<ゼルフォニアの戦い 第3ターン結果>
第3ターンの開始状況
●煙魔将『ラブール』『煙悪魔』と呼ばれるイマージュは、人間の不安から生まれる存在である。
人は不安を抱く時、その不安の中身を想像する。
それらの想像の一つ一つが、煙魔将『ラブール』達の力に他ならなかった。
戦場という場が、そうした不安を強くするということを、ラブールの戦果は示していると言えただろう。
ラブール達は、既に二度に渡ってエンドブレイカー達を退けているのだ。
「シンゼイ殿のように無様な敗北を喫することは許されぬ。者共、かかれかかれ!!」
残り少なくなった配下のイマージュたちを叱咤し、ラブールはエンドブレイカー達との戦いに駆り立てていく。
「何度来ようが無駄なこと、お前達の力など、所詮大魔女様には届かぬのよ!」
ラブールの言葉に、海原の守り手・アイリ(c35631)の心の中に不安が生じる。
再び敗れるのではないか、撤退を余儀なくされるのではないか……。
その不安を押し殺し、エンドブレイカーはラブールへと立ち向かう。
「戦う前から恐れてばかりいたら、勝つことなんて出来ないよ!!」
≪*緋兎*≫の仲間と共に駆け出すアイリに続き、他のエンドブレイカー達もイマージュ達との戦いに挑んでいく。
既に戦力を大きく減じていたラブールの軍団は、次々と蹴散らされていった。
定められた絶望の未来を、その実力をもって撃ち壊すのがエンドブレイカーだ。
これまで完成された実力は、煙悪魔達が糧とする不安感を払しょくするに十分なものであった。
「いっけー!!」
そして、アイリの繰り出した無数の打撃が、ラブールへと叩き込まれた。
煙悪魔の黒い身体は、文字通りに雲散霧消する。
勝利を確信しつつ、エンドブレイカー達は儀式場へとまた一歩近づいていいていった。
●黒き暗殺者
夜来香・ヘミソフィア(c03151)が得た瞳は、戦場を包む欺瞞を見通す力を有している。
ヘミソフィアの誘導に従い、エンドブレイカー達は『黒き暗殺者』率いるイマージュたちによる奇襲を回避すると、敵との戦闘に突入したものの、その戦力差に一度は撤退を余儀なくされていた。
だが、居場所が誰の目にも明らかとなった今、黒き暗殺者が率いるイマージュの軍勢は再びのエンドブレイカー達の攻撃によって、次々に消滅させられていく。
「居場所の割れた暗殺者なら、こっちにもやりようはあるっすよ!!」
暗殺ゲタを鳴らしながら戦場を走っていたゆるメン・リチャード(c02998)は、建物の影から素早く迫る影に気付いた。
鋭い剣を手にした人型のイマージュ。
その全身から放たれる殺気は、そのイマージュが舞台の指揮官であることを示していた。
「みんな、ボスのお出ましっすよ!」
素早く報告するリチャードの声に、黒き暗殺者へとエンドブレイカー達の攻撃が次々に叩き込まれる。
それでも容易に倒れることがなかったのは、ラズワルド大戦を生き延びたマスカレイドとしての実力を示していたと言えただろう。
「お前達如きが、大魔女様の御前に辿り着けることは無いと知れ!」
「生憎、そういうのは言われなれてるんすよね。敵に言われたのは無視するに限るっすけど!」
リチャードは黒き暗殺者の剣を両手の鎌を交差させて受け止めると、黒き暗殺者の瞳を覗き込む。
自らの殺意を反射された暗殺者は、刃を返すと己の喉を自らの刃でかき切った。
「ふぅー……やっぱ大魔女直属の連中だけあって手強いっすね」
大きく息をついて、リチャードは次なる戦いの場へと向かうのだった。
●燦然神像ルフィニアス
エンドブレイカー達は、王城の存在する階層へと進出していた。
王城の奥からは光の柱が立ち昇り、そこが燦然天使蘇生儀式の場であることを物語る。
だが、その王城へ向かう前に、エンドブレイカー達には突破せねばならない場所があった。
