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ふたりのリヴァイアサン大祭

恋桜舞姫・バーバラ
風霞・エリセ

■リヴァイアサン大祭『永遠の』

 雲一つ無い夜空に、星が瞬く。
「待った、か?」
 悠然と輝く星々を眺めていたバーバラが呼び声に目を向けると、タキシードに身を包んだエリセがいた。
 急いで来たのか、髪の色と同じ鮮やかな緑のアスコットタイが乱れていたのを、整えている。
「大丈夫よ。行きましょう?」
 バーバラが笑顔で答えて、ピンクのマーメイドドレスを翻した。
 頭の後ろで髪を可愛く纏めたバーバラの後ろ姿を見て、エリセが息を吐くと、降りしきる雪の色に、白い吐息が混ざった。

 少し遅れる形でエリセが氷の宮殿に向かうと、照明が抑えられたホールの中央で、バーバラが楽団の奏でる音楽に合わせて踊っていた。
 曲の合間、わずかに視線を向ける舞姫に、エリセが右手を差し出す。
「お手柔らかにな」
 若干緊張している様子のエリセの手を、バーバラが笑みを浮かべながら取る。
 しかしエリセはダンスを始めると、一瞬前に見せていた緊張が嘘だったかのように、優雅にリードしながらステップを踏んでみせた。
 ピッタリと息の合った二人のダンスに、周りから感嘆の溜息が漏れる。
 やがて曲が終わると、エリセがバーバラと共に、周囲へ礼をした。
 賞賛と、拍手の雨が二人を包み込む。
 響き渡る賛辞にエリセが、やや気恥ずかしそうな表情を浮かべると、バーバラはその様子を見て微笑んだ。
 二人はお互いに微笑を浮かべたまま、鳴り止まない拍手が響く氷のダンスホールを後にした。

 夜空の星が降り注いでいるのかと思うほど綺麗な雪が、リヴァイアサンの丘に向かう二人の頭上に舞い降りる。
 地面を白く染めていく雪に足跡を残しながら辿りついた先で、リヴァイアサンを待ちながら二人で身を寄せ合って空を眺めた。
 ふ、とエリサがバーバラの顔を見る。
「バーバラは、どんなお願いをするんだ?」
 バーバラは、少し考えると、真剣な顔で答えた。
「素敵なパートナーと、ずーと一緒にいられるようにかしらぁー。エリサは?」
「私は……マスターに巡り合う事と、仲間の無事だろうか。願うだけでなく、その為に力も自分も磨かなければならないがな」
 その言葉を聞いて、バーバラは照れ隠しか、いつもの調子で笑顔を見せながら
「エリセのマスターになる人は幸せかもねぇ。大切にしてくれそうだから。あたしがなっちゃおうかしらぁ」
 と呟いた。エリセが、かすかに驚きの表情を見せる。
 一瞬絡み合った視線を、バーバラが空を見上げて外した。
「……あっ」
 短く、声を上げる。エリセが視線の先を追って夜空を見上げると、そこにはリヴァイアサンが、悠々と空を駆けていた。

 これもリヴァイアサンの奇跡だろうか?
 バーバラはその後、エリセの胸を借りる事になる。
 どうなったかは……後日、皆が知ることになるだろう。
 二人の行く末は、二人の物なのだから。
イラストレーター名:こはる