<ゼルフォニアの戦い 第1ターン結果>
第1ターンの開始状況
●燦然鉱脈ゼルフォニア
伝説の勇者ラズワルドによれば、かつての燦然鉱脈ゼルフォニアは、死した燦然天使ゼルフォニアの骸が山となった後、そこをくり抜くような形で築かれた都市国家であったという。
だが、ゼルフォニアの骸を圧縮変換することで得られるゼルフォニア鉱の絶大な力は、この都市国家に破滅をもたらす要因となった。
密かにマスカレイドが流入してエリクシル争奪戦が勃発、エリクシルへの願いによって『ゼルフォニア鉱の技術革新』が発生したことはゼルフォニア鉱の需要を一層高める。
やがて無謀な採掘によって基盤となっていた燦然天使ゼルフォニアの骸を完全に失った都市国家は、王家のマスカレイド化と外部のマスカレイドによる侵略を受け、ついに人類の手を離れた。
それから何千年という時間が流れた今、燦然鉱脈ゼルフォニアの中央にある崩れ果てた山の中央からは、金色の光の柱が空へと伸びる。
輝く光の中に、翼を持つ人のような影が浮かんでは消える。
その影の正体が燦然天使ゼルフォニアであることを疑うエンドブレイカー達はいなかった。
「燦然天使の蘇生儀式の儀式場だな」
「場所が分かりやすいのは良いね」
目指すは都市国家の中央部。
大魔女スリーピング・ビューティが儀式を行う場所を目指し、往く手に待ち受けるのはマスカレイドの大軍勢を目掛けてエンドブレイカー達は走り出す。
●雷雲婆
エンドブレイカー達の往く手を遮るように、燦然鉱脈ゼルフォニアの一角を覆い尽くした雷雲。
その正体が、雷雲の姿を取ったイマージュの群れであることを、ラズワルド大戦の激戦を経たエンドブレイカー達は理解している。
『行け、行くんだよ、お前達! 爺さんの仇を取るんだよ!!』
頭上から響く声に、臥した獣・カーリグ(c13476)は声の源へと視線を走らせる。
戦場の奥にその姿を見せる、ひときわ巨大な『燦然婆』の姿を認めると、カーリグは≪teaghlach≫の仲間達と共に廃墟の影を走り抜けた。
『爺さんの弔い合戦だよ! 爺さんの分まで、たっぷり痺れさせてやるからねぇ!!』
その声と共に、後方で激しい雷撃の音が戦場を満たし、イマージュ達が一斉に攻撃を開始する。
稲光と轟音が幾重にも重なり、崩れかかっていた建物が一斉に崩壊した。
建物の影に飛び込み、難を逃れたエンドブレイカー達は、苛烈な力を持つイマージュの群れへと飛び込み、雷雲を蹴散らしていく。
『ええい、何をやっているんだい。そいつらを早く始末するんだよ!』
雷雲婆の怒声を聞きながら、カーリグは『白鹿妃』を手に崩れかけた建物を駆け登った。
「往くぞ……」
低く呟くと、雷雲婆の額へと狙いを定め、高々と跳躍。
肘から伸びたマンティスシックルが、雷雲婆の周囲にいたイマージュ達ごと黒雲を切り裂いた。
イマージュとなり、半ば固形化した雲を踏みつけながら嵐の如く鎌を繰りだす。
『ぎ、ギエェェェェ!?』
内側から切り裂かれる雷雲婆が耳障りな悲鳴を上げるのを無視して、カーリグは受け身を取りながら別の建物の屋上へと着地した。
現れていたマンティスシックルを体内に収めると同時に、後方で閃光。
雷雲婆の消失を確認すると、カーリグは建物の上から他の戦場を見回す。
指揮官である雷雲婆がいなくなったことでイマージュたちは撤退に移っているが、負傷したエンドブレイカーの数も少なくないようだ。
「かなり押されていたようだな。さすがに大魔女直属の軍か」
その中で指揮官を討ち取ったカーリグ達の働きは素晴らしいものと言えただろう。
儀式場へ向かうべく、カーリグはさらに上層を目指して走り出す。
●花園の管理人
廃墟から廃墟へと走り、上層へ通じる道を潜り抜けた白にして十字架・フェイラ(c11707)達の前に広がるのは、美しい花園だった。
