<エルフヘイムの戦い 第7ターン結果>
第7ターンの開始状況
密告者からのメッセージを聞いた時、全てのエンドブレイカー達がその言葉が事実であると認識していた。
そして、彼らが取った行動もまた共通していた。
いや、エンドブレイカーだけではない。
都市警備隊、騎士団、レジスタンス……全ての戦う意志を持つ者は、己の手に武器を取り、小さな『密告者』を叩き潰したのだ。
超古代の邪悪を前に、エルフヘイムの心は確かに一つになっていた。
だが、その抵抗を『見て』、木陰に姿を隠した囁く瞳は残念そうに言う。
「折角の機会でしたが、断られてしまって残念です。
でも、『密告者』は、何度でも『密告者』を生み出すことが出来るんです」
言葉と同時に、彼らの傍らに、小さな『密告者』は再び出現した。全ての者達が同時に絶句する。
「本体を叩くしかないな」
エンドブレイカー達は決意した。
上へ。密告者に、己の手を届かせるのだ。
「エンドブレイカーを援護します!」
「彼らを上へ向かわせろ!」
「『密告者』に真の死を与えられるのは彼らだけだ!」
都市警備隊のフルート、騎士団を率いるドンチャッカ、そしてリコッタともどもレジスタンス本部に担ぎ込まれたクライブが、都市の別の場所で同時に命じた。
棘(ソーン)の影響はあるが、もうこうなってしまえば、組織間の敵対関係も、マスカレイド化がどうこう言っている場合ではなかった。3つの組織それぞれの人員が、エンドブレイカー達を上へ、密告者の元へ行かせるべく誘導を開始する。
上層へと昇る間に、エンドブレイカー達は密告者がもたらす絶望的な光景を目にしていた。
家いっぱいに膨張した『密告者』に内側から破壊される家がある。
『密告者』の分身が囁く悪意ある言葉に精神を押し潰され、発狂死する者がいる。
世界樹を駆け登るエンドブレイカー達の見下ろすエルフヘイムの街並みが、たちまちのうちに、あの唇のピンク色に染まっていく。
永遠の森は、おぞましい桃色に沈みつつあった。
人間の身長を越えるまでに成長した囁く瞳が、エンドブレイカー達を阻むべく動き出す。
傍らからの視線が、言葉が、心の中にある不和、疑心、無気力……エンドブレイカー達の中にも、知性ある者ならば逃れられないそれらを増幅させる。
マスカレイドだった時のクライブは、『密告者』のことをこう評していた。
『マスカレイドを越えた存在』と。
その言葉の正しさを、エンドブレイカー達は実感していた。
マスカレイドが配下を「増やす」のとは異なり、密告者はマスカレイドを「生み出す」存在だ。
「妖精騎士達が勝てなくて当然だ……」
エンドブレイカー達は、密告者を叩き潰しながらそう呟いた。
密告者を相手にして、滅亡の危機に瀕したというのも頷ける。
「再び≪戒律≫による封印が出来ないための手は講じました」
「そのための、記憶と意志の剥奪です」
「妖精騎士は、再び≪戒律≫による封印を行うことは出来ません」
妖精騎士伯ウェンディが、弓を手に歯噛みする。≪戒律≫のために用いた秘儀は、彼女のみならず、全ての妖精騎士達の内から失われていた。
今の彼女は、つい先ほどまで手足の延長のようであった弓ですら扱い切ることの出来ない、無力な存在でしかなかった。
「ですが……彼らは諦めないはずです」
それでも、彼女は近くにあった練習用の弓を手に取り、外へ出る。
そして、世界樹を見上げた。
●密告者:Battle104
風が吹く。
見下ろす景色は密告者がもたらず惨劇の中にあり、それでも希望を失ってはいなかった。
だからこそ、無数の密告者と同じ高さまで辿り着いたエンドブレイカー達は、無言のままにそれぞれの武器を構える。
『誰の中にもある些細な密告者』が、密告者までの行く手を阻まんと群れを為す。
「ここまで来れたことは、賞賛に値します。
ですが、『密告者』を倒すことは出来ません」
密告者達の視線が声、エンドブレイカー達に絡み付き、その心を侵していく。
そこに秘められた悪意は、ただその存在だけでエンドブレイカー達の精神を揺るがすのに十分なものだった。
「残念ですが、時間切れです。
もうすぐ、『誰の中にある些細な密告者』も成長を終えますよ」
だが、青い火山・ホートリー(c14536)は、その絶望を振り払うように言った。
「俺達にも、絶望をもたらそうっていうんだな。だがな。エンドブレイカーにそんな姑息なマネが通用すると、本気で思ってるのか?」
拳を握り、ホートリ―は告げた。
「……本当に心の弱いヤツは、エンドブレイカーになれない!」
共に戦うエンドブレイカー達に、その事実を確かめるように、ホートリ―は続ける。
「だから、誰一人としてそんなものが通用する奴はいない!」
己の言葉を証明せんと、ホートリ―は世界樹の枝を蹴った。宙に浮かぶ密告者へと身を飛ばす。
「自殺行為ですね」
密告者は嘲笑する。
仮に蹴りが入ったとして、蹴りの反動が入ればホートリーはそのまま墜落する。
だが直後、密告者の体の淵……唇部分に、靴から飛び出したナイフの先端が突き刺さる。
一瞬ぶら下がるような体勢になったホートリ―は、反対側の足で同様に蹴りを叩き込んだ。そして腰から下に力を篭めると、ホートリ―はそのまま密告者の体を暗殺シューズで駆け登った。
ホートリ―の走った痕跡に沿うように、密告者の眼球から血が滴る。
「あ、アああああア!?」
「続け!」
些細な密告者の群れすらも足場として、近接攻撃を行わんとするエンドブレイカー達は次々と『密告者』へと跳ぶ。さらなる魔法が、衝撃が、次々に密告者へと突き刺さった。
周囲の小さな密告者が続々と落ち、巨大な密告者だけがその場に残される。
「仕事は最後までキッチリとな」
ぶよぶよとした密告者の体にとどめの蹴りを叩き込み、ホートリ―は再び宙を舞い、足場へと舞い戻る。その背後で、密告者の巨大な姿は、まるで一時の悪夢ででもあったかのように雲散霧消していった。
無数に現れていた小さな『密告者』が消え去り、エルフヘイムに一瞬の静寂が満ちる。
そして次の瞬間、永遠の森を歓喜の声が包み込む。
その声は超古代の邪悪『密告者』が完全に滅びたことを、そしてエルフ達の都市が、悲しき≪戒律≫から解放されたことを高らかに告げていた。
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
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密告者 | 5225 | 104勝0敗 完勝! | 5220⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第7ターン終了時点) |
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35595=35595 |