■リヴァイアサン大祭『二人でほんわりお祝い』
雪がちらちらと降り積もる。吐く息は白く、寒さは身を縮こまさせる。盛大に賑わう大祭の日とは言え、そんな寒さだけはどうしようもない。人々はそれぞれ、服を着込み暖かい部屋に入るなどして、寒い外の空気に対応していた。
彼女達――ベルとジェーンの二人もまた、寒さに対抗している真っ最中。
ただ、彼女達二人の対応策は少し独特なもので……暖かな温泉に浸かる事で、寒さを吹き飛ばす。
楽しげな声と、笑顔を持って。
「ベルっ、雪だるまを作ってみたよ」
温泉の周りにある雪を集めて、小さな雪だるまを作るのはジェーン。裸身のまま温泉の暖かさを堪能しつつ、冬ならではの雪遊びも忘れない。今日はリヴァイアサン大祭。パートナーとの絆を深める日。二人っきりで居るのだから――温泉に入るだけで終わる筈も無い。
「わぁ、可愛い雪だるまですねー……二つ作ってありますけど、これってもしかして?」
「勿論っ。ベルと私を重ねてるよー」
寄り添うように作られた雪だるま二つ。ジェーンの言葉通り、それは二人の姿を重ねており、可愛らしい造形からジェーンの気持ちが見え隠れする。この雪だるまのように仲良く寄り添っていけたらという、優しい祈りが。
そしてその姿を表現するように――ジェーンが背後からベルに抱きつく。
「あははっ、べーるっ♪ こうすればもっと一緒♪」
「ふふふっ、ジェーンは甘えすぎですよー……ジェーンがそのつもりなら、私だって抱きつきますよー!」
「きゃあ♪」
「逃がしませんよジェーン! もっともっと楽しい夜をすごしちゃうのです〜!」
わいわいと楽しげに温泉でじゃれ合う二人。抱きついて、語らって、触れ合って、笑いあって。
思うがまま、人目を気にせず、大切な人と過ごす雪の夜。二人の想いが重なって、寒いけれど暖かい、そんな夜。
雪がちらちら降り積もる。その間も、二人はずっと笑顔で。
そんな彼女達の様子を――小さな雪だるまが二つ、ただ静かに見守っていた。