ステータス画面

ふたりのリヴァイアサン大祭

月白のステラ・ルカ
紅月の双眸・ユン

■リヴァイアサン大祭『意識しあう2人』

 空から白い雪が、まるで羽根の様に舞い降りてくる夜の道。
 ユンとルカは白く染まった道を、ゆっくり並んで歩いている。
「さっきの雪像、素敵だったね」
「ええ――本当に」
 二人は先ほどまでとても綺麗な場所にいた。白い雪景色の中に並ぶ雪像。雪像の中には様々な灯りがともされ、ほのかに輝く雪灯りの散歩道。
 その幻想的で美しい光景がすぐには忘れられず、帰り道の間、二人はその話で盛り上がっていた。――いや、盛り上がるはずだった。
 段々、雪像の会場から離れていくごとに、少しずつ人の気配が少なくなっていく。
 静けさが増してくると、妙に会話もぎこちなくなってしまって。
「特に……ほら、あれ――すごくよかった」
 ルカは指を宙に持ち上げながら、少し大きく声を出す。
「なんでしょう?」
 その指先をユンが見つめている。
 何かを言おうとしてルカは言葉を見失った。
「すごく……」
 言葉よりももっと強い気持ちが胸に湧きおこったから。
 楽しい記憶よりも、もっと――大事な、伝えたい思いがあることに気付いたのだ。
「……?」
 会話が途切れたまま、不思議そうにユンがルカを見つめている。優しい微笑と共に。
 彼は心を決めた。
「あのさ……ユン」
 息を吸って、立ち止まり――。彼は彼女を見つめた。
「? はい」
 長い黒髪がふわりと夜風に揺れる。
 彼女の紅い瞳が、まっすぐに彼を見上げてきた。
「……いや、その……」
 緊張のせいか、照れがどっと足元から身体中を包み込む。な、なんでもないよ、と言いかけそうになる心を制して、ルカは彼女に告げた。
「好きなんだ、つきあってくれないかな……」
「……!」
 やっと告げた言葉。
 思いをたくさん詰めた言葉。
 ――ルカの告白に、ユンの表情が一瞬緊張に包まれたのが分かった。
「あ……」
 頬を染め、俯くユン。ルカは彼女の返事を、先ほどの彼女と同じように、ただ優しく微笑しながら待った。
 ――やがて。
 彼女はゆっくり顔をあげて、ルカを見つめて、ゆっくり答えた。
 頬を朱に染めた彼女は、恥ずかしそうに、けれど確かな言葉で彼に答える。
「……私もルカさんのこと……、その、……好きですよ」
「ユン……」
 ルカは息を飲み、そして彼女の手を取った。
「ありがとう……」
 囁く様に呟き、彼は安堵の笑みを浮かべる。
 嬉しくて、少し気恥ずかしい……。体から力が抜けてくようなそんなふわふわとした感じ。
 彼女の手をぎゅっと握り、ルカはユンに優しく告げた。
「これからよろしく……」
「……はい、よろしくお願いします……」
 ユンもぎゅっと指を握り返し、彼を見上げた。二人は見つめあい、そして柔らかく微笑み合う。

 深夜に少し近づいた空から、羽毛のような雪が降り積もり続けている。
 この夜、心を通じ合った素敵な恋人たちに祝福を贈るように――。
イラストレーター名:wane