<ゼルフォニアの戦い 第4ターン結果>
第4ターンの開始状況
●滅びの大地滅びの大地は広大だ。
そのあちこちには、マスカレイドによって滅ぼされた人類の都市国家も多数存在している。
古の時代から現在に至るまで、それらの都市国家それぞれは、マスカレイド達が支配する領域のまま、奪還された試しは無かった。
燦然鉱脈ゼルフォニアにいたマスカレイドの軍勢がエンドブレイカー達によって破られた今、この都市国家がその最初の例となりえる可能性は十分に高まっていると言えた。
広大であるが故に、他の都市国家にいるマスカレイドが燦然鉱脈ゼルフォニアへの増援として駆け付けて来ることは出来ていない。
もはや、この場でエンドブレイカー達が相手をすれば良い相手は、大魔女直属のイマージュと、大魔女が連れて来た『隷属の魔女』達だけに絞られていた。
そして、エンドブレイカー達は、残る2つの片方にも終焉を与えんとしていた。
●王子騎士団団長『アルフレッド』
「大魔女スリーピング・ビューティ様に仕えし騎士達よ! 撤退は許されない! 大魔女様のため、その身命を捧げるんだ!」
王子騎士団団長アルフレッドの若々しい声が戦場に響き渡る。
『白馬の王子様』と呼ばれる、理想の男性を願う女性達の妄想から生まれるイマージュは、大魔女を守らんとする意志をイマージュたちに伝播させ、防衛戦へと駆り立てていく。
彼の号令一下、雑多なイマージュ達が次々とエンドブレイカーに襲いかかる。
「まさに『理想的』な指揮官だね……。イマージュでなければ、詩の題材にでもなったのかも知れないけれど」
大魔女がその周囲に他の生ある者を置いていないのは、マスカレイドこそが彼女の『子』であるからだろう。
その発生において、他の生物が関与していないイマージュは、最も純粋な『マスカレイド』であると言えたかも知れない。
「大魔女スリーピング・ビューティ様こそが、私達の母にして守るべき姫君。お前達の凶刃、決して大魔女様に届かせはしない!!」
馬上で剣を振りかざし、勇ましく宣言すると共に、アルフレッドは白馬をエンドブレイカー達へと向け、高速で斬り込んで来る
人馬一体とも言うべき剣技は、文字通りに理想的であり、その姿は、まさしく少女たちが夢見る『白馬の王子様』そのものであった。
「けれど、妄想を率いる大魔女には、現実を叩きつけてやらないといけないね。僕達エンドブレイカーがいるということを……」
ユリアスの振り上げたムーンブレイドの帯びた魔力が、月光のオーロラを戦場の上に広げる。
強烈な眠気がアルフレッドを含めたマスカレイド達を襲い、耐え切れなくなった者の存在を棘(ソーン)ごと破壊する。
妄想存在たるイマージュ達は、消えた後にその残滓すら残さなかった。
「くっ……よくも仲間を!」
「心外だな。まるで僕達が悪いみたいじゃないか」
世界を滅ぼそうとしている大魔女を倒すために、躊躇いは必要ない。
ユリアスがさらなる魔力をムーンカーテンに注ぎ込むと、ついにアルフレッドが動きを止める。
「すみません、大魔女様……どうか、御無事で……」
消え去る時まで忠誠を示しながら姿を消していくアルフレッド。
だが、それもまた誰かの妄想に過ぎないということを鑑みれば、どこか虚しさを伴うものだった。
●紅き棘の侯爵
正体が判明する以前、イヴ・ザ・プリマビスタは『赤い少女』と称されていた。
その呼び名の由来は、イヴが世界各地に出現させていた、赤い霧で作られた分身体である。
イヴはその分身体を用い、エンドブレイカー達の資質のある者に目覚める機会を与えていた。
この赤い霧の正体は、マスカレイドに汚染されていない棘(ソーン)であった。
大魔女スリーピング・ビューティが創造神イヴ・ザ・プリマビスタから奪った直後の棘(ソーン)を用いて作ったイマージュマスカレイドもまた、その赤色を維持している。
「血の色のようだね」
と沈みゆく花の城・ルガディア(c20664)は長い耳を押さえながら連想した。
