■リヴァイアサン大祭『雪ひよこと一緒のめりーりわーさん♪』
今日はリヴァイアサン大祭の日。エルスとニイネの仲良し二人組みは、雪山へとやってきた。雪山の上には……ここにひよこ、あっちにひよこの、雪で出来た雪ひよこ達がお出迎え。今日は二人でお宝探しなのだ。自分達で準備したプレゼントをこっそりと隠して、それを探すのである。それとは別に、二人で遊んで楽しむのだけれど。「この子の顔、へんなの〜♪」
くすくす笑いながら、しゃがんで雪ひよこを眺めているエルス。そのついでに、ひよこの下にプレゼントを埋め埋め。
「ここの丸い子、かわいいね!」
その後ろではこっそりと、ニイネがプレゼントの仕込みをしていたり。お互いが背中を向けていて、二人とも一緒に隠しているのに気づかなかったのはご愛嬌。その後は二人仲良く、雪ひよこの立ち並ぶ中を、お宝探し開始。途中で発見したキャンディーをほおばったり、クッキーを食べて一休みしたり。
けれど、二人で隠した場所は近くにあるのだから……ぐるりと一週して、色んな雪ひよこを見て、探して、最初に見つけた広場に戻ってきた。
「この辺のひよこ達は、なんかいいものを抱えてる気が〜♪」
「えっと、この辺かなあ?」
戻ってきて最初に動いたのはエルス。さっき埋めたひよこを指差し、ニイネがそこを探しに行く。いくつかのひよこを掘り返した後、へん顔のひよこの下に、ひよこを真似た手編み帽子が一つ、こっちを向いていた。
「おおっ、これは……! どう、似合う?」
「うん、似合うのよ〜♪」
ひょいと被ってみて、エルスのほうを振り返る。ニイネの頭の上に、ひよこが乗っているようにも見えた。エルスも、満面の笑みで頷く。ふと、ニイネが何かに気づいたような顔になる。立ち上がって指差したのは、特別にまるっこい体の雪ひよこ。
「この雪ひよこに決めた! エルスちゃんあけて〜♪」
エルスがとことこと近づいていくと、怪しい場所を発見。掘り返してみれば、まるっこくて小さなひよこの付いたイヤリングがお出迎え。
「わあ。かわいい〜♪」
いそいそとつけてみてから、ニイネのほうを振り返る。そこには、ぐっと親指を立てた彼女がこっちを見ていた。そのあとは、二人で雪ひよこ達の手当てである。
「ひよこ達が可哀想ですし、一緒に雪ひよこを作り直すのー♪」
一つ一つ、二人で丁寧に直していく。全部直し終わったら、新しくひよこ作り。けれど、作っているうちにどんどん大きくなっていって……。
「おかしいですの。なんでドヤ顔になるんですの〜?」
「さー? なんでだろうねー?」
うーんと頭を抱えるエルス。犯人は……後ろでこちらもドヤ顔をしているニイネだった。そして、疲れたからドヤ顔巨大ひよこの下でひとやすみ。持ってきたカップにお茶を注いで。
「めりーりわーさん♪」
「めりーりわーさん♪」
二人で乾杯。ちらちらと雪の降りしきる中、二人の周りでは、雪ひよこ達が頭にろうそくをのせて、いつまでも暖かく見守っていた。