<ラズワルド大戦 第2ターン結果>
第2ターンの開始状況
●大煙魔『シンゼイ』大煙魔『シンゼイ』の、怒りに満ちた唸り声が戦場に響いた。
不満・計算違い……。そして、焦りがシンゼイの怒りの原因である。
虐殺により自軍のソーンを増やし、新たな戦力を得る筈であったのに、多くの獲物がエンドブレイカーに避難させられていた為、全くソーンを増やす事はできなかったのだから……。
「私たちエンドブレイカーは、人々を守る為にいるのよ。シンゼイさんの爪や牙が、私達が守る人々に届く事は決してありませんよ!」
懲罰斧娘・ミルラ(c00450)は、大煙魔『シンゼイ』を前に、そう言い放った。
その言葉に、怒り狂うシンゼイ。
「不合格だ、この俺の試練を超えるものは、弱者を切り捨てた強者でなければならない。弱者を切り捨てられず、強者でも無いお前たちは、ここを通る資格などないのだっ!」
シンゼイは配下の煙悪魔を集めて、エンドブレイカーに襲いかからせる。
しかし、ソーンを増やす事ができなかった為、煙悪魔の数は少なく、攻め寄せるエンドブレイカー達に対抗できずに、次々と数を減らしていくのみ。
「お前たちのような弱者が、数を頼みに押し寄せるだけの弱者に俺がやられるだとっ! 許さね、許さねぇぞっ!」
シンゼイは、縦横無尽に爪を振るい、牙を打ち鳴らして孤軍奮闘で戦い続ける。
しかし、個人の武勇で覆るような状況ではすでになかった。
「仲間と協力して、仲間と共に戦うのが、私たちエンドブレイカーの強さなの。あなたは、あなたが弱者だと思い込む本当の強さの前に敗れ去るのよっ!」
ミルラは、既に満身創痍となったシンゼイに、そう言うと、彼女の斧『灰かぶり』を振り回し、幾度ものフェイントを入れた上で、三日月の斬撃によって、シンゼイを一刀両断してみせた。
「切り刻まれて、光りなさい!」
そのミルラの言葉と共に、頭頂部から股間まで一刀両断されたシンゼイが左右に別れ、ゴトリ……と言う音とともに地に倒れ伏し、煙となって消え失せた。
「この方面の攻略が遅れています。すぐに次の戦場に向かいましょう」
エンドブレイカー達は、シンゼイ達の消えた戦場を振り返りもせず、次の戦いの場へと歩を進めるのだった。
●蝗王バロケス
風の祝子・イストテーブル(c14196)は、ラズワルド軍の先鋒として進出して来たバルバの軍勢との戦いに身を投じていた。
イスとテーブルの剣が唸るたび、炎の羽を広げ、跳躍しながら進出して来るマスカレイドインセクテアの軍勢が片っ端から蹴散らされていく。
大魔女スリーピング・ビューティが伝説の勇者ラズワルドを筆頭とする六勇者との戦いのため、眠りについてからの長き年月は、滅びの大地にひしめくマスカレイドの軍勢が力を蓄えるのに充分過ぎるほどのものだった。
今も霊山アマツを取り巻いている雲と共に現れた敵軍勢は、その一部に過ぎない。
「全軍で来られたら……人類が滅ぼされかけたのも分かる気がするね」
霊峰天舞アマツカグラが陥落すれば、滅びの大地で見た数々の都市国家のように、そのまま敵の拠点として利用されるだろう。
「キシャァーッ!!」
「おっと!」
奇妙な叫び声を上げながら、インセクテアがまたイスとテーブルを目掛けて蹴りを放って来る。
すんでのところで受け止めるが、槍が激しく軋みをあげた。
「ボスってやつ!?」
「我ガ名ハバロケス! らずわるど様ノ臣ナリ!!」
見上げるような体躯を持つインセクテアは、堂々とした名乗りと共に鞭を振るい、周囲のインセクテア達を叱咤する。
「キサマラ、何ヲシテオル! 我ラハらずわるど様の配下ナルゾ! 他ノバルバニ負ケヌハタラキをヲ見セツケテヤレ!!」
