■リヴァイアサン大祭『触れ合う心・・・』
様々なオーナメントを着こなして、雪化粧を施した、静かに、そして華やかに聳え立つ大樹。リヴァイアサン大祭のこの日だけ『雪迷宮のラビリンス・ツリー』と呼ばれる巨大樹だ。
「お姫様、お手をどうぞ♪」
「エスコートよろしくね、王子様♪」
金の髪を緩く纏めた碧眼の王子様――リョウは、手を差し出し、流れる金の髪にアメジストの瞳のお姫様――メイシュはリョウの手を取る。
くすりと微笑み合い、雪迷宮へ向けて足を踏み出した。
二人は手を繋いで、美しい巨大樹を目指し、雪と氷の階段をゆっくりと上っていく。
ふと、メイシュの足が止まった。
「可愛い……」
「?」
メイシュの感動したような楽しげな声に、リョウはメイジュの視線の先を見てみる。
そこには、大きなお菓子の家のオーナメント。
「あ、あれも素敵♪」
次にメイシュの視線を奪ったのは、リボンで飾られたベル。次々に目に飛び込んでくる綺麗で可愛いオーナメントは、メイシュの心を虜にするには充分すぎる程に魅力的だった。
可愛らしく、それでいて綺麗に飾り付けられている様々なオーナメントに、どんどんメイシュは夢中になって、リョウの手を引っ張るようにはしゃぎまわる。
リョウはそんなメイシュの楽しそうに輝く笑顔に目を奪われ、自然と優しい笑みが広がった。
「メイシュ、寒くないか?」
ふと、リョウは柔らかく問いかける。
「うん……少しね」
楽しそうな笑顔のままメイシュが答えると、リョウは自分のマフラーに手をかけて外すと、そのマフラーをメイシュの首にふわりと巻いた。
「……ありがとう」
メイシュは本当に嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「あの辺で少し一休みしないか?」
そのリョウの一言で、木陰で少し一休みしようと、道を逸れると、楽しげな人々の声が若干遠ざかった。
――ふわり。
リョウが優しくメイシュをその腕で抱きしめる。するとメイシュは少し頬を染めて身を委ねた。
「メイシュと付き合うようになって……俺は以前よりもメイシュの可愛らしさや優しさがずっと判るようになったんだ。そしたら、ますます好きになった」
メイシュの頭上から、穏やかで優しい声が降り注ぐ。その声に、言葉に、頬をますます染めて照れくさそうにしながら大人しく声に耳を傾けるメイシュ。
そのメイシュの赤くなっている頬に、リョウの手が添えられ、
「メイシュ、愛してるよ♪」
甘く囁くと、優しく唇を重ねた。
静かに離れたメイシュの唇からは、
「私の方こそ、貴方の色々な面を知ることができたわ。優しいところ、明るいところ、ストレートなところ……これからもお互いのことを知っていきましょう」
そう言葉が漏れて、柔らかく、上品に、そして可愛らしく微笑んだ。
「……改めて言うと少し照れるわね」
最後は照れくさそうに、少しおどけて。そして、その照れ隠しなのか、
「好きよ、リョウ」
少し背を伸ばして、メイシュから唇を重ねた。