ステータス画面

ふたりのリヴァイアサン大祭

寵蜜妓・テオバルト
雲の如き傭兵・ブライアル

■リヴァイアサン大祭『蜜月』

 やんや、やんやと騒がしい祭りの会場。そこから離れた人気のない一角で、ブライアルは胡座をかいた上にテオバルトを乗せ、片手で煙管を持ちながら月明かりを見上げていた。
「お前、寒くねぇのか? そんな格好でよ」
 ライルは喉の奥で低く笑い、そう言う。その言葉にテオはふふっと妖艶に笑い、ライルの肩に頭を乗せる。
「なら、あなたが暖めて下さいます?」
「おいおい、良いのか? こんな場所でそんなこと言って……」
 更に身を寄せてくっ付いて来るテオの手を取り、指を絡ませる。それだけでは物足りなくなって来たのか、その行動は徐々に大胆になっていく。悪友としてしか接した事のないテオにとって、この自分の行動に正直驚いていた。この怪しく輝く夜空の月がそう言う気持ちにさせるのか。高鳴る鼓動がライルに聞こえるのではないかと思いながらも、更に身を寄せていく。
 顔を近付けた時、ふと目が合った。そしてその黒い瞳に吸い込まれるように、テオはライルの唇に触れるだけのキスを落とした。唇を離すと、ライルは驚いたように固まっていた。その表情に、テオは満足そうに微笑む。
「……なんだよ、その、してやったりって顔は。全く、突然何をしてくるかと思えば……」
「あら、たまにはこういう事も良いと思いません?」
「そんな赤い顔で言っても、可愛いだけだぞ」
 そう言いながらテオの身体をぎゅっと抱きしめる。冷えた身体を寄せ合い、暖め合っていく。そう言えば、さっきはよくも不意打ちでキスしてくれたな。ライルはにやりと笑い、片手をテオの腰へと伸ばす。
「きゃっ!」
 腰を撫でられたのかと思えば、ライルはテオの顎を持ち上げて上に向ける。
「ら……ライル?」
「やられっぱなしってのも、癪だよな」
 そして耳元に口を近付け、
「……仕返し、だな?」
 そう言ってテオの唇にキスを落とす。今度はテオが硬直する番だった。
「どうした? さっきまでの余裕の笑みはどこ行ったんだ?」
 みるみるうちに頬を染めていくテオを見て、ライルは満足そうに笑う。
「……バカ」
 そう言いつつも、しっかりとライルに抱きつく。月の見える夜の下、恋人達は愛を確かめ合いながら祭りの騒ぎが過ぎ去るのを待った。
イラストレーター名:K6