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ふたりのリヴァイアサン大祭

手の中の小さな温もり・クィ
最後に生き残ったカヤツリグサ・ファウシィク

■リヴァイアサン大祭『 素敵な思い出の記念に♪ 』

「大切なお友達に……この記念日に、プレゼントを送らせてください」
 リヴァイアサン大祭の夜、クィの家を訪れたファウシィクは唐突に切り出した。
 箱から出てきたのは、あたたかそうなピンクと白の冬用ニーソックス。
「わぁ♪」
 歓声を上げるクィの様子を、微笑ましげに見つめるファウシィク。
 と、そんな視線に気付いたクィは、とてとてと部屋の中へ引っ込んでしまう。
(「?」)
 何か気に障ることでもあったのだろうか。
 ファウシィクがそう思い悩むよりも早く、少女は奇麗にラッピングされた大きな箱を抱えて戻ってくる。
「クィ?」
「はい、これ。ファウシィクさんにもメリー・リヴァイアサンなんだよう♪」
 いっぱいの笑顔を浮かべ、クィがその小さな手を伸ばしてプレゼントを差し出す。
「……いいんですか?」
「もちろんなんだよう」
 既製品ではあるものの、きっと彼に似合うと思い選んだ品だ。
「ねね、せっかくだからそれぞれ着てみようよ!」
「えっ」
「ほらほら、はやくはやく〜」
 自分がプレゼントを貰えるとは思っていなかったために目を丸くしているファウシィクは、クィに引っ張られるままに部屋の中へ。
「え、ええと。こ、これ……似合ってるんでしょうか……?」
 言われるままに身につけてはみたものの、普段着慣れない明るい色の服に、困惑と照れが混じった表情を浮かべるファウシィク。
 青年の不安げな声に、床にお尻をつけてニーソックスと悪戦苦闘していたクィが振り返る。
 ファウシィクの着こなしを眺め、頭を大きく振り振り。
「うん、うん、超カッコイイんだよう★」
 瞳を輝かせ、自分のことのように喜ぶ。
「あ。ありがとうございます……。クィもとても可愛いですよ。それに、これならそんなに寒くないでしょう?」
 同じく、自分からのプレゼントをはき終えた少女を見てファウシィクが満面の笑みを浮かべる。
 外は雪。
 だけど。とてもあたたかいのは、暖炉が薪を燃やしているせいなのだろうか。
 お互いのことを思い用意した贈り物を身につけているからかもしれない。
 嬉しそうに笑う少女をみつつ、そんなロマンチストなことを考えてしまうファウシィクなのだった。
イラストレーター名:MAO..AZ.