■リヴァイアサン大祭『永遠に続いてほしい幸せであたりまえの時間』
水の星霊と白い雪の舞う夜、二人の乙女のお茶会は開催されていた。ティファナは温かみのある橙のチェック柄、ノシュアトはおしとやかな白のパジャマ姿で、温かい紅茶を手に今日の思い出話に興じていた。「もうね、あたしノシュ姉の演奏にすごい感動しちゃった」
この日訪れた氷の湖で披露されたノシュアトの腕前を手放しで褒めたたえるティファナ。
「本当? 皆と一緒にお祭楽しめて嬉しかったから、演奏頑張ったの。ありがとう、ファナ♪」
ノシュアトはその時の事を今の事のように思い出して、嬉しそうに微笑んだ。
「あのあとさ、ラビ君が来てね、流れ星一緒に見て祈ったんだよ」
今すぐそこに流れ星が通って行っているかのように、ティファナが虚空を指差すようにする。
「ふふ、ラビちゃんと仲良いのね? お願い叶うといいわねん♪」
「そうしたらさー、ディヴァインさんがひどいんだよー。あたしたちのこと誘ったくせにどっか行っちゃうしさー」
ちょっとだけ頬を膨らませてティファナがそう言えば、ノシュアトはお姉さんオーラを出しながら、
「あらん、じゃあディーに今度、駄目よって叱っておかなきゃ」
と、この場にはいない相手にめっ、する事を決めた。
そのような雰囲気で、ティファナが今日の色々な出来事を延々と幸せそうにおしゃべりするのを、ノシュアトはそんな表情の彼女を見られる事も含めて、同じく幸せそうに笑顔で頷く。
夜は長いようで短い。まだまだ話足りない気分も残るティファナであったが、もうそろそろお休みによい時間。お菓子の甘い気分と温かい紅茶もあいまって、ほんのり瞼も重くなってくる。
「じゃあ寝る前に、もう一つプレゼント♪ ファナだけにノシュアトちゃんのとびっきりの演奏、聴かせてあげるわねん♪」
立てかけてあった愛用のハープを手に取ると、ノシュアトはただ一人のために心をこめてハープを爪弾いた。透き通るような音色が心地よく夜の静寂の中に響いていく。
今も空を飛び続ける水の星霊に、二人はそれぞれ同じ事を願って、二人だけのお茶会は終わり。
来年は別の場所にいるかもしれないけれど、こんな時間がずっとずっと続けばいい――幸せで当たり前の時間。