<エルフヘイムの戦い 第1ターン結果>
第1ターンの開始状況
古代妖精騎士の末裔たるエルフ達が住まう都市国家、永遠の森エルフヘイム。
緑為す都市国家の平和を打ち破ったのは、ダークエルフ達の体に等しく走った激痛であった。
「……!?」
「どうしたんだ、しっかりしろ!!」
己のパートナーを心配するハイエルフ達の目の前で、ダークエルフ達から飛び出た『何か』は集まり、巨大な翠色の物体を形作っていく。
「なんだ、これは……!?」
そこに実体化したのは、巨大極まりない植物の蔓だった。
大蛇がとぐろを巻くようにしてエルフヘイムの世界樹群に絡み付き、上へと蔓が身を運ぶにつれて、樹の幹に建てられていたツリーハウスが次々と崩落し、下方へと落下していく。
ツリーハウスと運命を共にした人々の悲鳴を嘲笑うかのように、その身の丈に相応しい巨大な棘を生やした蔓はたちまちのうちに高みへと至った。
やがて、事態を把握しきれずにいるエルフ達の眼前で、蔓は動きを止めた。
蔓の先に生じたツボミが、たちまちに花開き、大輪の薔薇として咲き誇る。
「あの薔薇は、アクスヘイムと同じ……」
混乱した人々が次々に駆け込んでくるのを迎えながら、弓の城塞騎士・フルートは都市警備隊の本部前から薔薇を見上げた。
ならば薔薇の出現に続いて現れるものも同じであろう。このエルフヘイムに訪れると言われていた終末の日が、ついに来たのだ。
「≪予言者≫様、どうか戦士達に力を……」
今は亡き≪予言者≫に祈ると、フルートは弓を担ぎ警備隊本部を走り出た。騎士団との協力のためにも、事態を最も理解している彼女が行くのが一番早い。
フルートの予測通り、異変は薔薇の出現だけに留まらなかった。
混乱の中、突如現れた仮面の軍勢が、エルフヘイムの街を蹂躙し始めたのだ。
沼地から現れるアンデッドや怪物達。
ざわめく森から現れた異形の獣やバルバ達。
そして、エルフでありながら、隣人たちの命を奪わんとする者達。
彼らの跳梁はとどまるところを知らなかった。
仮面の軍勢同士での争いも起こり始めるが、それは人々の救いとはなりえない。
エルフヘイムの全てが絶望の底に沈もうとする。
だが、そこに敢然と立ちはだかる者達がいた。
彼らはエルフでは無い。
人間だ。
本来であれば、この都市には一時的に滞在しているに過ぎない者達だ。
だが、彼らはエルフ達を襲わんとする凶刃の前に身を晒し、エルフ達を救っていく。
「ありがとう。でも、あなた達は何故……」
助けられたエルフが問う。
そのエルフを助け起こしながら、彼らは答える。
「誰かの命を助けるのに、理由がいりますか?」
エルフヘイムを救う≪予言の戦士≫。
終焉に終焉をもたらす者。
その名は、エンドブレイカー!
美しき緑の都を襲う最悪のエンディングを破壊するべく、エルフヘイムの戦いは幕を開けた。
●大戦士長ブッフハルト :Battle17
「総員、避難活動に当たれ!」
エルフヘイム騎士団の総帥、ドンチャッカはエルフの騎士達にそう命じていた。
誰がいつ仮面の軍団に加わるかも分からない、この危機的な状況下にあって、彼の毅然とした態度は騎士達の支えであった。
避難して来た人々が騎士団本部に収容され、不安げな表情で事態の収束を待つ。
だが、その騎士団本部付近へも、仮面の軍勢は進出しつつあった。
雑兵と呼べる程度の力量しか持たないマスカレイド達だが、一般の人々にとって脅威であることには変わりない。実力のある騎士達が反撃しようにも、「棘(ソーン)」はその憎悪すら見逃さず、抱いた者をマスカレイドにしてしまうのだ。
「騎士どもの反撃は無い!」
その指揮を執る大戦士長ブッフハルトは、配下のマスカレイド達に威勢よく告げた。
「貴様らは精々好きなようにやれ! ダルクも女も、思いのままに奪うがいい!」
「流石だぜ、ブッフハルトの旦那!」
快哉を上げて目につく人々に襲い掛かろうとするマスカレイド。だが、その喜びの声は瞬く間に断ち切られた。エンドブレイカーの一団が、彼らを迎え撃ったのだ。
「むぅ!?」
「これ以上、あんた達に好き勝手はさせないよ!」
エンドブレイカーの視線を受けて、ブッフハルトは鼻で笑った。
