<アクエリオの戦い 第5ターン結果>
第5ターンの開始状況
●アンデッド・ウルカンダール:Battle20聖域の内部には濃密な棘(ソーン)の気配が漂っていた。美しかった砂浜は荒れ果て、木々の葉も枯れ落ちている。聖域に立ち入ったことのあるエンドブレイカー達にとっては、目を覆わんばかりの有様だ。
聖域に満ちていた星霊ディオス達は姿を消し、代わって蠢くのは邪悪なるマスカレイド達だ。
聖域の主たる水神アクエリオを筆頭としたマスカレイドの軍勢は、エンドブレイカー達を退け、なおもエリクシルを得るべく戦いを続けようとしていた。
エンドブレイカー達との戦闘の中で正気を取り戻したシーホース達の協力で、水流の橋を架けたエンドブレイカー達は、再度この聖域へと突入していく。
「もう、残りは僅かね」
漆黒を纏いし従者・ファーネ(c00685)が砂浜を見渡して呟く。
前方にいるのは、ゼルデギロスの部位所有者、『教主』ウルカンダール。 既に一度はエンドブレイカーによって倒され、滅び去ったウルカンダールは、しかしエンドブレイカーが目にする彼の体に浮かび上がった魔王の『部位』は、以前よりもその数を増し、左頭部、右頭部、左半身、右半身と、4つの部位を持つに至っている。
彼によってマスカレイドと化した『水神』アクエリオがこの戦いを引き起こした影響を、強く受けているのだ。
だが、彼と配下のマスカレイド達は先刻の戦いでエンドブレイカー達を退けたものの、ほとんどの戦力を喪っていたのだ。
「グァ……ゴゴ……ギィ……!」
もはや人語を発することも出来なくなった教主の顔から、奇妙な音が漏れ出る。
そこに篭められた殺意を受け、マスカレイド達が動き出した。エンドブレイカー達が乗るゴンドラへと、一斉に迫る。
「来るぞ!」
次々と飛び降りたエンドブレイカー達を、聖域を満たす赤い水が濡らす。
水しぶきを上げながら、両者は激しくぶつかりあった。
エンドブレイカーとマスカレイドの激突の中、『教主』もまた暴食の使徒クラビウスを呼び出し攻撃を仕掛けて来る。
しかしエンドブレイカー達も、それに負けじと攻撃を繰り出していく。魔王の部位所有者に相応しい強大な魔力を誇るウルカンダールに対し、周囲のマスカレイドを排除したエンドブレイカー達は一斉攻撃を仕掛けて行った。
次第に動きを鈍らせていくウルカンダールは、思考もままならない有様で攻撃を繰り返す。体は崩壊を続け、いまにも崩れ去りそうでありながら、それでもなお耐え続けるのは魔王ゼルデギロスへの執念ゆえだろうか。
「最後まで抗うその心持やよし。しかしながら、もうあなたの出番は終わっているのですよ。素直に幕引きと行きましょう?」
ファーネは無数のナイフを一斉に投じた。
宙に舞ったナイフが鋼鉄の竜を創造、空中を疾走した鉄竜は、ウルカンダールの首に喰らい付くとそのまま中空に舞い上げる。
「あなたは、もう存在していてはいけないの」
竜の顎が噛み合わされた。
落下した教主の体から黒い魔王の部位が剥がれて消え、魔王の部位たる皮膚の内側にあったウルカンダールの骨が、砂の上に軽い音を立てて落ちる。
「……これで……少しの安息が得られますように……」
フィーネが祈ったその時、聖域の奥の方角で強烈な水流が生じた。
●『水神』アクエリオ:Battle42
聖域の最奥で、『水神』アクエリオとエンドブレイカーとの戦いは苛烈さを増していた。
水神の治癒力によって息を吹き返したマスカレイドに守られた水神の体には、透き通った水で出来た仮面が浮かび上がっている。
「どうやら、ウルカンダールは負けてしまったようだね。けれど、まだエリクシルを呼び出すことも出来る。エリクシルさえあれば、どうにでもやりようはあるだろう」
穏やかな声音こそ変わらないが、水神の思考は既にマスカレイドのそれだ。
その背に水の翼を浮かび上がらせた水神の周りに、巨大な水柱が次々と現れる。
