■リヴァイアサン大祭『夜空と星ときみと』
小高い丘の、少し大きな樹の元に広がる泉。リヴァイアサン大祭の今宵、温泉になっている。ひらひら舞う雪もあって、風情ある中で入る温泉とは良いもので。
「景色も綺麗で、温泉も気持ちいい。きてよかったね」
ルクスは、にこりと隣の恋人に笑いかける。
「本当……気持ちいいですね」
寄り添うように湯船に浸かる赤い水着を纏ったメシュティアリアは頷いて微笑み返した。
「星が生ってるみたいだ……」
この時期は葉が散ってしまっている樹から空を見上げれば、葉のない枝の間から見える星が、まるで光る実を実らせているよう。
「素敵……」
見上げて、うっとり呟いて、ルクスの肩に、頭を凭れ掛けるメシュティアリア。
「もうすぐ今年1年も終わるね。今年は、どんな年だった?」
ルクスは、肩にあるメシュティアリアの頭を優しく撫でながら、柔らかく問いかけた。
「そうですね……。ルクスくんと会えた、素敵な年でした」
幸せそうに、にこりと微笑む。
その言葉に、ルクスは若干頬を染めて照れながら、
「うん。僕もメシェと会えた素敵な年だったね」
にっこり笑った。
「水着コンテストも……楽しかったです」
今、メシェティアリアが身につけている赤に黒で蜘蛛の巣の模様が入っている水着は、その水着コンテストで着たものだ。
「その水着……だよね? 凄く可愛い」
肩にかかる心地良い重さ。そのメシュティアリアの頭をゆっくり撫でながら、水着コンテストを思い出す。
「あ……ありがとう……ござい、ます」
メシュティアリアの頬がほんのり色づいているのは、お湯が温かいから、だけではない。
「大好きだよ。来年もよろしくね」
ルクスが、メシュティアリアの瞳を真っ直ぐ見つめると、メシュティアリアも、ルクスの肩から頭を持ち上げ、その瞳を真っ直ぐ見つめ返す。
「私も……大好きです」
そのまま、どちらからともなく、自然と重なる唇。
星のきらめく夜空を、リヴァイアサンは二人を祝福するように舞っていた。