<オープニング>
「きゃぁぁぁぁ」どさん。
その日、衣替えの為に冬物の衣装の準備をしていたストーン叔母さんは、悲鳴をあげて卒倒した。
卒倒した彼女が手にしているのは、お気に入りのガウン。
そのガウンには、くっきりと丸い穴が空いているでは無いか。
ストーンおばさんは卒倒しながら、涙を流す。
それは、節約して節約して節約して貯めたへそくりをはたいて買ったお気に入りのガウンだったのだ。
この痛ましい事件の犯人は、一体誰なのだろうか。
この事件の容疑者は……。
(1)カミキリムシのカミット
洋服ダンスに住み着いていたカミキリムシのカミット(年齢不詳)。
いつから洋服ダンスに住み着き、いつまで住み続けるかは不明だが、その性質を考えれば、今回の事件の容疑者であるのは間違い無い。
(2)ヒメカツオブシムシ長老ダンゴン
虫食いの原因といえば、ヒメカツオブシムシが有名。
長老ダンゴンと、その一族の手に掛かれば、どんなガウンも穴だらけである。
これは、最有力容疑者に違いない。
(3)ストーン叔母さん
今回の被害者であるストーン叔母さん(49才)。
被害者が加害者である事はままあることだ。
去年の冬にどこかで引っかけて穴を開けたのに気づかずにしまってしまった可能性は充分にありえるのである。
(4)ストーン叔父さん
ストーン叔母さんの夫であるストーン叔父さん(49才)。
煙草が好きな普通の叔父さんであり、夫婦仲はとても良い。
普通に考えれば、奥さんの大事なガウンに穴をあける筈は無いが、タバコの不注意による事故と考えれば辻褄が合う。
果たして、ストーン叔父さんは犯人なのか?
(5)いたずらっこエイミー
近所のいたずらっこエイミー(9才)は、ストーン叔母さんが大好き。
両親が共働きであるため、ストーン叔母さんの家で遊んでいる事がたくさんある。
そういえば、去年の冬頃、ストーン叔母さんの誕生日に『色々な布の端切れでつくった、ストーン叔母さんの似顔絵』をプレゼントしたのでは無かっただろうか。
あれは、もしかしたら。
もし、彼女が犯人であれば、ストーン叔母さんも怒るに怒れないことだろう。
さて、この事件の、驚きの真犯人は?