「では決戦といこうか、エンドブレイカー!」
水柱が放たれる。
直撃を受けたエンドブレイカーを中心として、砂浜に窪地が生まれた。
ゼルデギロス封印の手順と同様、水神が得意とするのは水そのものの重さを利用した単純無比の質量攻撃。
魔王ゼルデギロスを封印したことで力の大半を使い果たし、星霊ディオスという矮小な存在に貶められていながらも、その戦闘力は異常なまでに高い。
「けどね、今度こそその仮面を砕かせてもらうよ!」
緋色の草食獣・セキ(c19155)は決意を口にする。彼女をはじめ、多くのエンドブレイカー達が一斉に攻撃を入れていく。
「アクエリオ! あなたは長きに渡り魔王から水神祭都アクエリオを守護してきたのに、それをたった一瞬で壊そうとしている!」
振り下ろされる水の柱を、打ち上げの金槌で相殺する。セキの体が弾き飛ばされ、受け身をとって衝撃を殺した彼女の金槌が地面に打ち下ろされた。
衝撃波が走り、言葉と共にアクエリオを打ちのめす。
「愛するアクエリオを自らの手で破壊していいものか。棘(ソーン)になんて負けないで! 元の水神アクエリオに戻れる! まだ取り返しは付く!」
「く、ぅ……!」
水神が膨大な量の水を瞬時に生み出し、放った。錐のように細く絞られた水がエンドブレイカー達を貫き、砂浜が血に濡れる。
「私達があなたを元に戻す、アクエリオ!」
エンドブレイカー達の呼びかける言葉を受けて、アクエリオの翼が広がる。
「望みを実現するならば、私に勝ちたまえ、エンドブレイカー!」
「そうさせてもらう!」
一斉の攻撃が、アクエリオへと集束する。
そしてセキのランドブレイクに『水神』アクエリオの体が砂の上に落ちる。
『水神』の小さな体から仮面が消え、再び目を開け……。
「……ふぅ。……どうやら、迷惑をかけてしまったようだね」
エンドブレイカーは、水神の帰還を知ることとなった。
●鉄の工房:Battle15
魔王軍の兵営にして、ゴーレム軍団を生み出す無限の工房であった『鉄の工房』。
既に機能を停止しているその工房、一度は退けられた敵地へと、エンドブレイカー達は再度の突入を果たしていた。
溶けて流動する鋼鉄が流れる工房の内部は、いるだけでも辛い熱気に満ちている。
先刻の戦闘で荒れた工房内でエンドブレイカー達を待ち受けていたのは、工房の防衛を命ぜられた無数のゴーレムと、工房で生み出されたゴーレムの最後の一体だ。
無数の砲を持つ鉄の工房最後の1体が、鉄量をもってエンドブレイカー達を上回らんとする。
流れ弾が打ち砕いた鉄の箱から飛び出したものを見て、謳う黒騎士・アートルム(c10471)は顔をしかめた。
「死体、か……」
おそらくは古い時代のアクエリオの人々の遺骸なのだろう。
「ゴーレムの創造には、生贄を用いた邪悪な星霊技術が使われるのであったな」
それが故に廃れた技術であることを、エンドブレイカーは思い出す。
だとすれば眼前のゴーレムもまた、そうした人々の犠牲の下に作られたものに違いなかった。過去の戦いで魔王ゼルデギロスによってゴーレムの素材とされた人々は、長き年月を経ても、いまだ魔王の呪縛から解放されてはいない。
やたらと感情を感じさせる『鉄神の将』たちの秘密も、その辺りにあるのかも知れなかった。
「だが、この程度の敵に負けてはエクィテス家の名折れ!」
滑り込むようにして、アートルムは飛来する砲弾を回避する。
溶けた鉄の飛沫がアートルムの舞台衣装に降り注ぎ、点々と穴が開いた。その動きに乗るようにして謳われる魔曲が、非人間型のゴーレムの、あるとも知れぬ心から攻撃意欲を奪っていく。
やがて砲弾が止み、ゴーレムの機能も停止する。
「ふむ、まあまあと言ったところか」
ハルバードを肩に置き、アートルムは満足げに動きを止めたゴーレムを見上げるのだった。
●『鉄神』ギガメタル:Battle46