「これは……綺麗ですね」
フェイラの口から、感嘆の言葉がこぼれた。
滅びた都市国家の一角であるという事実が信じがたいほどに整備された花園を見渡すフェイラに、重い蹄の音が近付いて来る。
「ガ、ガ、ココハ、テンシのテイエン……デス」
声の主は、馬の如き下半身を持つゴーレムだった。
しかもその数は一体に留まらない。
「キョカのナイモノはタダチニタイキョ……タイキョセヌバアイはハハハハハハイジョハイジョハイジョ!!」
「完全に狂っていますね」
槍を振るい、繰り出されて来るゴーレムの重いランスを逸らす。
「デデデデデストローイ!!」
古の時代の星霊建築によって造られたゴーレムは狂いながらも、今なおその機能を失わず、侵入者を迎え撃たんとする。
「庭園整備の邪魔はしないから少し通してくれないですかね……」
眼前に現れたゴーレム達の手にした剣呑な武器は、到底花園の管理には向きそうにもない。
「タイキョタイキョタタイキョタイキョタイキョ!!!」
壊れたように叫びながら突き出しながら、花園の管理人は壁際にいたフェイラへとランスを構え、突撃する。
だが、そのランスが届くより早く壁を蹴りつけたフェイラは、ゴーレムの頭よりも高く飛んだ。
空中で横薙ぎに振るわれた槍がゴーレムの首を叩き折り、そのまま着地ざまに振るわれた槍は、体重を乗せてゴーレムの体の中でも細い、脚部をへし折った。
「終わりですね」
擱座したゴーレムはなお動こうとするが、フェイラ達の攻撃はそれを許さない。
「戦いたいのか花園を守りたいのか、どちらだったんですか?」
戦闘行動に入ったゴーレム達に踏み荒らされ、見る影もなくなった花園を見渡して、フェイラは思わずそう口にするのだった。
●深層迷宮大孔雀
燦然天使ゼルフォニアの復活する地点……蘇生儀式を目指す空白の庭・テオドール(c30059)達は、都市国家内部の常緑樹の森を進んでいた。
まともに人の手が入っていた頃は整備されていたのだろうが、マスカレイドが支配して長い今では、すっかり野生化している。
「こりゃ、敵が現れてもおかしくないな」
『キーオゥ!』
「……っと、言ってる側からお出ましか!」
不意に聞こえた鳥の声に、テオドールはナイフを構えて注意深く周囲を見回す。
その前に現れるのは、美しい尾羽を広げた迷宮孔雀達だ。
『キーオゥ! キーオゥ!』
ひときわ大きな迷宮孔雀の鳴き声と共に、迷宮孔雀達は次々に羽を広げ、その模様から光を放つ。
「こいつの翼は確か発光能力を持つんだったな……!!」
尾羽からの閃光が、エンドブレイカー達の目をくらませようとする。
なるほど、この光を放つ能力は確かに燦然天使ゼルフォニアの眷属と見なされてもおかしくないのかも知れない、と思いながら、武器をかざして光を遮ったエンドブレイカーは迷宮孔雀の群れへと飛び込んでいく。
次々と放たれる閃光を受けて虚脱状態に陥る者が続出する中、テオドールは木々の隙間を縫って、確実に敵陣を突破していった。
眼前に現れるのは、ひときわ立派な体躯を持つ迷宮孔雀。
「ちょっと眩し過ぎて迷惑なんでね!!」
孔雀の放つ光が、テオドールの振るったナイフが孔雀の体から鮮血を巻き上げると、光が一瞬赤く染まる。
『キーオウ!』
ゼルフォニアを求めるように甲高く鳴いた深層迷宮大孔雀は、最後に一つ大きな鳴き声を上げると、地に伏した。
●原種ダブルレッドコンドル
大型の双頭コンドル、ダブルレッドコンドルは、山岳地帯に住まう危険なモンスターとして山斬烈槍ランスブルグなどでも知られている。
燦然鉱脈ゼルフォニアの騎士は、ダブルレッドコンドルを飼いならして戦争に利用したという。
