■リヴァイアサン大祭『白と青の大祭』
白い雪が舞う中、二人が部屋に戻ったのは夜も更けてからだった。冷え切った部屋を暖めようと、暖炉に火が灯される。薄暗い部屋の中、二人を照らすものは暖炉の炎と、窓から漏れる白い雪明かりだけだった。
寄り添うように、二人は暖炉の前に腰を下ろす。手にしているのは、この日のために用意した贈り物。彼から彼女へ、彼女から彼へ――大切な人への想いをこめて。
リリアがオヴニルに贈ったのは、珍しい銀狐の毛皮で作られたコート『シルバーフォックス』。早速、コートに袖を通したオヴニルが、リリアに微笑む。
「……良い着心地だ……ありがとう」
嬉しそうに囁かれる感謝の言葉。いつもは鋭いオヴニルの目が、リリアを見て優しく細められた。愛しい人に喜んでもらえたことに満足するリリアだったが、彼から受け取ったプレゼントに視線を落とすと、途端に表情を曇らせてしまった。
オヴニルがリリアに贈ったのは、鮮やかな蒼のドレス『バラウール』。それも、ベリーダンスの衣装に用いられるような、露出度の高い大胆なものだ。
「白狼は、キャミソールが下着に見えると申しましたけど、これも……下着のような、水着のような衣装ですわ……」
あまりの恥ずかしさに俯き、頬を赤らめながら抗議するように呟く。少しためらってから、リリアはドレスを手に立ち上がった。オヴニルの視線から逃れるように物陰に滑り込み、肌もあらわな衣装へと着替える。どんなに恥ずかしくても、大好きな彼が選んだ服だから。
やがて、物陰からおずおずとリリアが姿を現した。真っ赤な顔の下、ほのかに上気した白い肌に蒼いドレスが映えて――オヴニルは言葉もなく、彼女のしなやかな肢体に見とれた。
ゆっくりと歩み寄るリリアの豊かな胸が、一歩進むごとにドレスからこぼれ落ちそうに揺れる。
「あ、あの……似合い、ます?」
そっと隣に腰を下ろし、不安そうに彼を見上げるリリアの瞳を見て、オヴニルはようやく我に返った。
「……あぁ、良く似合っている」
オヴニルの熱い視線に、リリアは耳まで赤く染めて、恥じらいながらも嬉しそうに俯く。
「あの……ありがとうございます。大好きです♪」
そう囁いて、リリアはオヴニルの胸にそっと、自分の身を預けた。
柔らかく飛び込んできた体を受け止め、オヴニルは両腕で優しく彼女を抱く。
あふれる想いが、彼の口からこぼれた。
「……私も、大好きだ……愛している」
絆深き二人の聖夜は、まだ、これから――。