<ゼルフォニアの戦い 第2ターン結果>
第2ターンの開始状況
●幽世戦士長『マリーゴールド』ブラックマリア・カーリー(c33276)達が辿り着いた階層は昼なお薄暗かった。
破壊され、朽ち果てた階層に、生きるものの気配はない。
「ドロースピカの機能が失われているのでございましょうか……いえ、それだけではなさそうですね」
カーリーがフレイムソードを構える。
剣の炎が揺れる先、闇の中から現れるのは、アンデッドマスカレイドの軍勢だ。
この『住人』達の存在があればこそ、ドロースピカも修復などされずに放っておかれたのだろう。
「奴らを殺し、その命を奪い去りなさい!」
女性のアンデッドの叫びと共にエンドブレイカー達を包囲するように近付いて来ていたアンデッドの軍勢は、一気に襲い掛かって来た。
エンドブレイカーとアンデッドの間でたちまち剣戟が繰り広げられ、闇の中に金属音が鳴り響く。
骨だけの騎士や包帯を体に巻き付けたマミーたちは、猛然と襲い掛かって来ていた。
「ゼルフォニア様の蘇生を邪魔させない。ゼルフォニア様が蘇生すれば、私達は、元の生きた体に戻れるのだからっ!」
戦士長『マリーゴールド』がそう叫ぶ。
それが、燦然天使ゼルフォニアのために命をなげうった彼女達の理由なのだろう。
「妄信するのは勝手ですが、燦然天使ゼルフォニアが復活したところで、死んだ者は死んだままだと思いますわ……」
マリーゴールドの目を見て、カーリーはそれ以上言うのを止めた。
アンデッドであることもあるのだろうが、その目は狂信に凝り固まっている。
切り結んでいたカーリーは、マリーゴールドが離れた瞬間にフレイムソードを地面へと突き刺す。
爆発的に噴き上がった溶岩が、アンデッドの身体を焼きつくし、跡形もなく消滅させる。
「創世の復活……それだけを頼りに、古の時代から今までゼルフォニアの復活を待望して来たのでしょうか」
だとすれば、相当に報われない。
燦然天使ゼルフォニアが復活すれば、訪れるのは世界そのものの破滅なのだ。
勝たなければならないと意識を新たにし、カーリーは次の階層へと向かうのだった。
●第一天使騎士『フィアフィラル』
エンドブレイカー達は、燦然鉱脈ゼルフォニアの上層部へと進出していく。
「儀式が行われているのは、かつて王城があった場所でござるな」
先行偵察を行っていた首売六郎兵衛・クライアード(c02864)は、演技がかった口調でそう呟いた。
燦然鉱脈ゼルフォニアの最上層、おそらく王城の屋上あたりか。
もっとも、空中を移動できるイマージュの群れをどうにかしないことには、王城まで辿り着くだけで大魔女と戦うことは出来ないだろううが。
だが、そこまで辿り着くのを阻むように、上層には小規模な野戦拠点が複数設けられ、そこからかつてのゼルフォニアの住民がマスカレイド化した『天使兵』が次々と出撃して来る。
燦然光獣レイレギオと共に終焉に抗う勇士号へと襲来した天使兵は、この燦然鉱脈ゼルフォニアを舞台とした戦いにおいても、その姿を見せている。
終焉に抗う勇士号で見た者達との違いといえば、レイレギオがもたらしていた『燦然光翼』の代わりとなる翼を生やしていることか。
天使兵達はエンドブレイカー達を急ごしらえと思しき防衛拠点に引き込み、遅滞戦闘を挑んで来ていた。
だが、クライアードをはじめとしたエンドブレイカー達は、その守りを確実に乗り越え、天使兵達を打ち破っていく。
「おのれ、流石にレイレギオ様を倒しただけのことはある……!!」
各拠点の天使兵達を統率していた『フィアフィラル』は、拠点へと斬り込んで来るエンドブレイカー達の勢いを戦慄の思いで見た。
「この拠点も落とさせてもらう!」
「ゼルフォニア様を害しようというのならば、このフィアフィラルが相手となろう!」
フィアフィラルは天使兵達への指示を伝令の者に伝えると、拠点に飛び込んできたクライアード達を迎撃する。細い身体のどこから力が出ているのか、エンドブレイカー達を退けんと果敢に戦いを挑んで来る天使兵達の力は侮れるものではない。
「彼らも燦然鉱脈ゼルフォニアの騎士であったのか……」
転がるように逃れたエンドブレイカーを、槍を構えたフィアフィラルが追う。
「腕も良い。さぞ良き騎士だったのだろうな」
「ゼルフォニア様の復活は、我らの悲願!」
「その悲願も、もう終わる」
クライアードは低い体勢から地面を蹴った。
フィアフィラルの身体のほとんど真下から振り上げられた刃は、三日月の如き鮮やかな軌跡を描いて天使兵の身体を断ち割った。
フィアフィラルの金色の首を断っていた。
「無念……」
既に人体とかけ離れた中身になっているのか、首だけで言ったフィアフィラルは動きを止める。
だが、ゼルフォニア復活を望む彼らの心の働きも、大魔女スリーピング・ビューティの思う壺だ。
ゼルフォニアが復活した後の光でも、自分達は生き延びることが出来ると信じているのか。
●天使将軍『ジーザギーザ』
「ええい、フィアフィラルは何をやっている!」
天使将軍『ジーザジーザ』は、エンドブレイカー達を迎撃するべく設けられた砦の司令部で、部下の動きに怒りを露わにしていた。
