』
戒律騎士ジェルベーゼの口から洩れるのは、絶望の声だ。
『創造神すらも私達を見捨てるならば……もはや世界は滅ぶしかないではないか……』
かつての四百の勇者の一人であるジェルベーゼ。アンデッドとした彼が死に際に覚えた絶望を乗り移らせたかのように、バルバ達は荒れ狂い、農村部へと侵入していく。
それを迎え撃つのは、エンドブレイカーである。
「……さて、戦争の方針がまだ自分の中で定まっていないが……奴を止めないことにはな」
遅い掛かって来るバルバへと爪を振るいながら、エンドブレイカーはジェルベーゼに視線を向けた。
既に彼は、明白な自意識も持ち合わせてはいない。
彼が出会った時、創造神イヴ・ザ・プリマビスタは既にして大魔女に従属させられていた。
世界を救う窮余の策としてイヴ・ザ・プリマビスタを探し求め、その全てが無駄だったと知ったならば。その絶望感は、想像するだに余りある。
「お前の絶望は察するしかないが……これ以上の狼藉を許すわけにはいかんな」
活きる人々に、その絶望感を叩きつけるだけの存在と堕したジェルベーゼ。マスカレイド化によって生前以上の力を発揮している彼へと、エンドブレイカーは爪を振るっていく。
立て続けに繰り出されるヴォイドスクラッチが、バルバ達を貫き、そしてジェルベーゼへと届いていく。
既にアンデッドマスカレイドと化して、どれだけの年月が経つのか。
消えぬ絶望を口にするジェルベーゼの屍に、トガ達の攻撃が終焉を与えていく。
やがて、トガの放った衝撃が、ジェルベーゼの胸部を大きく削り取った。もはや耐えきれるものではなく、結び付いていた屍はバラバラの骨片となって散らばっていく。
最後に残った頭蓋骨が四散する。
『私は、人々を、救い、たかった……』
「まずは一勝……全てを覆す手などない。一つ一つ勝っていくとしよう」
かつての勇者に頭を下げると、トガは次なる戦場へ向かうのだった。
●スカイハイライガー
霊峰天舞アマツカグラ周辺が雲で包まれるのと同時に、空からは多くの巨獣の軍勢が降下して来ていた。
それらの全ては、魔竜「大空を覆うもの」の眷属だ。
空を飛ぶ力を大きく強化された巨獣の軍勢は、アマツカグラの表層部へと降り立つと、破壊を繰り広げはじめる。徹底した破壊によって抵抗力を奪うのが、巨獣達の役割であった。
先頭に立って高空から降り立ったスカイライガーの群れが、家々を次々に破壊していく。
「全く、好き勝手に暴れてくれる!!」
その足元から崩れる家屋に巻き上がる粉塵の中から、スカーレットデスティニー・ルリィ(c20891)は、スカイライガーの足を駆け登った。
渾身の力を籠めて振り下ろされた槍が、スカイライガーの背を貫き、魔法陣へと封印する。
消えていく巨獣の背から、ルリィはすぐさま飛び降りた。
飛来したのは新たな巨獣。
その体躯は、今倒したばかりの巨獣を大きく上回っている。
「あれが群れの親玉か!」
周りのエンドブレイカー達にもその声は届いたのだろう、攻撃が次々に巨獣へと向かう。
相手も射撃を嫌ってか、身を屈め、家々を突き破りながら攻撃を仕掛けて来る。
スカイハイライガーに限らず、巨体から繰り出される爪は、直撃すれば一撃で人体を破壊しうるものだろう。
それをいなし、時には受け止めて、ルリィは魔獣の隙を伺う。
『グルルォォオッ!!』
唸り声と共に、翼をはためかせるスカイハイライガー。
だが、その牙がルリィに届くよりも早く、顔面に撃ち込まれたのは光る光輪だった。
「そのままっ……!!」
光の輪は一つではない。
次々に口腔へと撃ち込まれたリングスラッシャーは、その頭部を内側から切り開く。
『──────────ッ!!』
巨獣の悲鳴が響き、やがて暴れていた巨体は力なく地に伏した。
「十分な戦果ね。やはり姉より優れた妹などいないということ……」
妹の戦果はどうだろうかと思いつつ、ルリィは次なる戦場へと向かうのだった。
●ウィンドサーペント
『キキキキキキ……』
奇妙な鳴き声が空中から響いていた。
長い凧のように空を漂っているのは、巨大な蛇の群れであった。
尻尾で、あるいは鋭い顎によって、街を破壊していく巨獣達。
「サンドサーペントの仲間なのか? ニニギの軍団と遣り合う実力みせて貰おうか」
極限まで肉体を軽量化した肉体は、生来の魔力があったとしてもなんとも不自然なものであるように流離陽炎・ケイ(c01410)の目に映った。
大方、魔竜「大空を覆うもの」の加護でも働いているのだろう。
空から見えぬように街路を走りながら、エンドブレイカー達はその巨獣達を撃ち落としていく。
相手もそれを察してだろう、不利な飛行を止め、地上スレスレを飛行するようになっていった。
