■リヴァイアサン大祭『雪色デイズ 屋台めぐりのおまけつき』
はらはらと柔らかい雪たちが街へ優しく降り立つ夜――。リヴァイアサンを目の当たりにでき、心が弾んだツキムラとルミネールは屋台広場へ遊びに来た。
「今日は少しだけ、はめを外してみましょうか」
「ふふ、そうですね」
甘い香りに誘われていくツキムラは、普段見せないような無邪気な笑顔を見せる。
「歩くたびに美味しそうな匂いがしますね♪」
ツキムラの視線の先には、今まさしく作られている食べ物の数々。
辺りには、この日ならではの蜂蜜の香りが漂っている。
街の灯りの中を、まるで子どものようにはしゃぐツキムラにルミネールはクスとやさしく微笑む。
空には水の星霊リヴァイアサンが飛び回り、神聖さが街を包んでいく中、ルミネールは胸の中で温かいものを感じていた。
(「一年に一度のこんな大切な日に友達と過ごせることは、とても嬉しいですね……」)
そんなことを考えていたら、隣にいたはずのツキムラの姿がないことに気付く。
「あら、ツキムラさん?」
辺りを探していると、ケーキが売られている屋台の前で立ちすくむツキムラが目に入った。
(「このケーキも美味しそうだけど、向こうのクレープも捨てがたいのですよね……」)
ツキムラの頭の中は、美味しそうな食べ物を前に幸せな悩みでいっぱい。
そんな友達の表情を楽しそうに覗きこみながら、ルミネールはこっそり屋台主に合図。
「はい、どうぞ♪」
気付かれないように買ったケーキをツキムラに差し出すルミネール。
突然のサプライズに、ツキムラは目を輝かせてケーキとルミネールを交互に見つめる。
「ルミネールさん、ありがとうございます!」
「遠慮なさらずお食べください」
「では、一口♪」
ツキムラが幸せそうにケーキを頬張った、その時。
その上空をちょうどリヴァイアサンが舞い、街の灯りの中へ振る雪がキラキラと光り輝く。
「こんなに美味しそうに食べてるのを見ると、私まで幸せな気持ちになります」
街が一層幻想的に彩られる中、優しい想いを胸にルミネールは大好きな友を見つめた。
ルミネールの瞳に映し出される――友達の弾ける笑顔、幸せなひととき。