魔王城の最奥で待ち受けていたのは、身長2m程の、人間型をしたゴーレムだった。
周囲に立つ、他の鉄神の将と比べれば、遙かに小さい存在に過ぎない。
「あれが、このゴーレム達の親玉だっていうのか……?」
「そうだ。我こそが『鉄神』。『鉄神』ギガメタル」
彼岸を彷徨うコスプレイヤー・ヨギ(c00674)の疑問に応えるように、大音声と共に、ビリビリと空気が揺れた。から放たれる威圧感は、他のゴーレム達を圧倒している。
「驚いた。あれが、第6の『部位所有者』……」
「第1にして最後の『部位所有者』。それが我だ」
ゴーレム軍団の長たる『鉄神』ギガメタルは、『魔王』ゼルデギロスの部位所有者であり、同時に遥か昔のアクエリオにおいて勇者達と戦った魔王の配下の残党でもある。
気も遠くなるような時間の中、ギガメタルはゴーレム達を配備し着々と防備を整えていたのだろう。だが、
「全ての用意は無為に帰した。ゼルデギロス様の心臓が奪われた今、我が目的は新たなる『魔王』ゼルデギロスを生み出す事。まずは外敵を撃退し、エリクシルの出現を待つのみ」
エンドブレイカー達が反応するよりも早く、ギガメタルの瞳が輝いた。片翼が羽ばたいた。
鉄神の瞳から放たれた光線は、魔王の部位たる翼の力を受けて拡散、エンドブレイカー達の頭上から降り注ぐ。
命中した服の一部が重くなっている事に気付き、ヨギは舌打ちした。
当たったものを鉄化させる、凶悪な光線だ。動かずにいれば、たちまち身動きが取れなくなるのは間違いない。
「『鉄神』とは、よく言ったもんだね……まさか本当に神じゃないだろうけど」
封印に力を割いてなお強い『水神』アクエリオとは比べるべくもないだろう。
「けどまあ、強いことには変わりないか!」
大鎌を頭上で回転させて鉄神の光線を回避しながら、ヨギは走る。エンドブレイカー達の攻撃がギガメタルの魔王の部位を持たない右半身に集中、確実に負荷を与えていく。
頑強無比なゴーレムの総司令官は、じわじわと人間に押され始める。
「失敗したな。ゼルデギロス様の心臓さえ奪還できていれば、このような事には……!」
「俺達に目をつけられたのが運の尽きだよ!」
ヨギは両手に生んだ炎を、胸の前で叩き合わせた。
生まれる巨大な炎塊を、気合い一発弾き出す。炎がギガメタルの茶色い金属の外装を焼き、内部回路が溶け落ちる。
「ここまで、か。ゼルデギロス様、申し訳ありません……!」
金属音を立て、ギガメタルは床に崩れ落ちた。魔王の部位が消滅し、元の茶色い外装を持ったゴーレムに戻る。
それと同時に、
「……この地響きってさぁ……」
「もしかして……」
「……例のパターン?」
≪幽境キャラバン隊≫散霧の仲間達と顔を見合わせたヨギは、一息おいて逃げ出した。
崩れ落ちていく魔王城から脱出する彼らを追って、もうもうと土煙が舞いあがる。
崩壊の轟音が、古の時代の魔王軍残党との決着をつけたのだった。
そして……。
エンドブレイカー達は『アクエリオの戦い』最後の局面へと突入する!
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
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アンデッド・ウルカンダール | 1038 | 20勝0敗 完勝! | 113⇒0 |
『水神』アクエリオ | 1569 | 42勝0敗 完勝! | 【拒絶体】【超回復】2878⇒0 |
鉄の工房 | 790 | 15勝0敗 完勝! | 164⇒0 |
『鉄神』ギガメタル | 2343 | 46勝0敗 完勝! | 2304⇒0 |
ブレイクゲージ残量(第5ターン終了時点) |
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58147=58147 |