「全く、どうやっていたのか知りたいものだ」
だが、野生を奪われ飼い馴らされていた側がマスカレイド化してしまえば、騎士達にも手のつけようがなかったであろうことは容易に想像がついた。
影冴ゆる・ヴィレム(c04539)は愛槍『天傳』を振るい、頭上から襲いかかって来るダブルレッドコンドルを蹴散らしながら進んでいく。
かつての大飼育場の跡と思しき都市国家の階層に辿り着いたエンドブレイカー達を、大量のダブルレッドコンドルが襲っていた。
ドロースピカによって空が映し出された天井は一部が破れ、そこから滅びの大地の空が見えているのがヴィレムの目にも映る。
この階層を巨大な『巣』として、マスカレイド化したダブルレッドコンドル達は棲息し続けていたようだ。
「他のマスカレイド達も、こいつらを飼い馴らすのは諦めたらしいな」
マスカレイド化したことで、本来よりもさらに凶暴化している。
低空を飛翔するコンドルの中に巨大な影を認めると、ヴィレムは高台へと駆け登った。
「あいつが、コンドルたちの親玉だな」
巨獣に匹敵するような大きさのダブルレッドコンドルが、群れを率いてヴィレム達の方へと降下して来る。
迎撃の射撃が次々に放たれる中、ヴィレムは槍を手に群れのボスへと跳躍した。
二つの首が即座にヴィレムを捕捉する。
器用に翼をはためかせて槍を避け、ヴィレムを鉤爪で捉えようとするが、
「知らなかったのか? スカイランナーは捕まらない……!」
槍を掴ませると、そこを支点に体を振り回し、頭上にある体へと強烈な蹴りを立て続けに叩き込む。
苦痛の声を上げながら墜落するダブルレッドコンドルが地面に落ちるより早く、ヴィレムはその下から脱すると、もがく巨鳥の首を槍の一閃で切り飛ばす。
群れの長を失った鳥たちが全滅するまで、そう時間はかからなかった。
●ムジナの魔女
「ムジナなので強くは無いですが、無限に再生するというのはさすがに厄介ですね」
≪エルピナ村のすみっこ≫暁銀チームの、幽氷の貴公子・スカーレット(c05129)はそう言うと、チームの仲間と共に戦場を駆ける。
大魔女スリーピング・ビューティを撃破するか、或いは、燦然天使ゼルフォニアの復活を阻止するか……。
ゼルフォニアの戦いの主戦場は、どうしても、その二戦場となる。
更に、戦って数を減らしたとしても、すぐに元の戦力を取り戻すバルバの大群。
こんなものに向かうのは徒労でしか無い。
だが、この戦場を選んだスカーレットには、充分な成算があった。
「無限に再生するといっても、王を詰んでしまえば全て消え失せる。いや、この場合は女王ですか。ならば、この俺が、それを成して悪い事はないだろう」
戦場でムジナの魔女さえ倒せば、完全勝利をつかむことができるのだ。ならば、試してみない手は無いのだ。
「ぼうやぼうや、わたしのぼうや。無理に勝つ必要はありません。強くある必要もありません。だから、安心して戦うのです。いずれ来る大魔女の世の為に」
ムジナの魔女は、そう歌いつつ、配下のムジナ達の軍勢に指示を出す。
その指示からは、ムジナの魔女が、望んで大魔女の下についているようすが伺われる。
強いものに寄生して生き残るのも、また、立派な生存戦略の一つであるのだろうが……。
「そういう他力本願は気に入りませんね。それに、強い方につくなら、私達に味方するべきでしたね」
スカーレットは、そう言うと、ムジナの魔女に向けて攻勢を開始する。
「後は、あの魔女だけです! 集中攻撃しますよ」
スカーレットの言葉に、同じ戦場に集まったエンドブレイカーが魔女を取り囲む。
退路を無くしたムジナの魔女は表情を歪めると、ぎこちない笑顔を浮かべてスカーレットに向けて手を伸ばしてきた。
それは、寝返りを狙ったものであったのだろうか?
