■リヴァイアサン大祭『来年も二人で一緒に!』
リヴァイアサン大祭も終わり、周囲が段々静かになって、夜の帳が幕を下ろした頃。レオとアレッシアは、仲良く腕を組んで、一本のロングマフラーを二人で巻いて、帰り道を歩いていた。たくさん遊んで、たくさん笑って、たくさん楽しんで。へとへとになったけれど、思い出をたくさん作ってきた。「楽しかったですね、レオ様」
「うん、そうだね」
ぎゅっとマスターの腕に抱きつくアレッシア。彼女も、とびっきりの楽しい気持ちと共に、ほんの少しだけ怯えを感じていた。今度のマスターは、いつまで一緒にいられるのかと。そんな彼女を愛おしげに見つめるレオは、そんな気持ちを知っているのか、知らないのか。けれど、元気な彼女と一緒にいて、見ているだけで元気を貰っている彼の心は、とても健やかなものだった。
「あ」
アレッシアが小さな声を上げる。見上げれば、その視線の先には明かりに照らされて、光を反射しながら降る雪が見えた。灯火に照らされた夜の雪景色は幻想的で、心も一つに解け合っていくような気持ちを覚える。こんな風に、大切な人と過ごせる時間が飛び切りに大切で、嬉しくて。ただ二人、黙って雪景色を眺める。
「アレッシア」
レオが彼女の名を呼ぶ。アレッシアが振り向けば、綺麗にラッピングされた小箱が差し出されていた。
「レオ様、これって……」
「これ、受け取ってほしいんだ」
少し照れくさそうにしながら、レオは微笑んだ。
「あ、あ……」
アレッシアはぶるぶる震えたかと思うと、小箱を受け取ることも忘れて、レオに体当たりするように抱きついた。
「レオ様、愛してる〜っ!!」
嬉しくて嬉しくて嬉しくて。しんみりも寒さも全部吹っ飛んでしまう。彼もしっかりとアレッシアを抱きとめ、もう離さないというようにきつく抱きしめた。
「先に言われちゃったな。俺もだよ、愛してる」
しばらくの間、二人で抱きしめあう。今この時に、言葉はいらなかった。その気持ちが、溢れ出すまでは。同時に空を見上げれば、悠々と空を泳ぐリヴァイアサンの姿が見える。
「来年もレオ様と一緒にいられますように〜っ!」
「俺も! 来年もアレッシアと一緒にいたいー!!」
星霊に向かって、二人で絶叫する。一瞬だけ、目が合ったような気がした。
「ぷ、く……」
「あははははは!」
そして、心の底から二人で笑いあう。また来年も、一緒にいられるようにと、祈りながら。小箱の中のリングは、大人しく、開けてもらえるのを待っている。