■リヴァイアサン大祭『Girls Party』
雪は華やかな街の明かりを纏いながら舞い降り、大祭に幻想的な彩りを添えていた。「思いっきりお洒落して楽しみましょうね」
それは親友になったばかりのパトゥーシャとユイが、今日のこの日を楽しみ尽す為に交わした約束。
ドレスなど普段は着ないのだけれど、頑張ってみた。自身でもまんざらではないらしく、「私達、結構イケていると思わない?」なんて、半分冗談だけど半分は本気の軽口だって口をつく。
さあ、準備が出来たら街へと出かけよう。楽しさと賑やかさで染められた街へ。
2人ははしゃぎ合いながら街を歩く。2人の共通点のひとつに、美しい緑の瞳がある。その緑が、街のきらめきを反射してきらきらと輝いていた。
「いつもと同じ街なのに、なんだか別の街みたいね?」
道すがら見つけた屋台でついつい手を出してしまった軽食をつまみながら、微笑み合う。店主によれば、「別嬪さん達には特別サービス」だったらしい。
街は雪に覆われ、夜空には雪と一緒に不思議な星霊が舞っている。道行く楽しそうな家族連れ、大騒ぎしている若者達、気持ち良さそうに酔っ払っている中年男性、幸せそうな恋人達。2人も負けずに楽しいし、幸せだ。街で見かけるもの全てが話題の種となり、種はその都度大輪の花となった。取り留めの無い話は、尽きることは無い。
とにかく、楽しい。楽しすぎて――。
「ふぅ」
少しはしゃぎ疲れた2人は、街の景色が良く見渡せる場所で一息ついていた。これまた道すがら手に入れた暖かく甘い飲み物が、身体の芯をとろかす。
隣には、大切な親友。カップを両手に包み込むように持ち、景色を眺めている。先程の尽きないおしゃべりとは打って変わって、無言。ゆっくりと流れる時間もまた心地良い。
飲み物をもう一口嚥下する。暖かさが身体を巡るのがわかる。でも、それだけじゃない。気持ちまで暖かいのは、飲み物のせいだけじゃない。そうよね?
2人に宿り、そして広がった暖かな想いが、言葉にする必要の無い問いに優しい答えを出していた。
「来年も、再来年も一緒に居られたらいいな」
ぽつりと漏れる暖かな気持ちの一欠けら。
「ううん、それより先もずっと一緒に居ましょうね」
それは、親友になったばかりの2人が、生涯離れ得ぬ2人になる為に交わした、約束。
微笑みながらゆびきりげんまん。