<オープニング>
町の肉屋で、肉屋の主人が殺された。凶器は巨大な肉切り包丁。
首を切られた主人は、そのまま逆さに吊られて血抜きされていたらしい。
死体をわざわざ吊した事から怨恨による殺人が疑われ、殺人方法から、肉屋の内部事情に詳しいものである可能性が高いと判断された。
この事件の容疑者は……。
(1)肉屋夫人・サッチャーベル
被害者のご婦人で、かなりふくよかな姿態を持つサッチャーベル(41才)。
体重は夫の二倍あり、結婚式では夫をお姫様だっこして登場した逸話がある。
聞き込みでは、夫婦仲はきわめて良好だったらしい。
(2)肉屋の店員・ゴンザレスドン
目つきの鋭い肉屋の店員ゴンザレスドン(18才)。
最近雇われた若い従業員。貧困街出身で、肉を盗みに入った所を取り押さえられた。
その後、被害者の好意により店員となり、現在は、肉屋の修行中。
「俺はどうしようもない奴だけど、恩人を殺したりしねーぜ」
(3)お肉大好き・ニックニクニク
肉屋の一番のお得意様のニックニクニク(27才)。
この事件の直前に、肉の味についてクレームをいいにきており、その時『お前なんて、肉切り包丁で叩き殺して血抜きして店に並べてやる!』と罵った為、容疑者となった。
(4)ベジタリアンの下宿人・トーマスリン
肉屋の2階にある下宿人のトーマスリン(33才)。
この肉屋が開店する前は、実は、八百屋だったらしく、その縁で下宿先を決めたというベジタリアン。
八百屋がつぶれて肉屋になった後は、トラブルが絶えない。
肉屋からは、そんなに嫌なら引っ越して下さいよと言われても「私が先にここに住んでいたのだから、出て行くならそっちだ」と、言って聞く耳をもたなかったらしい。
(5)取引先の狩人・スナイプスナイパ
肉屋に新鮮な肉を納入していた狩人のスナイプスナイパ(42才)。
最近、肉の仕入れ値を下げられた事を不満に思い、狩人仲間に、いつか目に物見せてやると言っていたらしい。
「確かに言いましたが、それは、素晴らしい獲物を狩った時に、これみよがしに他の肉屋に売ってみせるとか、そういう意味で、決して殺すとか殺さないとかいうわけでは……」
と本人は弁明していた。
さて、この事件の、驚きの真犯人は?