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ふたりのリヴァイアサン大祭

太刀のデモニスタ・イルハ
にゃるらとほてぷ・シスカ

■リヴァイアサン大祭『姉弟共々恋人ができないので、姉弟でカップル偽装した』

「わぁ、これ、可愛い!」
「どれどれ? あぁ……良いね。きっと似合うよ」
「本当? 白と赤、どっちが良いかな?」
「うーん……白、かな? 俺は、白のほうが好き」
「ふふ。じゃあ、白にする」
 嬉しそうに微笑み、ポンポンのついた可愛らしい白いマフラーを手にレジへと向かうシスカ。イルハは、そんなシスカの後ろ姿にクスクス笑う。
 仲良く二人でお買い物。
 手を繋ぎ、思うがままに街を散策。既に数件のお店で、気に入った服やアクセサリーを買ったシスカは、手荷物が多い。当然、そのまま、女の子にたくさんの荷物を持たせたまま歩かせるはずもなく、イルハは、シスカの荷物を持ってあげた。手を繋いでいないほう、イルハの左手・左腕は、色とりどりの紙袋がぶら下がっている状態だ。
「そろそろ何か食べようか。シスカ、何が食べたい?」
「えっとね……あっ! クレープ……美味しそう」
「クレープは、ごはんじゃなくて、おやつだよ?」
「うーん……でも……」
「はいはい。わかった。買ってくるから、ちょっと待ってて」
 買い物を一通り楽しんだ後は、ちょっとした軽食。イルハは、シスカをベンチに座らせて、クレープを買いに行った。注文の確認は必要ない。イチゴホイップを二つ。シスカもイルハも、このお店で買うなら、いつもイチゴホイップと決めているから。
「はい」
「ありがとう」
 買ってきたクレープをひとつ、シスカに手渡すイルハ。シスカは、受け取ったクレープを、しばらくジッと見つめた。イルハが、どうしたの? と首を傾げて尋ねると、シスカは、ちょっぴり照れくさそうに笑いながら、添えられていた小さなスプーンでホイップを掬うと、それをイルハの口元へ持っていく。
 恥ずかしい……とは思いつつも。両隣のベンチでも別のカップルが同じことをしていたため、イルハは、照れながらもシスカの『あーん』を受け入れた。もちろん、イルハもシスカに対して同じことをやってみる。ホイップを掬い、スプーンをシスカの口元へ。シスカもまた気恥ずかしさに少々俯いたが、拒むことはしなかった。

「綺麗だね……」
「うん」
 すっかり陽も落ち、空には綺麗な星々が。
 軽食を済ませた後、再び少しばかり街を散策した二人は、粉雪で彩られた大きなもみの木を見上げていた。シンと静まり返る町はずれ、夜空に煌めく星。その幻想的な雰囲気に身を任せるようにして、イルハは、ギュッと後ろからシスカを抱きしめた。吐く息白けど、背を伝い流れくる体温の心地良さ。シスカは、自然とイルハの腕に顔を埋め、目を閉じた。
「むなしいね……」
「同感……」
 夢から醒めるように、激しい後悔が二人を襲ったのは、ギュッと抱き合い、数分が経過した時のこと。
 そりゃあ、そうだ。
 手を繋いで歩いてみたり、クレープを食べさせあってみたり、抱き合ってみたり……ひととおり、それっぽいことをやってはみたものの、所詮は真似事。
 だって、二人は、姉弟だもの。
イラストレーター名:仄桜