燦然天使ゼルフォニアを奉った神殿である。
燦然鉱脈ゼルフォニアがマスカレイドの都市国家となった後に修復されたのだろう。
長い年月をかけて彫刻を施された壁は、エンドブレイカーから見ても美しいと言えるものだ。
「見事な彫刻、といいたいところですが……!!」
氷華の戦乙女・シルファ(c08092)は、アイスレイピアからの氷の嵐で敵を迎撃していた。
彫刻と共に、この階層のあちこちに点在する、燦然天使ゼルフォニアを模したと思しき神像。
それらの全てが、いまやエンドブレイカー達の敵であった。
それらを突破し、豊かな胸を揺らしながら神殿へと乗り込んだシルファ達を、神々しいまでの光を放つ巨像が出迎える。
『ゼルフォニア。それは世界を救済するもの。
その光は闇を清め、悪を滅ぼし、世界を正しき姿へと導く』
巨大な像の口がまるで生き物であるかのように自然に開き、燦然天使ゼルフォニアを賛美する歌を歌うのは、どこか生理的な嫌悪感を伴うものだった。
「本来のゼルフォニアはそうかも知れませんが、わたくし達は滅ぼされるわけには参りません……それに、それは大魔女スリーピング・ビューティの望みを叶えることに繋がるのですから!」
戦意を露わにするシルファ達エンドブレイカーに応じるように、巨像はゆっくりと動き出す。
神殿を守る天使兵達も現れての戦いは、神殿を破壊しながら続いた。
『悪しき者は去り、光が世界を照らす。
正しき者のみが、その世界に生きる』
「本当にそうなら、どれだけ良かったか……」
実際の燦然天使ゼルフォニアは、世界を滅ぼす存在となり果ててしまう。
創世の光が放たれれば、
「だから、その前に……氷に抱かれて滅びなさい」
シルファが放った氷の戦輪は拘束で回転しながら光の膜を突き破り、神像へと突き刺さった。戦輪から伝わる冷気が、神像を完全に凍り付かせる。
「これで、この階層も残るは王城のみ……」
王城からの光に寒気を感じ、シルファは軽く身震いした。
●ゼルフォニア女王アンゲリカ
燦然鉱脈ゼルフォニアの王城の屋上を覆うように、奇妙な雲らしきものが集まっていた。
儀式の光は、そこから放たれている。
大魔女スリーピング・ビューティがそこにいることを確信しながら攻め入ったエンドブレイカー達とマスカレイドによって、光に照らされる王城は激戦の場と化していた。
この都市国家がマスカレイドに支配されるようになってからの有り余る時間に任せて創られたと思しき壮麗な彫刻に飾られた城内を、エンドブレイカー達は天使兵を撃破しながら進んでいく。
やがて現れた大扉を、仕込み杖のソーンイーター・シャールカーン(c36433)が押し開く。
目に映ったのは高い天井と、華麗な玉座。
「謁見の間か」
そして、謁見の間に集った防衛部隊の天使兵と、玉座に座した女王だ。
「退けなさい」
女王の命令に従って、おそらくは燦然鉱脈ゼルフォニアの騎士であったのだろう天使兵達が一斉にシャールカーン達の方へと向かって来る。
「確か、ラズワルドの時からずっと女王なのか……何年生きてるんだ?」
三塔戒律マギラントの封印迷宮内にいたマスカレイド達もそうだが、マスカレイドには寿命というものが無いらしい。
かといって都市国家内にこれといった進歩も見られないため、ある意味、マスカレイドとなった時点で成長を止めていると言って良いのかも知れなかった。
「けど、ここでそれも終わりだ、女王様!」
「燦然天使ゼルフォニアが蘇るならば、わたくしの時代が終わるのは当然のことでしょう」
どこか達観したように、ゼルフォニア女王アンゲリカは言う。
「勇者の中にさえ、大魔女の支配を覆す一手として、燦然天使ゼルフォニアを蘇らせることに価値を見出す者はいました。……魔女が持つ力を知って諦めたようでしたが」