「フン……騎士団を滅ぼし、ドンチャッカも我が軍門に降そうと思っていたが……その前に死にたい者がいるようだ」
剣を構えたその瞬間、ブッフハルトの姿が変わった。
「……!? その姿は……」
「ドンチャッカドンチャッカと、喧しい……!!」
剣を振り上げ、振り下ろす。その一動作に隙すら見せない。
そして腕の先にあるのは隆々たる筋肉と、エンドブレイカー達もよく知るドンチャッカの顔だ。
「ドンチャッカが好きならば、ドンチャッカに殺されるがいい!」
胸筋にマスカレイドの仮面を浮かべながら、ドンチャッカの顔となったブッフハルトは、総帥本人ならばありえないような歪んだ笑みを浮かべる。
「構わない、全力攻撃だ。寄せ集めの兵士など、統率者を倒せば散り散りになる!」
新緑を纏う狩人・アレス(c01633)の号令に従い、エンドブレイカー達はさらに攻勢を強める。
やがてアレスの放った矢が、ブッフハルトの胸板を貫き、大戦士長を地に伏せさせた時、騎士団付近に攻め寄せたマスカレイドの軍勢は壊滅していた。
●アンデッドカシアス:Battle32
エルフヘイムの中央公園は、初春に似合わぬ熱気に煽られていた。
緑の公園を照らすのは炎の色。公園の側にあった家々が、炎に包まれていたのだ。
燃え盛る家々から逃げ惑う人々の耳に、老人の声が届く。
「エルフヘイムの心ある人々よ、正義に目覚めよ! そしてスフィクス家の旗の下に集うのだ!」
怯える人々を前に、そう演説するのはフードを目深に被った一人の老人だ。
「この危難は全て、レジスタンスの存在が原因よ! 甘い処罰しか下さなかった騎士団、ドンチャッカ総帥こそが、諸兄らの身に危難を及ぼした原因なのだ!」
声は、炎の立てる音を圧して響いた。
おそらくは、声自体にも魔力が篭められているのだろう。
ふらふらと立ち上がり、老人の元へ歩み寄ろうとするエルフの少女の腕を掴みとめたのは、一人のエンドブレイカーだった。
「しっかりするんだ、あんな奴らの言うことを聞いちゃいけない!」
「こちらへ!」
逃げ惑っていた人々を、エンドブレイカー達が誘導して避難させていく。
「くぅぅう、おのれ人間ども! やはり貴様らも、ドンチャッカに味方するか!」
フードを下ろすと、その下から現れたのは半ば腐敗し、変色しかかった顔だった。騎士団内部での反乱を誘発させたカシアス老の、変わり果てた姿が、そこにはあった。
「アンデッドか……」
「否! 貴様ら秩序を乱す悪人に、正義の鉄槌を下すため! 儂は新たな命を得たのだ!」
独善に狂った笑いを顔に乗せ、カシアスは独善的な正義を吐き出す。
「正しき道を歩む者に力は宿るのだ!! 正義を為すために生まれ変わった、この儂を! 倒せるならば倒してみろ!!」
死臭混じりの耳障りな哄笑が、エンドブレイカーの気力を削がんとする。
さらに家々を放火して回っていた『闇の兄弟』の兵士達が続々と現れ、エンドブレイカー達を迎え撃った。だがエンドブレイカー達の勢いは彼らの攻撃を容易く打ち砕く。
「ヒャヒャヒャヒャヒャ!! スフィクス家こそ正義、従わぬ者は悪よ!!」
「カシアスてめぇ! そこ動くな、ド畜生がぁ!」
紅蓮の闘士・エルフィン(c04895)は、真っ向からカシアスへと突き進んだ。
妨害せんとする闇の兄弟の視線から逃れるように宙に舞い、右手を眼下のカシアスへと向ける。
「正義正義正義正義ィ!」
「黙らせてやる!」
振り下ろされた腕が魔獣の相を帯びる。
着地ざまの一瞬で繰り出された攻撃に、カシアスの体がゆっくりと動かなくなった。
「正義ィ……」
「よっしゃ、この調子で行くぜ!」
威勢の良い叫びに応じると、エンドブレイカー達は残る敵を駆逐しにかかった。
●妖精騎士クロイツ:Battle22
それは、華やかなりし地獄であった。
女性ばかりの妖精騎士の一団が、エンドブレイカー達の前に立ちはだかったのだ。
その軍勢を率いているのは、美貌の青年であった。妖精騎士、クロイツである。エンドブレイカー達の接近を待ち受けていたクロイツは、攻め寄せるエンドブレイカー達の中に記憶にある姿を認めてふと笑みを浮かべた。
