■リヴァイアサン大祭『たった一つの宝物』
「あ、あのね、ホーリアとプレゼント交換、したいの!」深々と降り積もる雪空の中、シャルロットはそう言った。寒さで赤くなってしまった彼女の頬に優しく手を当てたホーリアは、にこりと笑う。
「それは良い考えだな。あぁ、喜んで。素敵な思い出が作れそうだ」
「本当?!」
その言葉にシャルロットは嬉しそうに微笑む。その後、お互いに送るプレゼントを選ぶため、集合時間を決めて別々に出店を回ることになった。
ホーリアと別れたシャルロットは、どうしようかと店を回って歩いていた。悩みに悩んで、一件の店で可愛い梟のぬいぐるみを見つけた。もこもこした帽子を被った梟。
「可愛い……」
ホーリアは梟が好きだからこのぬいぐるみに決めた。そして会計を済ませ、時計をみる。
「いけない、こんな時間だわ!」
シャルロットは待ち合わせに遅れてしまうと、慌てて待ち合わせ場所へと走った。
彼女が喜ぶのはどんなものだろうか。ホーリアはそう考えながら出店を回っていると、一つの出店で足を止めた。綺麗な白銀のリボン。彼女の金色の髪に似合いそうだ。
「これにしようか」
店主にリボンを渡し、会計をすませる。ピンク色の包装紙で綺麗にラッピングされたプレゼントをコートのポケットに入れ、ホーリアは待ち合わせ場所へと向かう。どうやらまだ彼女は来ていないようだ。
プレゼントを選ぶのに悩んでいるのではないか。その姿を想像しながら待っていると、向こうからシャルロットが走ってくるのが見えた。
「待たせてごめんなさい!」
シャルロットは息を整え、ホーリアに大きな包みを渡す。
「私からのプレゼント……」
ホーリアは丁寧に包みを剥がす。中には紺色と翠色のもこもこ帽子を被った梟のぬいぐるみが入っていた。
「ホーリアさんには紺色の方で、翠の方はアイツに渡すの。その……二人のこと大好きだから、ペアで持ってて欲しいな、って」
「ありがとう、私のためにそこまで……」
シャルロットは少し照れながら笑った。
「これは私からのプレゼントだ」
ホーリアから受け取ったプレゼントを開けると、中には白銀のリボンが入っていた。
「綺麗……」
「シャルの髪によく似合うと思うよ。付けてあげるから後ろを向いて」
そう言ってシャルロットの髪にリボンを付ける。
「うん、やっぱり似合ってるよ」
「嬉しい……ずっと大切にするね。ありがとう、ホーリアさん。大好き!」
「ふふ、シャルもぬいぐるみありがとう。これからも側に居させてくれ、な?」
そう言ってホーリアは、ぬいぐるみごとぎゅっとシャルロットを抱き締める。雪空の中、二人の温もりはずっとそこにあった。