インセクテア達が士気を高ぶらせ、次々とエンドブレイカー達へと挑みかかった。
「大した指揮官ぶりだね」
その軍勢を切り拓き、次第にバロケスへと距離を詰める。
「オマエタチ、ますかれいどヲ恐レテナイ。ココロ強イ」
「マスカレイド化しないからね……!」
感心したように言ったバロケスとイストテーブルとの間で、互いの爪と槍がぶつかり合い、甲高い音が響き渡る。
弾かれるように距離を取ったバロケスは空中へと跳躍、その背に炎がたなびく。
空中で幾度も子を描いたバロケスの体が再び弾丸のように加速、一直線に飛翔した。
対するイストテーブルは、コヨーテを召喚。蹴り足が届くのと、コヨーテが飛び付くのはほぼ同時だった。
濛々と土煙が上がり、倒れた蝗王は無念そうに言葉を発する。
「無念……。らずわるど様ノ元デ、モット長ク戦イタカッタ」
「バルバに信じられるラズワルドっていうのは、大した人だったんだね」
そうだと認めるようにうなずいて、蝗王は動きを止めた。
もっともおっぱいと筋肉しか信じないと嘯くイストテーブルがどこまで本気かは、当人にしか分からないことであろう。
●密告者(ラズワルド軍)
「こんにちは、『密告者』です。
密告者は、みなさんすべての心を覗くことができます。
みなさんの傍らをご覧ください。密告者に似た、小さな存在が浮かんでいますよね。
それもまた、『密告者』です。
みなさんが「他人から隠している欲望」を元に、私が今作り出しました。
隣に『密告者』のいない人はいませんよね?
つまり人の心とは、そういうものです。
そして私の創造者たる『大魔女スリーピング・ビューティ』様は、みなさんの秘密をお望みです。
エンドブレイカーと呼ばれる、大魔女スリーピング・ビューティ様も御存知ない難敵。
みなさんの秘密を暴き、その急所を突くために、私はみなさんの心を覗きます。
エンドブレイカーのみなさん。
どうか、心を開き、私にあなた達の秘密を見せてください」
「嫌に決まってるだろうが!!」
無数に現れる小さな『密告者』を蹴散らしながら、埋火の・フューリア(c35050)は瓦葺の屋根を蹴って、宙に浮かぶ巨大な『密告者』へと飛び掛かっていく。
十字に振るわれた剣が、密告者の唇を割る。
唇の間にある瞳が、彼女を見た。周囲に浮かぶ小さな密告者達が、さざめくように言う。
「フューリア・フィアマンテさん」
「あなたはマスカレイドや横暴な権力者を激しく憎悪する傾向にありますね」
「その根源はエンドブレイカーになった経緯にあるのですか」
「あなたがエンドブレイカーになる切っ掛けとなったのは『赤い少女』」
「『赤い少女』、その正体は創造神イヴ・ザ・プリマビスタ」
「五将軍の造反ですか。これは、思ったよりも大きな発見かも知れませんね」
「あなたの『秘密』に感謝します」
慇懃無礼に礼を告げて来る『密告者』に、フューリアの額に青筋が浮かぶ。
「だーかーらー……勝手に、人の秘密を宣伝してんじゃねぇっての!!」
眼球へと巨大化させた腕を突き入れ、そのままに握りつぶす。
砕けるような音と共に、巨大な『密告者』が消えると、周囲に浮かんでいた小さな『密告者』も消えて行った。
「アハハハッ!最ッ高にいい気分だ!! ハハハハ……コホン」
周囲の視線に気付くと、フューリアは咳払いして言った。
「この分だとどこまで秘密を探られるか分かったものではありませんね。……『密告者』、思った以上に面倒かもしれません」
●氷竜『ブリザレイ』
人々の生活に必要となる水は、都市国家内においては主にドローアクアによって確保される。