「どうやら、私の待ち人も来たようだ……。では、私達の戦いを始めるとしよう!」
クロイツは涼しげに武器を一振りすると宣言した。配下の女性騎士達が、賛同するように抜刀し、あるいは弓の狙いを敵に定める。
「彼らに勝利する時こそ、私がこの傷を消す時だ」
その身に受けた真新しい傷を誇らしげに晒すクロイツに、女性騎士達は一斉の唱和で応えた。
「我らクロイツ隊! 常に美しく戦い、華麗に勝利する!」
声が響くと共に、妖精達がそれぞれの妖精騎士の元から飛び立った。
無数の羽ばたきが起こる中、エンドブレイカー達は妖精を迎えるように、反撃を放っていった。
妖精達が華麗に宙を舞い、エンドブレイカー達の精神を忘我の淵へと追いやる中、反撃を受けた妖精騎士達もまた倒れて行く。
「来たまえ」
誘うような微笑みが、クロイツと相対した者達の心を蕩けさせんとする。悪魔の威を借る者・キォノータ(c13733)は、その惹き付けるような笑みから視線を逸らすと、レギオスブレイドを呼び出した。
「先に言っとくが、アタシらは弱いぞ。アンタらの手助けが無きゃ、この戦争を乗り切れない自信がある。だからよぉ、とっとと目ぇ覚まして、アタシらを手伝いやがれ!」
「……やれやれ。女性に誘われては断ることも出来ないか」
騎士達を斬り裂きながら迫る邪剣の群れには、魅了の力も通じない。
血を撒き散らして倒れながら、クロイツはその笑みを自らを倒したキォノータに向けた。
「……マスカレイドは私達の力も、記憶も奪っている。エンドブレイカーならざる私達に、抗うことは出来ないだろう。託しても構わないだろうか、弱いと自称する君達に」
「安心しろ。アタシらがなんとかしてやる。あたしらは弱いけど……」
キォノータは仲間を見て一つ息をつき、クロイツに視線を落とした。
「ま、なんとかなるだろ」
●電光石火のリンデルラデル:Battle12
「ス〜フィ〜クス家を〜、狙うんだ〜」
鹿のバルバ、ディアホーンたちを統率するリンデルラデルはのんびりとした口調で、たっぷり10秒もかけて、その言葉を言い終えた。
クライブ軍のバルバ達は慎重にスフィクス家のマスカレイドのうちでもごく一部の孤立した者に近付くと、反撃を許す間を与えず倒していく。
『スフィクス家からエルフヘイムを守る』。
主であるクライブの命令に従い、彼らはスフィクス家への攻撃を行っていた。
もっとも、それは正面からの決戦を挑まない以上、遅々として進まぬ戦いではあった。
森を頼りに少しずつスフィクス家の戦力を削っているとはいえ、エルフの人々に凄まじい勢いで棘(ソーン)を与えんとするスフィクス家のマスカレイド達の存在は大きい。
到底勝ち目の無い戦いだ。
加えて、マスカレイドであるバルバ達が人々に被害を出さないかといえば、それはまた別問題。
「敵の敵も敵ってとこか」
エンドブレイカー達は呟く。この期に及んでも、クライブの真意がはっきりしない。
「みんな〜、敵だ〜」
リンデルラデルは高速で首を振ると、エンドブレイカーの接近を配下のバルバや獣達へと伝達する。獣であるが故の連帯感なのか、配下は言葉を言い終える前にエンドブレイカー達との戦闘を開始していた。
「こっちも負けていられませんね!」
音の鳴る道・レクチェル(c07161)の視線の先、戦場を駆け巡るリンデルラデルの動きは、変幻自在でかつ速い。
だがレクチェルは大きく息を吸い込むと、竪琴を爪弾いた。
敵陣の中から飛び出して来たリンデルラデルの槍が唸り、近くにいたエンドブレイカーを薙ぎ払う。だが、レクチェルの魔曲はその抵抗の意志を剥ぎ取り、その心を魅了する。
「あー、なんかー、いい気分だー」
蝿が止まるようだと評される口調で呟きながら、リンデルラデルは陶然としながら倒れ伏した。
強敵を制し、レクチェルはほっと溜息をつく。
●浪漫に生きるイドボダン:Battle18
スフィクス家を攻撃するバルバの一団を指揮するのは、一際体格のいいボアヘッドだった。
「スフィクス家、倒ス。美女、俺ノモノ!」
『浪漫に生きる』イドボダンは口角泡を飛ばして吠え猛る。
その周囲にいるのは、毛並が良かったり、牙が長かったりするボアヘッド達だ。
「美女……?」
