■リヴァイアサン大祭『りばいあさんのお祭りぷれぜんと♪』
白い白い綿のような雪が静かに舞い降りてくる。それは大地に降り積もり、踏めばさくさくと柔らかな踏み心地。水の星霊が飛びまわる空の下では、鏡で映しとったかのような二人の少年が初めて見る雪と戯れていた。
「ほらほらトモヤ。まだまだ少ないよ」
「わかってるよ。ユウヤももっと雪集めよう」
耳付きの可愛らしい帽子をかぶり、手袋をはめ、マフラーを巻いてとおそろいの格好をしており、背も全く一緒の彼らの見分けは殆どつかない。が、トモヤの髪はほんのり赤みがかり、ユウヤの髪はほんのり青みがかっている、そんな違いがある。
雪が降る中、一生懸命雪をかき集めて何かをしていれば当然寒かろうが、彼らはそんなことは気にならなかった。大好きなママから貰った大切な贈りものであるおそろいの防寒具はとても温かだったし、二人で頑張って、ママへのお礼を作り上げるという作業はそれを忘れさせた。
「ねえ、こんな感じかな、ユウヤ?」
「違うよ、こういうふうじゃないの、トモヤ?」
「えー、違うよ、こうだってー」
「んー、こっちのほうがいいんじゃないー?」
ちょっぴりどっちがお兄ちゃんか問題に発する意見の相違も交えつつ、トモヤとユウヤのママへのプレゼントは試行錯誤の上、完成した。初めての雪での初めての力作に喜び勇んで双子はママのもとへ帰る。
「ママー! ねえ、ママー!」
賑やかしく母を呼ぶ子供たちの声に、白雪のような髪をした彼らの母親が何事かと顔を出す。
「なあに、どうしたの、二人とも……って、そんなにぐしょぐしょになってどうしたの?!」
「あのね、ママがボクたちにプレゼントくれたでしょ? そのお礼にね、二人でママにお返し作ってきたの」
「おっきくて持ってこれなかったけど、ママのために頑張って雪だるま作ったんだよ」
嬉しそうに無邪気に笑う双子の姿に、さすがに怒るに怒れない微妙な表情で、彼らの母親は子供達を見下ろしていた。
そして、そんな親子の姿を離れた場所から、双子の作ったちょっとだけいびつな大きな雪だるまが微笑ましそうに見える顔で見つめていたのだった。