だが、マスカレイドの来襲に伴って、水源地は荒れ狂い、水は人々を呑みこむ兇器と化していた。高きから低きに流れる水の性質に従って、溢れ出した水はより下層に存在する地域にまで広がり、人々を呑みこまんとする。
「急げ! この階層ももうすぐ水に沈むぞ!!」
戸板で作った即席のイカダを持ち出し、おぼれる者を救おうとした男達を、不意に影が覆う。自分を覗き込んでいる竜の姿に肝を冷やす間もなく、男達が乗ろうとしたイカダは吹き飛ばされた。
「ひ、ひぃぃ……」
ドラゴンたちの姿に、戦闘力の無い者達は唖然としてその姿を見上げる他ない。
災害に巻き込まれた者を救おうとする者が現れる時、その者は災害竜に襲われる。
救おうとした者が災害竜に襲われて死ぬならば、誰も他者を救おうとはしなくなるだろう。
本来ならば他者を助けようとしたであろう者すら、救いの手を他者に伸ばそうとはしなくなってしまうのだ。
仮に災害竜が倒されたとしても、その棘(ソーン)は再び術式に還元され、新たな災害竜として生れ落ちる。
人々が互いを救い合うことすら封じ、他者との断絶の中で絶望的な死を迎えさせる……それもまた、大魔女スリーピング・ビューティが編み出した『最終破壊術式』の一つの側面であった。
勇者達ですら、この術式を破ることはできなかった。
だが、棘(ソーン)の循環を断ち切ることによって、マスカレイドを真に滅ぼし得るのがエンドブレイカーの能力の一つだ。
「逃げるんだ! 避難も僕の仲間達が引き受ける!」
水面一花・リア(c25228)の声を受けて、励まされたように男達は逃げていく。水に飲まれていた人も、下流で待ち受けていたエンドブレイカー達が引き揚げている。
それを目の端に捉えつつ、リアは凍り往く水面に目を向けた。
「ただの水の災害竜ではない……あれが、『原初の』一体なのか?」
巨躯を持つ氷のオーラを纏った災害竜、氷竜『ブリザレイ』。
その身に纏う強烈な冷気を受けて、周囲の水は凍りつきつつあった。
もしも凍った水の中にまだいる者がいたならば、もはや助かる目はあるまい。
「だが、足場が出来るなら、戦闘にはむしろ好都合……! 一気に決着をつける!」
これ以上の被害を出すような真似は出来ない。
逆巻く水の流れの中で、氷の足場を蹴りつけながら、エンドブレイカー達は災害竜との戦いに挑んでいく。そうする間にも、水は僅かながらも嵩を増していく。
この調子では、水や氷に完全に閉じ込められる階層も出てきかねない。
ブリザレイのみならず、災害竜達は一撃一撃が極めて強力だ。
幾人ものエンドブレイカーが攻撃を受け、次々に氷上に倒れていく。僅かな時間の後に、半数ほどにまで減っていた。
「くっ……冷気だけでこれか」
凍り付いた服を叩き割って腕を解放すると、リアは立て続けに手裏剣を投げつける。
だが、そうする間にもエンドブレイカーは災害竜達を駆逐していく。
災害竜の一体一体は強力。だが、強敵といえど、連携を取れば倒し得ぬ相手ではないと、エンドブレイカー達は過去の戦いで証明して来ている。
災害竜の鱗を貫いて、攻撃が次々とブリザレイに届き始めた。
「今です!!」
くろねこマスター・フィオリス(c00380)の白銀の鎖が、ブリザレイの巨体を追い掛け、絡みつく。すかさずリアの繰り出した忍犬が、回転しながらその胸板へと突っ込んでいく。
氷が割れるような音と共に氷竜の姿はたち消え、荒れ狂っていた水は次第に収まっていった。
●震竜『ボルテクス』
震動が、アマツカグラ各地を襲い始めていた。
いわば全土が山岳地帯である霊峰天舞アマツカグラだ。
地滑りなどが起こればその被害は甚大なものとなる。
霊峰天舞アマツカグラが都市国家となって以来、最も栄えていた時代が再現された今の状況では、非常時の対策などを考えている地域もあった。