この一戦のために設けられた急ごしらえの砦であるが、集められた天使兵の数は決して少なくない。だが、将軍であるジーザギーザ自身は、決して戦いに意欲的とは言いがたかった。
「そのような役割は、戦いたい者にでもやらせておけば良いのだ」
進軍しようとするエンドブレイカー達を砦に引き付けるだけでも役目を果たしているのだから、それでも良いというのが彼の考えである。
「女王は我々に死ねというのか。エンドブレイカーとかいう連中はレイレギオまで滅ぼしているのだぞ。まともにやりあえば私まで危険にさらされてしまうではないか!」
だが、それでも上役に逆らうことが出来ないのが軍人であり、そしてマスカレイドである。
「エンドブレイカーが砦内に侵入しました!」
「なんだと!? おのれ、すぐに迎撃するように伝えろ!」
ジーザギーザに命じられた伝令の天使兵は即座に部屋を飛び出そうとして、音を立てて倒れる。
「おい……?」
一瞬、何事が起きたのか理解するのをジーザギーザの脳が拒むが、バトルガントレットの懲罰騎士・ユノ(c35723)達が部屋に入って来ると、すぐに事態を理解したようだった。
「おのれ、もはやこれまでか!!」
愛用の大鎌を構えたジーザギーザは、翼を大きく広げるとエンドブレイカー達に切り掛かって来る。
その実力は確かに将軍の名に相応しいものであることを、エンドブレイカー達は認める。
「もっと積極的に出られていたら、より面倒だったかもね」
「兵士の地位に汲々としている阿呆どもなどに分かってたまるものか、私の気持ちが!」
怒声を向ける。
「ゼルフォニアがマスカレイドの都市国家になって幾星霜、あらゆる手管を駆使して将軍の地位に就いたというのに、突然大魔女様が現れて世界を焼き払う……? だったら私の努力は何だったというのだ!」
大魔女とマスカレイドという力関係さえなければ、逆らってすらいたかも知れない。
「なんだか大変ね。でも、逃がさない!!」
エンドブレイカー達の攻撃に追い詰められ、窓から飛び出そうとしたジーザギーザを、ユノが投げつけたワッパーシュートが拘束する。
全力で引っ張り上げられた天使将軍は、宙吊りになったまま動きを止める。
その無様な姿に戦意を失った天使兵達が全滅するまで、そう時間はかからなかった。
●ディアホーンの魔女
俊敏に駆けまわるディアホーンの軍勢。
時に、その俊敏さは、エンドブレイカー達さへも翻弄してみせた。
「ぼうやぼうや、わたしのぼうや。わたしのかわいいスピードスター。ぼうやの速度は、あらゆるものを過去にするのです」
戦場に響く、ディアホーンの魔女の歌。
その歌の通り、ディアホーン達は、エンドブレイカーへと殺到したのだった。
「軍隊の攻撃力は、戦力に速度を掛けたものだって話もあるけど、眉唾だよねぇ」
そのディアホーンの攻撃をいなし、かわし、そして反撃を加えながら、仕込み杖の・オリーブ(c35136)が、そう漏らす。
戦場でまともに正面から戦うのならば、速度の差がそれほど大きな要因を占めることは無い。
力が強い、防御が固い、などと同様な要素の一つにしか過ぎないのだ。
速度とは、本来、必要な場所に必要な戦力を集めて機動し、勝てる状態ならば戦いを挑み、負ける戦いならば逃げる為につかうものなのだから。
その意味では確かに、速度とはとても重要なのだろうけれど……。
「それにね、あなた達には残念な話だけど、エンドブレイカーは速度でも、バルバには負けはしないのよ」
そう言ってオリーブは、戦場を駆け抜け、ディアホーンの魔女の懐に飛び込んだ。
相手が同レベルのバルバであれば、確かにディアホーンは素早いかもしれない。
しかし、レベルに差があれば……、その長所においてさえも、決して覆せない差がうまれてしまうのだ。
「あなたには言いたい事があったのさ」
オリーブは、そう言うと、精神統一するより早くディアホーンの魔女の後ろにまわり、引き抜いた仕込み杖を半円を描くように振りぬいた。
「は、早い? どうして? 速度はわたしの力だったのに……」
その瞳に、驚愕と絶望とを交互に映しながら、ディアホーンの魔女は自らの血の海に沈みゆく……。
そのディアホーンの魔女に、オリーブが言葉を続けた。
「ラッドシティにいたご立派様といい今回のスピードスターといい……本当に子の幸せを望むなら子離れするのも必要なのよね」
と。
そのオリーブの言に、ディアホーンの魔女はさっと怒りの表情を浮かべ、その後、諦めたように首を縦に振る。
そして、
「わたしのぼうや……、わたしはここまでです。だから、強く生きなさい」
そう言い残し、血の海に完全に沈んだのだった。
「これでディアホーンの軍勢も消える……ね。もしかしたら、ディアホーン達も、大魔女が生み出した幻かもしれないね」
エンドブレイカー達は、全ての敵が消えた戦場を後にしたのだった。
●バグラバグラの魔女
この戦場は異常であった。
世界の命運をかけた戦争が繰り広げられるゼルフォニアの町で、まるで、この戦場だけがその喧騒から忘れされているかのようだった。
戦場に林立するのは、南方産の頑丈な木の大木達。
そして、その枝にぶらさがるは、大きな体を木にあずけてのんびりと午睡を楽しむバグラバグラ達であった。
「ぼうやぼうや、わたしのぼうや。ゆっくり休む事はできただろう? 良い夢をみられたかしら?
