ステータス画面

ふたりのリヴァイアサン大祭

闇抱く星奏・アゼリア
蒼空の守護者・アクセル

■リヴァイアサン大祭『雪降る夜の小さなぬくもり』

 楽しいお祭りも終わりを迎え、二人は雪灯りの道を共に並んで歩いていた。このまま直ぐに別れるのは少し勿体無い気がしたので、アゼリアは一緒にお酒でも……と、アクセルに提案した。
「そう……だな。折角だから、私の家で一杯やろうか」
 吐き出す息が白い。こんな寒い夜は、美味い酒でも飲んで温まりたいものだ。アクセルが提案に乗ると、アゼリアは嬉しそうに微笑んだ。その笑顔にアクセルも少なからず顔が綻ぶ。
 帰り道に二人で選んだワインを買い、そのままアクセルの家へと向かった。何品かワインに合うつまみを作り、グラスに鮮やかな色のワインを注ぐ。
「アゼリアの口に合うかは解らないが……」
 つまみをアゼリアの皿に取り分けて渡すと、アゼリアはそれを口に運ぶ。
「とても美味しいです。アクセル様は、お料理もお上手なのですね」
「べ、別に、褒められるような腕ではない」
 照れ隠しなのか、アクセルはグイッとワインを飲み干す。
 その後、二人はつまみを食べながら他愛ない会話を始める。今日のお祭りの話、普段の生活の話、お互いの話、この街の話、そんな会話をしながら、二人はグラスのワインを空にしていく。
 それから暫くして、アゼリアの瞼が眠そうに閉じ始めた。今日の祭りの疲れが今になって出てきたのだろう。その様子に気付かないアクセルは、窓の外を見た。……もう夜更けか。
「アゼリア、もうそろそろ帰った方が……」
 そう言おうとして視線を向けると、アゼリアはアクセルの肩にもたれ掛かっていた。
「申し訳ありません、……何だか、眠くなって」
 眠気と戦っているのだろう。アゼリアは起き上がろうとするが体か言うことを聞かない。いつも穏やかに微笑んでいるアゼリアとは違う酒のせいで頬が赤みがかった美しい姿に、アクセルの鼓動が早くなる。慌てて目を逸らしたアクセルは、そんな自分の行動に少し笑った。
「おい、アゼリア……」
「んん……もう少し、このまま……」
 その言葉を最後に、アゼリアはすっかり夢の中へと落ちてしまった。穏やかな寝息を聞きながら、どうしたものかとアクセルは一人溜め息をつく。幸い、部屋の中も暖かいし、このまま寝てしまっても風邪をひくことはないだろう。
「まぁ、こんな夜も悪くないか……」
 そう呟きながら、アクセルはアゼリアの手にそっと自分の手を重ねた。
「……また二人で、どこかへ行こうな」
 アゼリアの耳元でそう言うと、アクセルは心地よさに身を任せて自らも瞳を閉じた。
イラストレーター名:遊佐