エンドブレイカー達は首を傾げる。
美的感覚の違いなのか、イドボダンの言う美女というのがよく分からない。
抱き寄せられて科を作っているボアヘッド(多分女性なのだろう)を突き放すと、イドボダンは
「オ前達、邪魔スルナ!」
言葉を受けるのは、慈護・ベアトリーセ(c17289)達だ。
「スフィクス家だけを攻撃するのなら、良いんだけど……」
ベアトリーセは苦笑する。
所詮は統制のとれないバルバだ。
その攻撃はスフィクス家のみならず、巻き込まれた一般の人々にも当然のように向いていた。
スフィクス家に及ぶ被害の少なさを考えれば、エンドブレイカー達にとっても放置できる対象ではない。
「巻キコマレルヤツ、馬鹿!」
「それで巻き込まれたらたまらないわよ」
棍をそっと構えると、ベアトリーセは素早く棍を振るった。
地を這うような低さで振るわれた棍が、周囲のバルバ達ごとイドボダンの足を打ち砕く。
昏倒し、息絶えたバルバ達の体から、マスカレイドの仮面が消えて行く。
「よし、親玉は倒したわよ!」
イドボダンを倒され、逃げ腰になるバルバ達を、エンドブレイカー達はそのまま追撃し、数を減らしていった。
●沼地ばばあウクレレ:Battle5
エルフヘイム下層の沼地からも、マスカレイドは着々と被害を広げつつあった。
最初の被害を受けたのは、沼地近辺の農村地帯だ。
敵の尖兵は、汚らわしい汚泥をまとわりつかせたアンデッドマスカレイド。
それらが沼地の魔女の軍勢であることは、エンドブレイカー達にしてみれば一目で分かった。
だが沼地に身を沈め、姿を隠して移動していく軍勢を捕捉するのは、彼らにとっても困難であった。呼吸を必要としないアンデッド達にしてみれば苦も無いことなのだろうが、エンドブレイカー達の敵勢を捕捉する動きは、そのせいもあって酷く遅れていたのだ。
だが、エンドブレイカー達の捜索はようやく実を結んだ。
喝采のフュルギア・ミリアム(c13438)をはじめとする部隊が、沼地ばばあウクレレの姿を捉えたのだ。
「ようやく見つけた……今日は良い日和だね。……生きるのにも、死ぬのにも」
沼の中からずぶずぶと身を起こしながら、ウクレレは不気味な笑いを見せる。
「ホー、ホーッ。この沼地ばばあを見つけるとは大したもんじゃ」
「申し訳ないが、僕と一曲踊って頂くよ。最後まで踊り切れるかな?」」
ミリアムの言葉と共に、たちまちのうちに戦いが巻き起こる。スフィクス家との戦闘に比べれば小競り合いと言うべき規模でしかないが、それだけに苛烈だ。死を恐れぬアンデッド達は、ウクレレの命令に従い死を押し付けようとする。
「この『沼地ばばあ』への恐怖、消すことなど出来ぬよ!」
エルフヘイムに伝わる沼地ばばあの怪談は、ウクレレたちのことを示していたのだろう。
それも、最近だけでなく人間の3倍の寿命を持つエルフ達をして『定番の怪談』と言わしめるほどの昔から。
「一体、いつから『沼地の魔女』を……?」
「いつからじゃったかのう。もう忘れてしもうたわい」
「そうかい。でも、それも今日で終わりさ」
言葉と共に、ミリアムの太刀が弧を描く。
月光の如き煌めきを伴って振り下ろされた刃は、ウクレレの体を半ばまで断ち切っていた。
「この程度。思ったより歯ごたえがないね」
ミリアムの言葉の通り、沼地ばばあの軍勢は形を失いつつあったのだ。
●沼仙人ペリドール:Battle8
ローブを脱ぎ捨てたペリドールの肉体は、半ば腐敗するかのような色に染まっていた。
マスカレイド化による影響なのか、それとも長年に渡るデモニスタとしての経験のたまものなのか。肉体をデモンと同化させたその姿は、おぞましい様相であった。
骨が伸び出たかのような爪を鳴らすと、ペリドールは沼地から一歩を踏み出す。
「弟子の仇討ちと行こうかのう! 行けのじゃ、アンデッドども!」
デモニスタとしての能力を全開に、ペリドールはそう命じる。
汚れた包帯を巻き付けた体を露わにしたペリドールの姿に、蒼花焔・クロービス(c04133)は顔をしかめた。
「その体……!?」
「マスカレイドとなり、デモンの力を一層引き出せる体を得た! わし以上の術者など、この都市にはもうおらんわ!」
