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ふたりのリヴァイアサン大祭

緋獄・カルディノ
風魅鳥・シヅマ

■リヴァイアサン大祭『彼女が服を着替えたら』

 それは、リヴァイアサン大祭の日があと数日と迫った日の事。
「シヅマ、久しぶりに君と楽しみたいから二人でパーティしないか」
 大祭を理由に。とカルディノはシヅマを誘った。
「パーティーか、良いわねぇ」
 笑んでシヅマは快諾する。
「カルディノのお菓子は食べれるのかしら?」
「勿論だ」
 シヅマは悪戯めかして訊けば、カルディノは笑い、頷く。
「君の手料理も楽しみだよ」
 約束を交わし、その日の二人は別れた。

 そして、当日。
 カルディノは自室を飾り付ける。ささやかでも、二人が楽しめるように心をこめて。
 飾り終え、後は待つばかり……となったところに、明るい声がやってきた。
「やっほー! 来たわよ!」
「ようこそ、準備はできているよ」
 カルディノは明るい声―シヅマを笑顔で迎え入れる。
「後は君の料理を並べて……あぁ、そうだ。食べる前にこれを」
「あら、何かしら」
 テーブルに料理を並べる前に、カルディノは綺麗にラッピングされた箱を取り出した。
 少し大きなそれを嬉しげに受け取り、シヅマも隠し持っていた箱を取り出す。
「ふふふ。丁度良かったわ。私もカルディノにプレゼント持ってきたのよ!」
「おや、何だろう」
 カルディノも嬉しげに受け取り、二人は揃って箱を開けた。
 そこに入っていた物を見て、彼女達は軽く驚く。
 シヅマの箱には、彼女の肌の白さが際立つような美しい蒼のドレス。
 カルディノの箱には、赤い髪と合わせたような赤の着物。
 普段和装のシヅマを、そして普段洋装のカルディノを思い、お互いに服を用意していたのだ。
 二人は顔を見合わせ、楽しそうに笑った。
 早速プレゼントを着よう! となるのは自然の事。
 先にシヅマが着替え終え、カルディノは彼女に首飾りをつける。
「思った通り、蒼が映えるね」
「ふふ、そうかしら? 少し照れるわね」
 上げていた髪をおろしながら、シヅマは少しだけ照れた。普段見慣れない様子にカルディノの口元が緩む。
「さ、次はカルディノね!」
 誤魔化すようにシヅマが促した。カルディノは笑うが、それはすぐに戸惑った笑みに変わる。
「帯はどうやってつけるんだ?」
「あぁ、まず帯はね……」
 着慣れない服に苦戦する彼女に、シヅマが手伝った。普段から着ているだけあってかなり手際良い。
 程なくして着付けは終わった。
「有難う。シヅマのおかげでちゃんと着れたよ」
「これ位お茶の子さいさいよ」
 自慢げに笑い、胸を張るシヅマにカルディノは思わず笑みをこぼした。
 互いに着替え終え、その姿を正面から見合う。
「似合うよシヅマ。どこの姫君かと思ったよ」
「カルディノこそ、傾国って感じで綺麗じゃない」
 それは本心から出た素直な褒め言葉。故に互いに照れてしまったが、どちらともなく笑い合った。
 そのままの格好でパーティは開始され、手料理に舌鼓を打つ。

 そんな女二人のパーティは実に楽しく、一晩中続いたという。
イラストレーター名:甘木華