■リヴァイアサン大祭『接近する二人??』
「綺麗なのら〜♪」ミーファはショコラをウェンディの森に誘って、嬉しそうな顔でウキウキと歩いていた。
木々には不思議な光が灯り、森を照らし出すという――妖精の奇跡。
その妖精の奇跡は、1年に1度、リヴァイアサン大祭の日に、ウェンディの森で起こるという。
「お祭りだと、美味しい物もいっぱい食べられるのら〜♪」
ミーファは、ショコラの腕に自分の腕を絡めて、足取りも軽く、楽しげに口を開いた。
(「大好きなショコラちゃんと二人きりなのら〜♪」)
誘いに乗ってくれた事も、こうして二人きりなのも嬉しくてしょうがない。
「そうですね〜」
柔らかく微笑みながら、ショコラは相槌を打った。
「えへへ〜、寒いから、あったかいココアと可愛いケーキとか〜♪」
「いいですね〜」
ミーファは、口を半開きにして、うっとりと空を見上げる。その顔は女の子としてどうなのだろう、と思わない事もないが、ショコラは幸せそうなミーファを優しく見守る。
実際、甘党であるショコラも、ミーファが言ったココアとケーキの組み合わせを想像しては、食べたくなっていた。
「……あうっ!」
――ドサ!
「あ……」
ミーファは浮かれ過ぎて足元の注意を疎かにいていた為、ドレスの裾を踏んでしまい、躓いて転んでしまった。
腕を絡められていたショコラも、ぐいっと腕を引っ張られる形になり、少しよろめいた。
ミーファは普段ミニスカートが多いのだが、今日は折角ショコラとウェンディの森に行く、という事で、綺麗な赤いドレスを着て、お洒落していたのだ。
「ドレス動き難いのら〜。ショコラちゃん、よく平気で動くよね〜」
ミーファは半べそをかいて、地べたに座り込んだままショコラを見上げる。
「慣れですよ〜」
ショコラはくすくすと優しく微笑んで、
「そんな所で座っていたら、あったかいココアと可愛いケーキは逃げてしまいますよ〜」
ミーファに手を差し出した。
「ケーキ!」
目をキラキラ輝かせて、ショコラの手を取って立ち上がったミーファは、転んだ事など一瞬で忘れてしまったかのように元気を取り戻した。