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ふたりのリヴァイアサン大祭

稲妻の使い手・レイ
妖眼の斑猫・パーフ

■リヴァイアサン大祭『見惚れるほど楽しい大祭』

 リヴァイアサン大祭の夜を、レイはパーフと共に過ごしていた。部屋の淡い灯りのせいか、今日と言う特別な日のせいか、レイには普段から美人であるパーフがより一層美しく見えた気がした。
「きっ、き……今日はオレの誘いにのってくれて、あああああ、ありがとうだぜ、ぱふさん」
 緊張により、どうにも言葉がどもってしまう。だがレイの心境を知らぬパーフはそれを不思議に思いながらも普段通りにレイへと接していた。
「うん、こっちこそありがとう。このケーキ、レイが用意したの?」
 テーブルの上にはイチゴとホイップクリームをふんだんに使用したケーキがワンホール置かれていた。飾りであるロウソクには炎が煌々と輝いている。
「お、おうっなんとか、いい店のを買ってこれたぜっ」
「とっても、美味しそう……」
「じゃ、さ、さっそく食べるか! ほら、ロウソクは、ぱふさんが吹き消してくれ」
「レイは?」
「オ、オレはいいよ」
「一緒に、消けさない?」
「いいいいい……一緒!?」
 顔を真っ赤にしてあわてふためくレイ。2人はどうやら同時に吹き消す事にしたようだ。いっせーの、と同時にロウソクの炎を吹き消す。ロウソクの炎が消えたのを確認したら次はケーキの切り分けだ。レイはオレがやるから、ぱふさんは座っていてくれと言うと綺麗に包丁を入れてゆく。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
 ケーキを口に運ぶと、レイは満面の笑みを浮かべる。
「うん、美味しい」
 パーフも同じ感想だったようで、うん、と頷く。とても美味しかったケーキはすぐに食べ終わってしまった。食後、2人はのんびりしていると、さすがに真冬の夜である、部屋の温度も下がってきていた。
「そろそろ寒くなってきたな……」
 レイはふと窓を見ると、視界に白いものが映った事に気がつく。
「ん? 雪だ」
 それを聞き、パーフも窓へと視線を移す。いつの間に降っていたのだろうか、外には雪が降り出していた。
「あ、雪だね。こうしてみると綺麗……」
(「ぱふさんのほうが綺麗だけどな」)
 彼女の横顔を眺めそう思ったものの、今のレイに言える度胸などとてもなかった。
「ん、寒いから少しひっつく?」
「ひっつ……?」
 パーフからの突然の申し出に、レイの思考が完全に止まってしまう。
「イヤ?」
「あ、えええええええっと」
 嬉しいと言おうとするが上手く口がまわらない。
「うううれ……」
「うれ……?」
 その時だ、レイはあまりの嬉しさに、きゅ〜と、頭から湯気を出すと後ろに倒れてしまった。
「レイ? ……そんな所で寝たら風邪ひくよ?」
 レイの顔を覗くが、反応がない。
「……気絶してる」
 パーフはそっとレイの上に毛布をかけると、その隣にちょこんと座った。レイの気絶した部屋はとても静かだ。パーフは、ぼーっとしながら雪を眺めるとレイの頭を優しく撫でる。きっとレイが起きていたら、また顔を赤くして照れる事だろうが、残念ながら彼が目を覚ましたのは、しばらく後の事であった。
イラストレーター名:参太郎