空中に浮かんだ赤いイマージュは、精神を汚染するような不快な音波が発されている。
レッドバロックと起源不明のイマージュの、あるいは原型なのかも知れない。
レッドバロックは「病的な精神の持ち主」に従うという。
「だとすれば、これを生み出した大魔女スリーピング・ビューティは、どんな精神を持っているというのか……ふふ、実に興味深い」
もっとも、腹を割って話し合ったところで理解しあえることは無さそうだと感じながら、ルガディアは宙に浮かぶ紅き棘の侯爵を見上げる。
『触れてはならぬ触れてはならぬ触れてはならぬ! 嗚呼、大魔女スリーピング・ビューティ様、禁断の宝石に手を伸ばし、貴女は何を願うというのか!!』
紅き棘の侯爵の目らしき部分は、おそらくはこの戦場ならぬ場所を見つめている。
我を失ったように狂ったような言葉を垂れ流し続ける紅き棘の侯爵だが、大魔女に対する忠誠は本物であるらしい。
エンドブレイカー達を退けるべく、さらなる精神汚染を広げようとする侯爵へと、ルガディアは魔導書を開いた。
「さて……ちょっとばかり、五月蠅すぎるな」
言葉と共に放たれた精神を破壊する紫色の光線が、侯爵を直撃する。
「あげぎぐげおあふぉうはははハハア!?」
狂乱の度合をより一層増しながら、鋭い爪を振り上げる紅き棘の侯爵へ、続けて放った見えざる衝撃が突き刺さる。
エンドブレイカー達の集中攻撃を受けて、ついに紅き棘の侯爵は消え去った。
●タウラスの魔女
「確かにタウラスちゃんって、地下迷宮の方が似合いそうだね」
特に理由は無いけれどと言う、純白のナガレボシ・シロ(c02654)に、何人かのエンドブレイカーが頷いた。
目の前の戦場は、平地であり、そしてそこのタウラス達が戦斧を構えて並んでいる姿に、少しだけ違和感を感じたようだ。
タウラス達の中心では、タウラスの魔女が、おなじみの「ぼうやぼうや」の歌を歌っている。
が、その歌の内容と、戦場の様子にも齟齬が出ていた。
「大魔女が無理矢理ここに出陣させちゃったんだよね」
タウラスとタウラスの魔女ならば、迷宮の守護として使ったほうが実力を発揮できるのだろう。
まぁ、大魔女は、ここで世界をリセットするつもりなのだから、関係ないのかもしれないが……。
「少しだけ、哀れだよね」
シロは、そう言うと、タウラスの群れに正面から攻撃を開始した。
戦場では、タウラスとエンドブレイカーの戦線が接触し、そして、ほどなく乱戦に移行する。
タウラス達は個人の戦いは得意のようだが、集団戦には慣れていないようで、乱戦の末に次々とエンドブレイカーに討ち取られていく。
だが、それを見ても、タウラスの魔女は同じ歌を歌い続けている。
「理想と現実の違いに、心がついてかなかったというところかな?」
再び、憐憫の気持ちが湧き上がるが、今はそんな思いにかかずりあっている事はできない。
シロは、心を鬼にして、タウラスの魔女の前に立った。
「魔女ちゃんの歌は、悲しいよ。でも、僕の歌は世界を救っちゃううたなんだよっ!」
うつろな瞳で夢見るように紡がれるタウラスの魔女の歌に、シロの厳かな歌が重ね合わされる。
そして、シロの歌がタウラスの魔女の歌を覆い隠すように広がり……広がり……、タウラスの魔女の歌を掻き消した。
歌を失った魔女は、その場に、ゆらりとゆらめくと、そのまま崩折れるように倒れ伏したのだった。
徐々に輪郭をうしないずぶずぶと崩れていくタウラスの魔女。
しかし、彼女は、最後まで歌おうとするのをやめることは無かった。
「ぼうやよ、ぼうや……。地下迷宮の護り手……。あなたの斧は護る力……。ぼうや、ぼうや……」
声にならない声で歌う魔女。
その悲しい歌は、シロは葬送の歌によって浄化され、天へと登っていくのだった。
●ライノパイルの魔女
「遅いけど強いね。つまりは、後の先という事ですか?」
雨呼びの・レイン(c34251)は、ライノパイルの軍勢の前にして、そう分析する。
