<エルフヘイムの戦い 第4ターン結果>
第4ターンの開始状況
●リコッタ:Battle27
帽子の上に浮かぶ白い仮面。
レジスタンスのリーダー、クライブのパートナーとしてエンドブレイカー達とも親交のあったダークエルフの少女リコッタがマスカレイドと化しているのは確実だった。
アイスレイピアを構える彼女の体から、強力な棘(ソーン)の気配が感じ取れる。
マスカレイドだから、ダークエルフだからというばかりではなく、彼女が有した生来の才能ともいえるものなのだろう。
「リコッタちゃん……。自分が何をやっているのか分かっているの?」
「分かんないよ……ボク、バカだから」
護衛のマスカレイド達に囲まれ、リコッタは泣きそうな顔でかれいど・エミナ(c10102)の問いに答えた。
顔を隠すようにうなだれた彼女の被った帽子と共に、白いマスカレイドの仮面が揺れる。
「でも、クライブさんがボクを頼ってくれたんだから……ボクは、クライブさんのために戦うよ」
彼女が自分で考えた末の結論が、それだったのだろう。
体内から溢れ出す「棘(ソーン)」の力を純粋な破壊力へと変え、リコッタは直接エンドブレイカー達へと叩き付ける。
棘(ソーン)に対する耐性のあるエンドブレイカーだからこそだ。
エンドブレイカーでなければ、即座にマスカレイド化されていた事だろう。
「これで普通のマスカレイドかよ……」
ある意味、彼女にはクライブ以上の才能があったのかも知れない。
そのリコッタを守るように展開したマスカレイド達は、エンドブレイカー達の攻撃を受け、次々と倒されていく。
「クライブさんの助けになるのが、パートナーであるボクの使命なんだよ!」
「お前が戦うのを、クライブが望んでいるとでも言うのか!?」
「クライブさんだって、あなたの助けがあれば元に戻れるか知れないのよ!」
「目を覚ませ! お前が諦めてどうするんだ!」
エンドブレイカー達の言葉に、感情を押し殺したようだったリコッタの顔に動揺が走るのをエンドブレイカー達は見た。
だが、棘(ソーン)の力は彼女が諦めることを許さない。
一層強まる棘(ソーン)の力に、リコッタの顔から表情が抜け落ちる。
人形のような無感情で、リコッタは攻撃の手を強めんとする。
だが、エンドブレイカー達は自分達の言葉が彼女に届いた手応えのようなものを感じていた。
「撤退はさせないわ。ここで止めて……クライブに会わせてあげる!」
エミナの星霊バルカンが放った炎が、アイスレイピアの冷気を打ち破ってリコッタの身を焼いた。全身が炎に包まれたリコッタが、不意に崩れ落ちる。
傷一つ無い彼女の姿に、駆け寄ったエンドブレイカー達は安堵の息をついた。
●クライブ:Battle29
戦場に現れたエンドブレイカー達を前にして、クライブは側に置いていた槍を手に取ると機敏な動作で立ち上がった。
「私を相手にしていて良いのですか? スフィクス家の勢力は、まだ健在のようですが」
「この後だ。先にお前をぶん殴るってだけの話だぜ」
「成る程、それはそれは……正直、あなた達の強さを見誤っていましたね」
仮面の奥に隠れたクライブの表情を見通すことは出来ない。
「……ですが、私もここで倒されるつもりはありません」
「エルフヘイムを救いたいのは、俺達だって同じだ!」
「貴方にまだ善意が残っているのなら、悪意に覆い尽くされる前に倒されて頂戴。でないと、貴方は、貴方が守ろうとしたエルフヘイムを傷つけてしまうから……」
モノクローム・ティフィン(c12496)の言葉に、クライブは肩をすくめた。
「善意が残っているか、ですか。それは誰が定めることなのでしょう? 実はクライブの心などとうに失われていて、こうして話している私も、マスカレイドがクライブの振りをしているだけなのかも知れませんよ」
それを見極める手段は、エンドブレイカー達にも無い。クライブは続けた。
「レジスタンスにマスカレイドがいなかったのは、私がレジスタンスのメンバーのマスカレイド化を嫌ったからか? それとも、その方が正体が露見せずに行動できて有利だったからか? あるいは……レジスタンスの人々の中に宿る『理不尽を憎む資質』が、マスカレイド化を阻んだのか? いずれにしても事実は変わりません」
クライブの言葉と共に、冷たい殺意がエンドブレイカー達を射抜いた。
「信じたいものだけを信じるものです。あなた達は、何を信じるのですか?」
ヒュンヒュンと音を立てて槍を回転させると、クライブは腰を落としてそれを構えた。
「我が罪よ。血の紅に染まれ……!」
槍の穂先に血が浮き出し、身に着けた鎧が紅の色彩を帯びる。
クライブは仮面の奥で、短く奇妙な音を立てた。
その音が獣達との意志疎通のために用いる通信手段だったのだろう、森がざわめき、突如として獣達が溢れ出す。
その獣達の波を、エンドブレイカー達は速やかに撃破していく。
獣の群れを貫いて、彼らは矢のように突き進んだ。
巨獣達をも打ち破り、その奥にいるクライブの元を目指して進撃する。
「悪ふざけはここまでです、クライブさん! リコッタさんが、本心であなたがマスカレイドになることを望んでいたと思うんですか!」
「いい加減、正気に戻りやがれ!」
エンドブレイカー達の叱咤の声に、仮面を越えて確実な動揺が浮かぶ。
「さっきの質問に答えてあげるわ」
言いながら滑り込んだティフィンは、地面スレスレに蹴りを放った。咄嗟に構えた槍ごと足を弾かれ、クライブが体勢を崩す。
「私は望んでいる。出来ることなら、貴方と肩を並べることを……!!」
そのまま跳躍したティフィンの足が、蹴撃の姿勢に整えられる。
瞬間。全体重を乗せた回し蹴りが、立ち上がったクライブの喉笛に叩き込まれた。
数メートルを転がったクライブの体が、後ろの樹にぶつかって止まる。
「お前がそんなザマでどうするんだ!」
「リコッタが待ってるんだぞ。レジスタンスの人達もだ!」
声も枯れよと、エンドブレイカー達の声が飛んだ。
立ち上がろうとしたクライブの体が弛緩し、槍が手から零れ落ちると共に、彼は元の姿へ……エンドブレイカー達がよく知る、レジスタンスのリーダーとしてのものへと戻っていた。
「やれやれ。御人よしもここまで来れば立派ですね。スフィクス家の件、頼みますよ」
言いながら、クライブはゆっくりと目を閉じる。
「……全く、人騒がせな話」
気を失ったクライブの元に、リコッタが走り寄るのを見ながらティフィンは戦闘の収まった森を振り返る。
エルフヘイムの3大マスカレイド勢力の一角は、ここに崩壊した。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
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妖精騎士伯ウェンディ | 352 | 0勝80敗 敗北 | 【拒絶体】3840⇒3759 |
スフィクス家長老 | 1308 | 0勝103敗 敗北 | 4950⇒3996 |
リコッタ | 1354 | 27勝0敗 完勝! | 【逃亡】1590⇒0 |
クライブ | 1488 | 29勝0敗 完勝! | 【逃亡】1850⇒0 |
ジョルジュ仮面さま | 403 | 0勝12敗 敗北 | 780⇒463 |
沼地の魔女チャイム | 418 | 13勝8敗 敗北 | 820⇒134 |
ブレイクゲージ残量(第4ターン終了時点) |
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46795−3759−3996−463−134=38443 |