長屋と長屋の間の道を走るケイの前後を塞ぐようにして、巨大な顎が両方から迫り来る。
即座に横の長屋に転がり込むと、直前まで自分達のいた場所へと銀に輝くコヨーテのスピリットを飛びこませる。
巨獣の肉体が音を立てて破裂し、あたりに巨獣の血が飛び散った。
何で出来ているのか分からないが、ほぼ無色透明だ。大気のようなものなのだろうか。
たちまち、その血臭いに惹かれるように巨獣達が集まって来る。
エンドブレイカーのいる一帯は、たちまち激戦区となっていった。
『キキキキキキ……!!』
「大騒ぎだな、全く……!!」
巨獣のボスは、ウィンドサーペントの名の通り、風を伴い現れる。
カチカチと牙を噛み合わせる音で、巨獣の群れを統率すると、魔竜の眷属は破壊の手を広げていく。その姿に、ケイは冷ややかな敵意を向けた。
「大魔女の生み出した幻影の竜が本来の竜の威光を貶めるなら、俺が残さず狩ってやる。勿論、眷属であるお前らもな」
主の意志を受け、家々を蹴って跳んだコヨーテが、巨獣の喉笛に喰らいつく。
遥かに質量で劣るコヨーテは、しかし体を振り回して相手の重心を崩すと、地表へと叩きつけた。
「皆、やれ!!」
ケイの声と共にエンドブレイカー達の攻撃が一斉に叩き込まれ、ウィンドサーペントの体は弾けるようにして消滅していく。
「……さあ、次、行くぜ!」
まだ竜の威光を貶める者達は残っている。一時の勝利に浮かれることなく、ケイは次なる戦場を目指すのだった。
●キングヒュドラ
蛇は嗅覚に長け、それによって獲物を探すのだという。
空からアマツカグラの市街地に降り立った巨獣達のうち、キングヒュドラの率いる群れは、巨獣の襲来に驚き、隠れた人々の居場所をその優れた嗅覚で暴いていった。
逃げ出した人々を待ち受けるのは、巨獣達の餌となるエンディングだ。
だが、そのエンディングを破壊する者達がいる。
「逃げて下さい、速く!!」
朱華の・ユェン(c25290)のトンファーが、ヒュドラの頭部を叩き伏せる。
一斉に怒りの声を上げる巨獣達を、エンドブレイカー達の攻撃が次々に襲う。
三種のブレスをそれぞれの口から一斉に吹き付けて来るヒュドラに対して、ユェンは地面を蹴る。
崩れた家屋がもはや残骸として吹き飛び、飛び散った破片がユェンの頬を掠める。
眼前にいるヒュドラは、周囲にいる他の巨獣よりも、優れた体躯を持っている。
「てことは、こいつが群れの親玉か! みんな、行くよ!」
≪Piuma bianca≫白い羽の仲間達へと声を向けると、ユェンは再びトンファーを握り、走りだす。ユェンの目の前にいるキングヒュドラに限らず、巨体から繰り出される攻撃は、直撃すれば一撃で人体を破壊しうるものだろう。
それをいなし、時には受け止めて、魔獣との距離を詰めていく。
『グルルォォオッ!!』
唸り声と共に、ブレスを放たんとするキングヒュドラ。
だが、その牙がユェンに届くよりも早く、顔面に撃ち込まれたのは巨大化した彼の腕だ。
開かれた魔獣の腕による握撃は、開かれようとした顎を強引に閉じさせ、そのまま強引に巨獣の頭部を潰していく。
残る2つの首がそれらに向けて、仲間からの攻撃が突き刺さった。
「これで、終わりだ!!」
さらなる力を籠めると共に、巨獣の頭部で骨の砕ける音が響く。
「うん、良い調子! さぁさ、お次はどいつだー!!」
巨獣達に群れのリーダーの撃破を誇示するように声を張り上げると、ユェンは残る巨獣を駆逐にかかっていった。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
雷雲翁 | 177 | 0勝10敗 敗北 | 1980⇒1613 |
大煙魔『シンゼイ』 | 334 | 4勝5敗 敗北 | 【虐殺】2178⇒349 |
偽りの幻想郷「ディガルダ」 | 182 | 0勝10敗 敗北 | 【ウォール】【閉ざされし楽園】2396⇒2088 |
蝗王バロケス | 169 | 2勝6敗 敗北 | 1702⇒1001 |
解放王ドナート | 372 | 9勝1敗 勝利! | 【傲慢】2383⇒0 |
戒律騎士ジェルベーゼ | 382 | 9勝0敗 完勝! | 【絶望】2042⇒0 |
スカイハイライガー | 297 | 5勝0敗 完勝! | 1532⇒0 |
ウィンドサーペント | 292 | 5勝0敗 完勝! | 1685⇒0 |
キングヒュドラ | 442 | 8勝0敗 完勝! | 【虐殺】1853⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第1ターン終了時点) |
---|
44429−1613−349−2088−1001=39378 |