その対策に従い、土石流に飲まれたり、あるいは倒壊した建物に生き埋めにされた被害者を助けようと善良な者が動き出そうとすると、その震動は僅かに弱まる。
「よし、今のうちに……」
だが、それは、善良な者達にとって幸運とはなりえない。
誰かが災害に巻き込まれた者を救おうとするならば、そこには『災害竜』が現れるのだ。
救助に向かおうとした者の数に応じた数の災害竜が、それぞれの前に現れていた。
「ココハ、ワレワレノ出番デスネ」
大剣のソーンイーター・ロビン(c34330)をはじめとしたエンドブレイカー達を、災害竜達は警戒するように睨みつける。
既に世界各地において、災害竜は何体も撃破されている。地の災害竜の祖であるボルテクスもまた、エンドブレイカー達が自分の天敵であることを理解しているようだった。
災害竜達の目は獣めいた暴力性に満ちている。
だが、その性質はあくまでも邪悪。大魔女スリーピング・ビューティの術式によって生まれた『自動的な存在』であるボルテクスは、あくまでも自動的に大魔女の敵を葬らんとする。
黒い鱗を持つ地の災害竜の群れは、その一体一体が極めて強力であることを、エンドブレイカー達は戦いの中で知っている。
足を踏み出すたびに、激震が戦場を覆い、エンドブレイカー達をも地割れに呑みこんでいく。
災害によって人々が死を迎えれば、『ボルテクス』は人々の死を喰らってさらに棘(ソーン)を強化し、新たな災害竜を生み出すのだ。
「……シタガッテ、コレ以上の被害ハ許容デキマセン!」
既に戦場は凄まじい轟音と震動に満たされ、次々と地割れの底へと消えていく。
『ボルァァガァァッ!!!』
ふらつきながらも立ち上がったロビンとボルテクスがぶつかり合った。
圧倒的な質量を持つボルテクスの体に喰らいつきながら、ロビンはナイフに力を籠める。
「はいぱーもーど、起動!!」
ナイフの銀光が走ったと思った瞬間、ボルテクスの顔には大きな傷が生まれていた。
一撃に飽き足らず、ロビンは次々にナイフを繰出す。
貫かれた鱗からボルテクスを構成していたエネルギーが激しく飛び散り、やがて全身が消滅していった。
もはや自分でボルテクスから降りる力もなく、ロビンは地表に落下する。
既に震動の収まった地面を肌で感じながら、彼は自分達の勝利を確信するのだった。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
雷雲翁 | 271 | 2勝6敗 敗北 | 1613⇒491 |
大煙魔『シンゼイ』 | 262 | 5勝0敗 完勝! | 【虐殺】349⇒0 |
偽りの幻想郷「ディガルダ」 | 315 | 3勝5敗 敗北 | 【ウォール】【閉ざされし楽園】2088⇒618 |
蝗王バロケス | 232 | 4勝0敗 完勝! | 1001⇒0 |
密告者(ラズワルド軍) | 398 | 8勝2敗 勝利! | 【密告】2000⇒0 |
炎獄公女リーザレータ | 132 | 0勝11敗 敗北 | 【ガード】2553⇒2392 |
ナインテイルクイーン | 216 | 2勝3敗 敗北 | 1800⇒811 |
震竜『ボルテクス』 | 512 | 8勝2敗 勝利! | 【虐殺】【災害竜】3500⇒0 |
氷竜『ブリザレイ』 | 520 | 7勝3敗 勝利! | 【虐殺】【災害竜】3500⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第2ターン終了時点) |
---|
39378−491−618−2392−811=35066 |