ステータス画面

ふたりのリヴァイアサン大祭

流浪の番犬・ギア
緋色の魔女・イツワ

■リヴァイアサン大祭『仲がいいのか悪いのか…?』

 リヴァイアサン大祭の日は街中も賑やかだ。
 リヴァイアサンの丘へ一緒に行こうというイツワの誘いで、イツワとギアは丘へ向かう途中、イツワが買い物をしたいと言うので、街に寄った。
 そこで、イツワが色々な物を買い、次々に増えていく。ギアの持つ荷物が。
「おい、まだあるのかよ」
 両腕に複数の紙袋を提げ、更に両手で持つような大きな箱をいくつか積み重ねた、荷物持ちのギア。
「後は……」
 一方、全然荷物を持っていないイツワは、他にも買っていないものはないかと頭を巡らせる。
「どうせ、そんなに買っても使わないもんだってあるだろ。今日はこれくらいでいいんじゃ……」
 どんどん増える荷物に、とめどなく流れていたギアの文句が急に止まった。
「?」
 何かあったのかと、ギアを見たイツワ。その視線の先にはエルフの美女。
(「これだから男というものは……」)
 ――ぎゅむ。
「いってー! イツワ! おまっ!!」
 イツワに思い切りつま先、しかも小指を踏まれたギアは叫んだ。
 ――ぐりぐり。
「あああああぁぁぁ……っ!!」
 不機嫌な表情のまま、更に踏みつけたギアの小指を念入りに踏みつけるイツワと、涙目になりながら断末魔の悲鳴を上げるギア。
「だらしなく鼻の下を伸ばしおって……締りのない顔が余計不細工じゃ」
「誰が不細工だ! こんだけ荷物持ってやってる俺をもう少し労われ!」
 つんっと、そっぽを向いて不機嫌を露わにするイツワ。涙目になりながら必死に叫ぶギア。
「知らぬわ。美人を見たら、すぐ鼻の下伸ばしてデレデレしおって。このスケベ」
「誰がスケベだ! 美人なおねーさん見たら誰だって気になるだろ! 男の本能だ! お前だって格好良い男がいたら見るだろ!?」
「見るには見るが、お主のようなだらしない顔にはならぬ」
 そんな言い合いをしながらも、荷物はしっかり持っているギアも充分『良い男』ではないだろうか。格好良いかは別として。
 勿論、そんな事で持っている荷物を放り出して帰ってしまうような男ではないと、イツワは知っている。
「おら、さっさと行くぞ。買い物は終わり。リヴァイアサン見れなくなっちまうだろ」
 ギアも、イツワが本気で言っているのではないという事を知っている。
「うむ。だが男というのは……」
 ギアの言葉に買い物は切り上げ、丘に向かう事にしたが、まだ文句の言い足りないイツワが口を開き、
「だーかーらっ!」
 ギアがそれに対して言い合いは続く。恐らく目的地の丘に着くまで。いや、リヴァイアサンをその目で見て、二人揃って同じ感動を味わうまで、ずっと。

 『喧嘩する程仲が良い』とは、よく言ったものである――。
イラストレーター名:もめん子