多分その勇者はマギラントあたりだろう、とエンドブレイカー達は推察する。
「散々狙われて、それで諦めてマスカレイドになったと!?」
「それが私の定めです。定められた終焉に逆らうことなどできません」
「ああ、そうか!」
天使兵の守りを打ち破ったエンドブレイカー達へ、女王からの激しい攻撃が降り注ぐ。
だがシャールカーンはそれに耐えると、己の中に宿るデモンの力で実体化させた棘(ソーン)を、女王に向けて渾身の力で撃ち放った。
棘に貫かれた女王は、玉座に座り込むようにして倒れ込んだ。その姿が、砂のように崩れていくのをエンドブレイカー達は見る。
「勇者達とも異なる。これが、終焉を終焉させる者の力……」
「古の時代に俺達がいりゃ、また話は違ったかもな」
やがて女王の姿は完全に消え、玉座は空になる。
王なき玉座を見つめ、シャールカーンは深く息をついた。
燦然鉱脈ゼルフォニアに元からいたマスカレイドの軍勢は、これで完全に沈黙した。
だが儀式場を止めるためには、大魔女への道のりにひしめくイマージュの軍勢を倒さねばならない……。
●ラットマンの魔女
目の前にはバルバ・ラットマンの群れが集まっている。
いくら倒しても次々復活するラットマン。その様子は、グレートウォールを襲ったという十六万体のバルバの群れを彷彿とされるものであった。
「つまり、バルバの王を生み出した魔女たちは大魔女に支配されていたというわけですね」
赫焉の眼・バーナード(c03566)は、そう歴史を分析してみせた。
バルバ一体一体は、それほど手強くは無いだろう。
しかし、数の暴力は無視できず、そして、倒したバルバ達が魔女の力で次々補充されていく……となれば、グレートウォールであっても耐え切れるものでは無いのだ。
「まぁ、燦然天使ゼルフォニアが復活して、世界がリセットされるのならば、バルバの魔女がどうしようと関係ないのですけどね」
バーナードは、肩にかついでいた大窯で、彼とラットマンの魔女とを遮るラットマンの一体を切って捨てて、言葉を続けた。
「あいにく、私達は負けるつもりはありません。世界がリセットされないのならば、バルバを無限に生み出すバルバの魔女は、一人でも減らした方がいいと思うのです。どうですか?」
問われたラットマンの魔女は、だが、バーナードを見ることは無い。
目の前で殺されたラットマンを視界に入れつつ、歌うように言葉を紡ぐのみである。
「ぼうや、ぼうや、わたしのぼうや。あぁ、どうして、わたしのぼうやは、こんなに弱いのかしら。でも、大丈夫よ、わたしの坊や。殺されても喰われても、それ以上に増え続ければ、最後の勝利は、ぼうやのものだもの」
問うたバーナードは、ラットマンの魔女に狙いを定めた。
予想はしていたが、どうやら会話は通じないらしい。
「大魔女に従属させられ戦力を生み出す道具として扱われているあなたには、同情の余地もあるでしょう。でもね、今現在マスカレイドバルバを生み出し続けるあなたを、私は、倒さねばなりません」
そう言うと、バーナードは、大釜を振り下ろし、その鼠色のドレスごとラットマンの魔女の胸を切り裂いた。
その露出した胸元からは鮮血が飛び散っていく。
「安らかに眠りなさい。向こうで、お前のぼうやとやらも待っているはずですよ」
バーナードはそう言うと、返した大鎌で魔女の額を貫き死に至らしめた。
その大鎌を受ける直前、死にゆくラットマンの魔女は微かに微笑みうなずいたように、バーナードには見えたのだった。
「見間違いだったかもしれないけれどね」
バーナードはそう独りごちると、戦場を後にした。
●ティグレンの魔女
俺は、腕に覚えがあるぞっ! と言わんばかりのティグレンの群れ。
一体一体が自信に溢れた表情で、エンドブレイカーを迎え撃とうとしている。
