■リヴァイアサン大祭『Bliss』
「じゃーん♪ かわいい?」着替えてくると部屋を出たベンテンが、胸のすぐ下に柔らかなリボンを巻いて、肩紐や胸元、そして裾に、白いフリルが可愛らしいショート丈の真っ赤なキャミソールドレスを纏って戻ってきた。
「……」
あまりの可愛さにルナンガは一瞬目を見開いて驚く。
「……かわいくない……かな……」
言葉を失って固まったルナンガは、自分のこの格好が気に入らなかったのかと思い、しゅんと沈んでしまうベンテン。
「そんな事無いよ。凄く可愛い。あんまりにもテンが可愛いから驚いたんだ」
ルナンガが柔らかく微笑むと、ベンテンはぱぁっと明るい笑顔を取り戻した。
「じゃ、まずはご飯食べよ♪」
「そうだな」
ベンテンは元気に明るく微笑んで、御馳走の並ぶテーブルへと楽しげに移動すると、ルナンガは優しく頷いて、自分もテーブルに着く。
今日は年に1度のリヴァイアサン大祭。二人だけでパーティをしようとルナンガとベンテンは一緒に過ごしていた。
二人だけのパーティ。テーブルに並ぶのは、豪華で美味しそうな御馳走と可愛いケーキ。
二人は色々な話をして、笑いあい、愛する人との楽しい食事は幸せで、料理を一層美味しくしてくれて、二人ともあっという間に、テーブルの上の料理を綺麗にする。
「ごちそうさまでした♪」
「ご馳走様」
二人で揃ってフォークを置いて、今度はゲームをしようという事になった。
何枚ものカードを扇状に持って、カードを真剣に見つめる。両者とも手持ちのカードが段々少なくなっていって、
「わーい♪ てんの勝ち〜♪」
全てのカードがなくなったベンテンが満面の笑みを浮かべて、バンザイする。
「あーあ……」
「ルナくん弱いな〜♪」
苦笑しながらカードを集めるルナンガに上機嫌のベンテン。
しかし、次の勝負では、
「テンって、実は弱いんじゃね?」
「もう1回!」
ルナンガが勝ち、少し意地悪く笑うと、ベンテンがムキになって再戦を挑む。
そんな遣り取りのゲームが何戦か続き、遊びつかれた二人は、のんびりと窓の外を眺めた。
窓の外は優しく舞い降る雪。そして、窓から差し込む淡い雪明りが優しく室内を包む。
遠くから聞こえる楽しげな祭りの音は、まだ終わる気配を見せない。
優しい雪明りと、パチパチと薪の爆ぜる音を立てながら、柔らかく室内を照らす暖炉の暖かな光と温もり。
柔らかな光に照らされた華やかに着飾ったツリー。
「テン、おいで」
ルナンガが微笑みながらポンポンと自分の膝を叩いて膝に座るように促すと、ベンテンは大人しくその上に座る。
自分の膝の上に座る愛しいベンテンを後ろからそっと抱きしめて、頬に優しくキスをした。
ベンテンは嬉しそうに笑って、少し首を後ろに捻って、ルナンガの頬にキスのお返し。
ルナンガの手が、ベンテンの胸のリボンに伸び、それを少し引っ張ると、ベンテンが少し頬を赤らめる。
二人の左手薬指にはそれぞれ銀の輝きがあった。