だが、それもいまさらのことだ。
「とどめだっ」
スカーレットの氷晶剣から放たれたウィンターコールが、差し伸ばされた魔女の両腕を凍結させると、左右から襲い来る吹雪によって、その体を打ちのめしたのだ。
「あぁ、あぁ、ぼうや。助けてぼうや、どこにいるの?」
ムジナの魔女は虚空に助けを求める声が吹雪の中から聞こえたが、やがて、その声も消え、吹雪の中からは氷壁に閉じ込められたムジナの魔女だけが残されていた。
「君のぼうや……、ムジナの王など最初から戦場にいませんでした。君は、強者である大魔女を利用して生き延びようとしたのかもしれませんが、ただ利用されるだけの存在だったのですよ」
スカーレットは、氷壁の中に消えたムジナの魔女に、そう言葉をかけ、戦場を後にした。
自らの同胞である筈の魔女でさえ使い捨てにする、大魔女スリーピング・ビューティへの怒りを胸に秘めながら。
●ボアヘッドの魔女
「ボァー!」
「ボァー!」
「ボァ、ボアー!」
戦場にはボアヘッドの猛々しい雄叫びでうめつくされていた。
雄叫びの意味は正確にはわからないが、その士気の高さだけは間違い無い。
いくら倒されても無限に後を継ぐ者が生まれる戦場、更に、自分達を生み出した魔女を守る戦いとなれば、ボアヘッドの士気が振り切れたとしても不思議では無いだろう。
「勢いでは、負けてるかな?」
≪エルピナ村のすみっこ≫暁銀チームの銀の腕・ヴァレイシュ(c13222)は、そう言って肩を竦める。
エンドブレイカーは戦場のボアヘッドに比べて、個々の力が強く、その意味で精鋭といって間違いは無い。
また、ゼルフォニアの戦いが、世界の運命を決める戦場であるのも間違いは無い。
が、それ以上の盛り上がりが、ボアヘッド達にはあったようだ。
「いきなさい、わたしのぼうや、まえへ、まえへ。この戦いの向こう側に、誰も見たことが無い世界がひろがっているのです。いきなさい、わたしのぼうや、戦いの果てに見える景色を、見てみたいでしょう?」
ボアヘッドの魔女の扇動に、またしもて、ボアヘッド達が更なる雄叫びをあげる。
それは、猪突猛進という言葉が、まさに、体現したかのような情景であった。
「まぁ、ポジティブなのは良いことだぜ。だがね、一度きりの人生、守りも大切だよな?」
ヴァレイシュはチームの仲間と共に、ボアヘッドの勢いを押し返し、押し戻し、逆に、ボアヘッドの魔女を射程にとらえていた。
「俺達エンドブレイカーは、終焉に抗い世界を守る存在だぜ。なら、こんな、突撃するだけの猪に負けるはずは無いんだぜっと」
ヴァレイシュはそう言うと、ボアヘッドの魔女へと飛びかかる。
あまりに早いエンドブレイカーの攻勢に、ボアヘッドの魔女は、信じられないという表情を浮かべつつも、
「ぼうや、ぼうや、私のぼうや。前へ、前へ、前へ!」
と声を出し続ける。それはボアヘッドの魔女として譲れない願い、翻せない生き様であったのだろうか。
「その生き様、ちょっとは尊敬するぜ。俺も昔は……」
ヴァレイシュは、そう言いつつ、最後のトドメにと、輝く獅子のオーラを煌めかせた。
現れた輝く獅子、レオは、右手の爪を振るい、左手の爪を振るい、魔女を両側から串刺しにすると、抱きつくような態勢で、魔女の頭部をガブリと齧り取った。
攻撃が終わった時、残されたのは、両の脇腹を爪に抉られ首を失ったボアヘッドの魔女の死体だけであり、その魔女の死と共に、前へ前へと進んでいたボアヘッドの残存軍は全て消滅したのだった。
それを確認したヴァレイシュは、煙草を一本取り出すとその死体の前にぽいと投げ捨て、
「死後のたむけだ、あの世で一服してくれや」
戦場を後にしたのだった。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
雷雲婆 | 312 | 2勝11敗 勝利! | 2970⇒1505 |
煙魔将『ラブール』 | 317 | 2勝11敗 敗北 | 3267⇒2167 |
動かざる大台風 | 83 | 0勝18敗 敗北 | 【鈍重】10000⇒10000 |
花園の管理人 | 381 | 7勝0敗 完勝! | 1782⇒0 |
深層迷宮大孔雀 | 302 | 5勝1敗 勝利! | 1960⇒95 |
原種ダブルレッドコンドル | 324 | 6勝1敗 勝利! | 2156⇒29 |
ラットマンの魔女 | 240 | 3勝3敗 敗北 | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒352 |
ムジナの魔女 | 249 | 4勝2敗 勝利! | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒169 |
ボアヘッドの魔女 | 360 | 7勝0敗 完勝! | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第1ターン終了時点) |
---|
34292−1505−2167−95−29−352=30144 |
ターン終了時能力 |
---|
ラットマンの魔女の【無限の繁殖】! 352⇒1500 動かざる大台風の【鈍重】! ブレイクダメージ10000⇒0 ムジナの魔女の【隷属の魔女】! ブレイクダメージ169⇒0 |