作戦経過は順調で、ゼルフォニアの復活まではまだ間がある。
大魔女を直接攻撃するには手が足りなくとも、ゼルフォニアが復活するまでには時間の余裕があるだろう。
その結果、バルバの魔女軍を次々撃破することになったのだが……。
「これも、大魔女スリーピング・ビューティの狙いなのでしょう」
もし、バルバの魔女軍が存在しなければ、エンドブレイカー達は『ダメモト』であっても、大魔女軍に大攻勢をかけた筈だ。
それを阻止する為に、魔女たちを戦場に配置したのならば、大魔女の知謀恐るべしというところだろう。
だが、バルバの魔女には、戦後に残すと何か悪いことが起きそうだという不気味さがあり、ここで討ち取らずに逃すという選択も取りにくい。
それすらも、先の戦いでの、エンドブレイカーと災害竜との戦いを見た大魔女の策であるのかもしれないのだが……。
「まぁ、今考えるべきことでは無いでしょうね」
そう言うと、レインは、ゆっくりとしたモーションで動き出すライノパイルとの戦いに気持ちを切り替えた。
ライノパイルは、まぁ強かった。
素早さが信条のディアホーンよりも、戦力は上であったろう。
しかし、エンドブレイカーの戦力は、質量ともにライノパイルをを上回っており、危なげなく勝利を奪うことに成功したのだった。
「ということで、君を討伐させてもらうよ。君が生き残ると、何か悪いことが起きそうだからね」
レインは、大鎌を閃かせてライノパイルの魔女を翻弄すると、自らの肉体と原書の獣の肉体とを重ねあわせ、その豪腕を振り上げると、世界の終焉を思わせる打撃により、ライノパイルの魔女に致命傷を与えたのだった。
地に倒れたライノパイルの魔女は、吐血しながらも最後の問いをレインに投げかけた。
「わたしのぼうやは、ディアホーンよりも強かった……ですか?」
と。
レインが「強かったですよ。だから、安心して逝きなさい」と答えると、ライノパイルの魔女は満足そうな表情を作り、その表情のまま死を迎えたのだった。
「……いったい、ディアホーンの魔女との間に何があったのでしょうねぇ」
レインに一つの疑問を残して……。
●エレファンタスの魔女
「幸せなエンディングを目指して、レッツゴー!」
順調に作戦が進み、大魔女の撃破は難しくとも、それ以外の敵を次々と撃破してきた、求道少年・アリシア(c04821)とエンドブレイカー達は、隷属の魔女軍の最後の魔女、エレファンタスの魔女の戦場へとやってきた。
そこで、アリシア達を出迎えたのは……
「お前達は許さない」
そう言って血の涙を流し、アリシア達を怒りの形相で睨みつけるエレファンタスの魔女であった。
「お前達は、生き残った数少ない姉妹達を無惨にも殺戮してまわった。それは許されざる事だ」
彼女の糾弾に、アリシア達は少しだけ怯んだが、非は大魔女に隷属させられた魔女たちにある。
だから、アリシアは、堂々とエレファンタスの魔女に反論したのだった。
「大魔女スリーピング・ビューティは今の世界を滅ぼし、自分の欲望だけで新たな世界を作りなおそうとしているんだぜ。その計画に加担したお前達は、その時点で世界の敵で間違いなしだぜ」
その堂々とした主張は、残念ながらエレファンタスの魔女には伝わらず、彼女は、エレファンタスを鼓舞する歌を歌い上げた。
「ぼうやよ、ぼうや、賢く強い、わたしのぼうや。姉妹の仇をとりなさい。魔女の怒りと呪いとを、あの者達に見せなさい」
その歌が戦場に響くと同時に、パオパオーンという大音声が戦場に解き放たれた。
「パオパオーン」
「パオーン」
「パオパオパオーン」
賢きエレファンタス達の鼻から抜けるような雄叫びが響き渡る。
それに負けじと、エンドブレイカー達も、声を上げた。
「狙うは、エレファンタスの魔女だ! この戦いは世界を救う戦いの前哨戦だぜっ!」
アリシアの檄は、なんの誇張もない。
燦然天使ゼルフォニアが復活するまで、もう少し。