でも、休息はしばしお休み。ぼうやの邪魔をする敵が来たのです。さぁ、ぼうや、起きなさい。そして、敵を倒して、また眠りましょう。いつまでも、いつまでも、楽しい夢をみられるように」
だが、その平和な情景は、エンドブレイカーが戦場に足を踏み入れ、そして、バグラバグラの魔女が目覚めの歌を歌った事で、かききえた。
大木から地におりたバグラバグラは、眠り過ぎで充血した目を見開いて、寝癖で逆立つ毛を爪で漉きつつ、のっそりとエンドブレイカーの軍勢へと歩みだしたのだ。
「あぁぁぁぁぁぁっふ!」
最も体の大きなバグラバグラの一体が、あくびのような鬨の声をあげる。
対して、エンドブレイカー達も、愛用の武具に身を固め、バグラバグラ達と対峙する。
「最後まで寝て暮らしてくれれば、戦わずにすんだのにね」
花紡ぎの妖精騎士・ルシア(c33314)は、そう残念そうに言うと、鞭を片手に戦場に踊りこんだ。
バグラバグラは強敵であった。
今まで敵にしたバルバの中でも、かなりの強敵であったろう。
が、バルバである以上、個々の力でエンドブレイカーに勝ることは無い。
ルシアは、寝ぼけ眼で爪をふるうバグラバグラの爪を掻い潜り、林立する大木を避けて回り込み、のそりと動くバグラバグラの上を飛び越え、戦場の中心へと向かう。
目指すは、バグラバグラの魔女。
この魔女を倒さなければ、全ては徒労となってしまうのだから。
「バグラバグラの魔女、勝負よっ!」
ルシアの言葉に、魔女が振り返る。
その瞳は、慈愛にあふれ、悪意などなにもないようであった。
しかし、マスカレイドは存在こそが悪であり、許すことなど出来はしない。
「あなたは、眠るのが好きなのですよね? でしたら、私の妖精達が、あなたを永久の眠りに導いてあげますよ」
そう言っ呼び出したルシアの妖精達は、手に持つ針を自らに刺して力をあげると、魔女に向かって突撃し、魔女の心の臓をその針で貫いたのだった。
針で貫かれた魔女は、ルシアを見てにこりと微笑むと、そのまま眠りにつくように目を閉じ、そして、二度と目を開くことは無かった。
「さよなら、良い夢を」
ルシアは、最後の眠りにつく魔女に言葉を贈り、戦場を後にした。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
煙魔将『ラブール』 | 292 | 1勝8敗 敗北 | 2167⇒968 |
動かざる大台風 | 55 | 0勝18敗 敗北 | 【鈍重】10000⇒10000 |
黒き暗殺者 | 298 | 1勝10敗 敗北 | 【隠密】2574⇒1553 |
幽世戦士長『マリーゴールド』 | 455 | 9勝0敗 完勝! | 2372⇒0 |
第一天使騎士『フィアフィラル』 | 458 | 8勝1敗 勝利! | 【ガード】2609⇒121 |
天使将軍『ジーザギーザ』 | 547 | 10勝0敗 完勝! | 2870⇒0 |
ラットマンの魔女 | 268 | 3勝3敗 敗北 | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒200 |
ディアホーンの魔女 | 257 | 5勝2敗 勝利! | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒106 |
バグラバグラの魔女 | 262 | 3勝3敗 勝利! | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒185 |
ブレイクゲージ残量(第2ターン終了時点) |
---|
30144−968−1553−121−200=27302 |
ターン終了時能力 |
---|
ラットマンの魔女の【無限の繁殖】! 200⇒1500 動かざる大台風の【鈍重】! ブレイクダメージ10000⇒0 ディアホーンの魔女の【隷属の魔女】! ブレイクダメージ106⇒0 バグラバグラの魔女の【隷属の魔女】! ブレイクダメージ185⇒0 |