汚臭と薬品臭の入り混じった臭気が、ペリドールから強く漂った。
「彼自身も、アンデッドと化しているのか」
だが、言葉通りの実力があるなら、倒せば有利になるのは確実。
「少しは気合いを入れてみようか」
ペリドールの指示の元、アンデッドはエンドブレイカー達を貪り命を奪い尽くさんと群れを為して迫り来る。その爪をかわしたクロービスの体が、複数に分かれたように映った。
「むっ!?」
アイスレイピアが、続けざまにペリドールの体に突き刺さる。
どうと倒れたペリドールの体が、腐汁の塊となって地面に沈んでいく。
「うまく勝てたか。幸先がいいね」
刃を拭いながら、クロービスは口元に笑みを浮かべた。
●アンデッドショーティ:Battle10
かつてエンドブレイカー達に倒されたマスカレイドであっても、その怨念が残っていれば、いざ決戦となった際に再び敵として現れ得る。
「アクスヘイムの戦い」においてもその現象は確認できたが、アンデッドを主体とする沼地の魔女軍にあって、その事実は明白過ぎるほどに明白であった。
ラビシャン女王アルゴラの配下であったマスカレイドラビシャン達。
その屍は再び動き出し、沼地の魔女の配下として戦列に加わっていたのだ。
可愛らしく、あるいは美しい生前の面影を残しつつも、彼女達はもはや別の存在だ。
腐臭を漂わせながら歩き出すアンデッド達には、理性の欠片も感じられない。
近衛隊長ショーティのパステルブルーの耳と脚は半ば骨が覗き、銀色の槍を携えていた腕は腐り落ちて、代わりに鈍色をした大きな爪が装着されていた。
死後に沼地ばばあ達によって改造を受けたのだろう。
それでも、堂々とした立ち居振る舞いだけが変わっていないのは、救いであったかも知れない。
「…ゥ…ぁ……」
喉からかすれるような呻き声を上げ、アンデッドショーティはアンデッドラビシャンの軍勢に指示を出さんとするが、その指示を聞き届けるような頭脳がアンデッドの軍勢にあるはずもなかった。
あるいは生前と同様の統率の無さで、死せるラビシャンの軍勢は後ろ足で飛び跳ねて来る。
「やれやれ……あまり相手をしたくない姿ですね」
素早く飛び跳ねるショーティに応じるように、スカイトレーサー・リタルダンド(c02127)はナイフを両手に取り出す。
そして、投げた。
沼地の木々を蹴って跳びながら、同様に飛び跳ねる影へとナイフを投げつけて行く。
空中にあるショーティは虚ろな目で迫る切っ先を見て、そのままさしたる抵抗も見せず、まともにナイフを受け止めた。
今度こそ動かなくなった体が、沼地に浮かぶ。
「……お目汚しでしたね」
リタルダンドはシャツの襟を整えると、残る敵へとナイフを向けた。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
---|---|---|---|
大戦士長ブッフハルト | 851 | 17勝0敗 完勝! | 740⇒0 |
アンデッドカシアス | 1617 | 32勝0敗 完勝! | 【虐殺】980⇒0 |
妖精騎士クロイツ | 510 | 16勝6敗 勝利! | 【拒絶体】1120⇒0 |
電光石火のリンデルラデル | 235 | 12勝0敗 完勝! | 【勢力争い】400⇒0 |
浪漫に生きるイドボダン | 138 | 0勝18敗 勝利! | 【勢力争い】580⇒0 |
バグラバグラ将軍ソルテンピカラ | 118 | 0勝22敗 敗北 | 【勢力争い】720⇒638 |
沼地ばばあウクレレ | 317 | 5勝0敗 完勝! | 【隠密】180⇒0 |
沼仙人ペリドール | 306 | 8勝0敗 完勝! | 270⇒0 |
アンデッドショーティ | 292 | 10勝0敗 完勝! | 320⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第1ターン終了時点) |
---|
49731−638=49093 |
ターン終了時能力 |
---|
バグラバグラ将軍ソルテンピカラの【勢力争い】! 漆黒の騎士ノワール 1350⇒1287 |