自分が強い事を疑わない傲慢さ。
そして、自分が強い故に正義だと信じる盲信がティグレン達を支えているのだ。
そして、その盲信の源には、
「強い強いわたしのぼうや。あなたはとても強い子です」
と歌い続ける、ティグレンの魔女の姿があった。
「ティグレンが強い? とんでもない勘違いですわ」
朱陽ノ戦姫・レイ(c29148)は、分不相応な自信を持つ、ティグレンの群れを見て、不敵な笑みをうかべ号令をかけた。
「風穴明けるわよ! 私に続きなさい!」
そのレイの言葉に、解き放たれた矢のようにエンドブレイカー達が戦場に舞った。
「オレ達はツヨイ!」
そう言うティグレンを、エンドブレイカーが一撃のもとに屠る。
「ぐぁぁぁぁぁ」
「ツヨサはセイギだ!」
そう胸を張たティグレンの胸郭を、エンドブレイカーの槍が貫き通す。
「オレは、ツヨサのサキに……」
そう言ったティグレンは、紋章の前に膝を屈した。
戦場は既に、エンドブレイカー達の独壇場となっていたのだ。
「ティグレンの魔女よ。これが、本当の強さよっ!」
レイがそう言うと、ティグレンの魔女は、顔を怒りで赤く染め炎のオーラをまとって、突進してきた。
ティグレンの強さを否定された事が、よほど許せなかったのだろうか。
「強いものが正義というのは間違いね。強ければ何をしても良いという事は無いのだから。でもね、今、この場だけでいうのならば……」
突進してくるティグレンの魔女に言い聞かせるように、レイはこう宣言した。
「強い側が正義だわ」
と。
その言葉の通り、レイの野太刀『Deus ex machina -Dawn of the
Valkyrie-』が、闇を灼き尽くす太陽の光と共に、ティグレンの魔女を一刀両断し、その生命を奪い尽くしてみせた。
「正義が強いのはね、正義を貫く為に強くなるべく努力するからよ。それを理解できなかったのが、あなた達の敗因ね」
その言葉は、四聖騎士団に所属するソレイユ家の次期頭首としての心構えであったのだろうか。
彼女の言葉が死にゆくティグレンの魔女に届いたかを、知る者はいない。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
煙魔将『ラブール』 | 367 | 7勝0敗 完勝! | 968⇒0 |
動かざる大台風 | 17 | 0勝16敗 敗北 | 【鈍重】10000⇒10000 |
黒き暗殺者 | 374 | 7勝0敗 完勝! | 【隠密】1553⇒0 |
燦然神像ルフィニアス | 606 | 12勝0敗 完勝! | 【ガード】3157⇒0 |
ゼルフォニア女王アンゲリカ | 709 | 14勝0敗 完勝! | 3473⇒0 |
ラットマンの魔女 | 268 | 5勝1敗 勝利! | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒129 |
ティグレンの魔女 | 302 | 6勝1敗 勝利! | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒45 |
タウラスの魔女 | 227 | 1勝6敗 敗北 | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒735 |
ブレイクゲージ残量(第3ターン終了時点) |
---|
27302−735=26567 |
ターン終了時能力 |
---|
タウラスの魔女の【無限の繁殖】! 735⇒1500 動かざる大台風の【鈍重】! ブレイクダメージ10000⇒0 ラットマンの魔女の【隷属の魔女】! ブレイクダメージ129⇒0 ティグレンの魔女の【隷属の魔女】! ブレイクダメージ45⇒0 |