■リヴァイアサン大祭『Chaleur sentir dans la neige』
「……」クロロはふと、窓の外を見た。
漆黒の夜を彩る白き光……いつの間にか雪が降っていたようだ。外は一面の銀世界となっている。
クロロに釣られてか、ディアも窓に近づき銀世界を瞳に映す。
別に雪が珍しい訳じゃない、むしろ寒さを感じて嫌になるほどだ。
「……クロロ、見に行かないか?」
なのに、ふとその世界をクロロと見たくなった。
「ン、わかった」
クロロもディアがそう言った事を珍しく思ったが、だからこそ何かあるのだろうと特に迷う事無く了承。二人で直接見に行く事となった。
(「む、寒いな。手を繋いだ方が暖かそうだけど……」)
二人ともコート着てマフラーを巻いていたものの、外はやはり寒かった。手袋はクロロが遠慮したので付けていない。
チラリと彼の方を見るが、人前だと恥ずかしくなってきて中々言い出せなかった。
やがて人の影も少なくなる。今なら手を繋いでも良いかな……とディアが思った時、
「手、繋いでイイ?」
まるで彼がそう思っている事が解っていたように、クロロが聞いてきた。
クロロは恥かしがり屋である彼の性格を誰よりも理解している。だからこのタイミングかなと声をかけたのだ。
「……いいよ」
やはり彼は自分の事をお見通しだったのだろう。
その事がとても嬉しかったのだが同時に恥かしさも込み上がってきてしまい、紅く染まる頬を隠しながら少しぶっきらぼうに手を差し出した。
(「俺よりも暖かいな……」)
手を通して伝わる彼の暖かさに、クロロはほっとしていた。それを伝える事は無いだろうけど。
「……やっぱ寒い」
その代わりにディアの肩に手をかけて抱き寄せ、
「――この先も、ずっと、一緒にいよう」
そう、耳元で囁いた。
言われたディアはどう答えたらいいか考えて……しかし僅かの間の後に出た結論はいつも通りの言葉であった。
だけど特別な日だからこそ特別な想いを乗せたい。
そう思ったディアは繋いだ手に力を込め、彼の肩にそっと頭を寄せて……小さな声で呟く。
――大好き、と。