その前に、エレファンタスの魔女を倒しておけば、戦いが有利に進められるのは間違いない。
戦場では早速、エレファンタスとエンドブレイカーの激戦が繰り広げられている。
硬い皮膚をもつうえ、4本の腕で盾と剣を使い、背中にも大盾のようなものを背負うエレファンタスの防御は固く、さすがのエンドブレイカー達も梃子摺ったが、しかし、時間と共に戦いの趨勢はエンドブレイカー側に傾いていった。
「なぜ、強く賢いぼうやが負けてしまうの? わたしは、姉妹の仇も討てないというの?」
絶望に嘆くエレファンタスの魔女に、アリシアは、斧を振るってオーラの刃を大量に生み出すと、その刃全てを彼女の体の中心線へと振り下ろした。
「簡単に大魔女に隷属したのが悪いんだぜ。そもそも、そんなに沢山の魔女の姉妹がいたのなら……。あんたなら、大魔女を止める事もできたよな?」
そのアリシアの問いかけに、エレファンタスの魔女は自嘲げに答えた。
「私達姉妹が100人居ても、大魔女を止めるなど不可能よ」
と。
そして、幾つものオーラの刃に切断され細切れになって息絶えたのだった。
バルバの魔女が100人集まっても止めることができないという大魔女スリーピング・ビューティ。
その力はいかほどのものか……。
アリシアは、少しだけ武者震いすると、新たな敵を求めて戦場を後にした。
まずは、燦然天使ゼルフォニアの危機を乗り越えねばならないのだから。
●動かざる大台風
「悪いわね、ラズワルドさん」
「構わん。これが私の役割だ……しかし面倒な相手だな、あれは」
常磐の城塞騎士・ユイ(c03108)達を救援するべく現れた伝説の勇者ラズワルドは、今日既に何度も戦っているイマージュたちを振り返りながら言った。
大魔女ですら出現させられる場所を限定された大台風の軍団は、ここまでエンドブレイカー達を退け続けている。
「ラズワルドさんも知らない相手?」
「私達の時代では、災害竜による災害を封じる手段も無かったからな」
そうした被害の中に紛れてしまったのかも知れないと、暴風から逃れつつラズワルドは言いながら、王城を見上げた。
大魔女スリーピング・ビューティがいる王城上の儀式場からの光は、ひときわ強くなっている。
「……しかし、大魔女の儀式を止めることは、もうできそうにないな」
ラズワルドの至った結論に、エンドブレイカー達も苦渋の表情で同意する。
「後のことを考えれば大魔女の手駒や棘(ソーン)は可能な限り減らしておくのが望ましいのだろうが、それは棘を滅ぼせるお前達に頼るしかないな。……ともあれ、ここは引き受けよう」
お互い無理はせぬように、と言いおいて、ラズワルドは荒れ狂う風の中へと消えて行った。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
動かざる大台風 | 61 | 0勝18敗 敗北 | 【鈍重】10000⇒10000 |
王子騎士団団長『アルフレッド』 | 795 | 15勝0敗 完勝! | 【ガード】3267⇒0 |
紅き棘の侯爵 | 726 | 14勝0敗 完勝! | 【ガード】2396⇒0 |
タウラスの魔女 | 489 | 9勝0敗 完勝! | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒0 |
ライノパイルの魔女 | 378 | 7勝0敗 完勝! | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒0 |
エレファンタスの魔女 | 362 | 7勝0敗 完勝! | 【無限の繁殖】【隷属の魔女】1500⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第4ターン終了時点) |
---|
26567=26567 |
ターン終了時能力 |
---|
動かざる大台風の【鈍重】! ブレイクダメージ10000⇒0 |