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ふたりのリヴァイアサン大祭

ブルーフロイライン・ティスカ
桜苺の星霊術士・アミナ

■リヴァイアサン大祭『夢のように甘い時間・星霊キャンディーアート』

「あれ?」
 ハニーバザールを見て歩いていたティスカは、その一角に見たことのある姿があるのを見つけた。ピンク色の髪を結い下げているそれは、アミナだ。
 アミナは食い入るように屋台で何かを見つめていたけれど、ティスカの視線に気付いたらしく、不意に振り返った彼女と目が合う。
「あ、これ? 星霊の飴細工なんだって。あなたも見ていく?」
 どうぞ、と場所を譲るように半分詰めるアミナに、なら、とその横に並ぶティスカ。屋台のおっちゃんは、そんな2人の目の前で、器用に飴と棒を動かして、ヒュプノスの姿を作っていく。
「すご……そっくりやん!」
「見た目ほど難しくは無いんだよ。やってみるかい?」
「えっ!?」
 おっちゃんの言葉に驚いて目をパチパチ。でも、せっかくの機会だからと棒を手にする。
「何を作る?」
「バルカンがええな」
「なら……」
 黒い飴を取り、こんな風に作るんだと教えてくれるのをふむふむと聞いて、ティスカ自身の手で、それに挑戦する。体を作って、手と足の部分を整えて、耳をつけたら最後に尻尾。それから別の色を重ねて目を作って……。
「できた!」
「すっごーい! 上手上手!」
 アミナが感心しながら拍手する。それは決してお世辞ではなくて、見事な出来栄えだったからだ。おっちゃんも筋がいいねと笑っている。
「もう1つ作ってみるかい?」
「ええの?」
 おっちゃんが頷き返すのを見て、なら……とティスカは新たな棒を手にして、次に作りたい星霊の姿をイメージしながら、素体に使う飴の色を選んでいく。
「リクエストしてもいい? わたし、スピカを作る所が見たいな〜」
 アミナの声に頷いて、屋台の主はスピカを作り始める。スピカのデフォルメした毛並みを再現していく様子を、ティスカはちらっと眺めつつ、負けじと自らの手を動かしていく。

「なんだか星霊コレクションみたいだね」
 そうして、完成させた飴細工を見てアミナが笑う。ティスカの手にはバルカンとジェナス、アミナの手にはヒュプノスとスピカ。彼女達が呼び出せる星霊たちの姿が、飴になって彼女達の手の中にある。
「ほんまや。あ、おっちゃん、作らせてくれてありがとな。楽しかったわ」
「いえいえ。よかったらそれ、持って行くといいよ」
「ええのん?」
 まさか貰えるだなんて思っていなかったティスカは、確認するように尋ねるが、おっちゃんが大きく頷くのを見て嬉しそうに笑う。
「よかったねー」
「うん」
 自分の事のように喜んでくれるアミナの気持ちがまた嬉しくて、思わずティスカの顔に笑みが浮かんだ。
イラストレーター名:あれぐろ